大阪府都市開発:南海電鉄に750億円で売却
毎日新聞 2014年05月16日 02時00分
大阪府は15日、府南部を走る泉北高速鉄道を運営する府の第三セクター「大阪府都市開発(OTK)」の株式について、南海電鉄(大阪市中央区)に約750億円で売却する契約を結んだと発表した。今月20日開会の5月府議会で提案され、公明、自民など野党含む各会派による賛成を受けて、正式決定する見通し。
南海との契約内容は、泉北高速鉄道と南海の乗り継ぎ運賃の80円値下げと、通学定期の25%割引を、いずれも今年度をめどに実施して10年間継続するほか、株式や事業の譲渡を15年間制限する。またOTKが東大阪市と大阪府茨木市に所有するトラックターミナルも事業継続する。
OTK株の売却を巡っては、府が昨年12月、公募で781億円を提示した米投資ファンド「ローンスター」に売却する議案を府議会に提出した。しかし、ロ社が示した乗り継ぎ運賃の値下げは10円にとどまり、沿線の自治体や住民から不満が上がった。ロ社に対する売却案は公明、自民、民主、共産が反対したほか、与党の維新から4人が造反し、否決された。4人は除名処分となり、維新が府議会で過半数割れする契機となった。
早期売却を目指す府は再公募せず、公募で次点だった南海と個別に交渉。南海が公募時に示した720億円から、30億円上積みすることで合意した。契約内容について、ロ社への売却案に反対した野党各党も今回は、「契約が適切で住民の利便性向上が確認できれば、反対する理由はない」などと話している。
府はOTK株式の49%を保有するため、府の売却益は約367億円。北大阪急行の大阪府箕面市への北伸など、鉄道網の整備に充てる方針。【林由紀子】