集団的自衛権に不安の声 解釈変更に疑問視
安倍晋三首相が現憲法の解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にしようという動きを加速させていることに対し、自衛隊員の家族からは不安や疑問の声が挙がっている。集団的自衛権が行使されれば、隊員が国外に出動する可能性がある。「子どもが戦地に行くことになるのではないか」「解釈の変更だけで集団的自衛権を認めるべきものではない」|。3日は憲法記念日。例年以上に憲法9条がクローズアップされそうだ。
自衛隊沖縄地方協力本部石垣出張所の資料などによると、1972年の復帰以降、八重山から自衛隊に入隊した人は2013年度までの累計で約570人(八重山出身者含む)にのぼる。
20代の息子が自衛隊に所属している50代の女性は「子どもが戦地に行く可能性があるということは、とても心配。そして自分の子どもが人を殺せるような人間になってほしくない」と不安げだ。
息子が10年以上、自衛官として勤務するという50代の男性は「国外での戦争に行かせるために送り出したわけではない。死ぬかもしれないのですごく心配だ。自衛隊は今の憲法の範囲内で活動をし、専守防衛、災害救助、不発弾処理に徹するべきだ」と訴え、「解釈の変更で集団的自衛権が行使できるようになると、その後も解釈を拡大する危険性がある。アメリカの言いなりになるのではないか」と懸念をあらわにする。
2年前に子どもが入隊したという40代の親は「国外に行かせるのは嫌。親としてはいてもたってもいられないが、本人が選んだ道なのでどうのこうのと言えない」と複雑な心境を吐露した。
陸自で働く30代の現役の自衛官は「結婚して子どももいるので、自分に万が一のことがあった場合、残された家族のことも心配だが、自分が選んで進んだ道。日本を守るための自衛隊であると信じている」と話した。
集団的自衛権を認めるべきだという陸自の元自衛官は「憲法改正はハードルが高いから、解釈を変更しようとしているのだろうが、安易すぎる。やるなら憲法を改正して集団的自衛権を認めるべきだ。そうでないと、政権が代わるたびに解釈も変わることになる」と解釈変更の手続きを疑問視した。
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