Financial Times

グーグルが直面する実務上・倫理上の問題欧州司法裁判所の判決の波紋、「忘れられる権利」が認められたらどうなる?

2014.05.15(木)  Financial Times

 この問題にかかっている利害は、欧州司法裁判所のニーロ・ヤースキネン法務官によって、裁判所に事前にはっきりと説明されていた。同氏は、「忘れられる権利」の法制化には「表現と情報の自由といった極めて重要な権利を犠牲にすることが伴う」と述べていた。

 さらに、検索エンジンにこのような義務を負わせることは、パブリッシャーの権利を侵害し、「私的関係者による公開コンテンツの検閲に至る」と付け加えている。

 データ保護法の厳格化を支持する向きは当然、判決を歓迎した。中道右派の欧州委員長候補のジャン・クロード・ユンケル氏は「我が市民のデータ保護の権利がルクセンブルクの欧州の判事らによってしっかり守られていることが分かってよかった」と述べた。

 かつてデータ保護法を改正しようとするEUの提案を恐れていたハイテク企業は、今では法改正を救いへの道と見なすかもしれない。

当面続く不確実性

 これから激しいロビー活動が始まる。だが、必然的に不確実性に満ちた時期が長引くだろう。欧州議会選挙と欧州委員会のトップ交代があることから、確かな立法作業は来年まで再開されないかもしれないからだ。

 後から振り返り、グーグルの弁護士たちは、税金未納のために自分の家が競売にかけられることを公示する裁判所指令文へのリンクを削除するようグーグルに求めたスペイン人、マリオ・コステハ・ゴンザレス氏と戦ったことを悔やんでいるかもしれない。原告のコステハ・ゴンザレス氏は、今も「グーグルのファン」だと話している。

By Alex Barker and James Fontanella-Khan
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