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月々サポートはメタボと似ている、来期以降の回復に手応え

NTTドコモ 坪内和人 代表取締役副社長

2014/05/16
榊原 康=日経コミュニケーション (筆者執筆記事一覧

 NTTドコモの2014年3月期の連結決算(米国会計基準)は、売上高が前期比0.2%減の4兆4612億円、営業利益が同2.1%減の8192億円と減収減益だった(関連記事)。前期業績はともかく、業界関係者を一様に驚かせたのは、2015年3月期の業績予想である。営業利益は前期比8.4%減の7500億円となる見通しで、2015年3月期に営業利益7300億円の目標を掲げるKDDI(au)がすぐ背後に迫ってきた。NTTドコモの坪内和人代表取締役副社長(写真1)に、減益予想の背景や新料金プランの狙いなどを聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経コミュニケーション)


今期は音声収入の減が800億円、月々サポートの影響がさらに1300億円膨らむとのことだが、なぜこのような状況に陥ってしまったのか。

写真1●NTTドコモの坪内和人代表取締役副社長(6月19日付で退任し、顧問に就任予定)
[画像のクリックで拡大表示]

 今期の営業利益予想を7500億円の低水準に設定した理由は2つに尽きる。一つは、前期の前半にきちんと純増数を獲得できなかった点。もちろん、終わった期にも影響するが、今期に響いてくる。収入は契約数×ARPU(契約当たり月間平均収入)で決まるため、前期の不振は大きい。

 もう一つは、純増数の獲得効率が悪かった点が挙げられる。厳しかったのは、iPhoneの導入以前は必至で新規契約を獲得しても、その一方で既存顧客がどんどん抜けてしまっていたことだ。例えば「100」の純増数を達成するために、「200」や「300」の新規契約を獲得しなければならなかった。純増数は「100」でも、「200」や「300」の営業費がかかっている。当社は月々サポートで営業費(の一部)を後年度負担(24カ月で負担)としてきたため、後々に影響してくる。この空回り状態が1〜2年間続いた。

 今期はこの2つがマイナス要素として大きく響いている。前期は純増数が低水準で今期への大きな増収効果を見込めず、その一方で徐々に膨らんだ月々サポートが重くのしかかってくる。

 この負のスパイラルから抜け出すには、営業費をかけずに純増数を効率良く伸ばす流れにシフトしていかなければならない。実は、iPhoneの導入以前はどうしてもこれができなかった。KDDIが絶好調なのは、我々より2年先にiPhoneを導入して負のスパイラルを正のスパイラルに変えることに成功したから。iPhoneの導入で解約率が低下したため、営業費を積み増せばその分だけ純増数の拡大につながる。それが翌年の増収に効いてくるので、今期も絶好調だろう。もう構造的にビルトインされている。

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