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【私説・論説室から】

裸の王様に届くか水軍魂

 もう旧聞に属するが、今年の本屋大賞に『村上海賊の娘』が選ばれたことを喜んでいる。わがルーツは、この村上水軍の一員だ。海賊というと船を襲って金品強奪する悪党、とのよろしくないイメージが強い。だが、家系の名誉を守るわけではないが、海の治安を守り平和構築に貢献する一面もあった。

 そして村上水軍といえば、この人だ。正真正銘、能島村上家の末裔(まつえい)で、“自民党きっての良識派”と言ってよいであろう村上誠一郎衆院議員である。特定秘密保護法や原発再稼働に反対し、今また集団的自衛権をめぐる安倍晋三首相の姿勢を糾弾する。

 月刊誌で「安倍さんは国会で『最高の責任者は私だ…』と述べていますが、憲法解釈の最終的な責任の所在はどこにあるのか、という基本的な問題から、安倍さんは考えるべきではないか」と法解釈権限は司法にあり、行政府でも立法府でもなく、首相らは基本すら知らないのかと批判。日本の若者が戦場で犠牲になるかもしれない重大な決断を、閣議決定で解釈改憲するのは「将来を担う若者に大変失礼だ」と心に響く言葉で訴えた。

 首相は第一次政権の蹉跌(さてつ)から何を学んだのか。同じように周囲をお友達で固め、異なる価値観を排除する。ブレーキ役が不在の「裸の王様」だから無用に近隣国を刺激し、米国も失望させる。ここは耳の痛い進言を聞き、右に傾きすぎた舵(かじ)を正すべきだ。 (久原 穏)

 

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