February 24, 2014
交尾して子づくりをしたコカレルシファカ(Propithecus coquereli)のペアは、熟練した調香師も羨む見事な業で体臭を変え、パートナーと似た匂いを放つようになる。
ノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学レミュールセンターの霊長類学者によると、コカレルシファカのオスとメスが互いに匂いを合わせるのは、特別な関係にあることを周囲に誇示するためだという。
他のキツネザルと同様、コカレルシファカはマダガスカル固有の動物だ。マダガスカル最北端の乾燥地域に生息する尾の長いこのサルは、ほとんどの時間を樹上で過ごし、花や葉、果物、樹皮などを食物にしている。
コカレルシファカは複雑な母系集団文化を持ち、メスが食物を管理し、化学物質によるシグナルを互いのコミュニケーションに使う。
喉と生殖器にある・・・
ノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学レミュールセンターの霊長類学者によると、コカレルシファカのオスとメスが互いに匂いを合わせるのは、特別な関係にあることを周囲に誇示するためだという。
他のキツネザルと同様、コカレルシファカはマダガスカル固有の動物だ。マダガスカル最北端の乾燥地域に生息する尾の長いこのサルは、ほとんどの時間を樹上で過ごし、花や葉、果物、樹皮などを食物にしている。
コカレルシファカは複雑な母系集団文化を持ち、メスが食物を管理し、化学物質によるシグナルを互いのコミュニケーションに使う。
喉と生殖器にある匂い分泌腺から、油のような粘性のある物質を分泌し、それを木や枝に擦りつける。その化学的組成によって、個体の年齢や健康状態、パートナーがいるかどうかなど、あらゆる情報が伝達されるのだ。
◆愛が漂う?
デューク大学の霊長類学者リディア・グリーン(Lydia Greene)氏とクリスティン・ドリー(Christine Drea)氏は、コカレルシファカの匂いと匂いづけ行動が生殖サイクルの中でどう変化するのかを調べた。
コカレルシファカの匂い分泌腺と彼らが体を擦りつけた木の両方から、綿棒を使ってべたべたした分泌物を収集。繁殖期中の異なる時点で8匹のオス、7匹のメスを調査し、6組のペアが匂いづけ、または匂いを嗅ぐ行動を取る頻度を測定した。
両氏は「Animal Bahaviour」誌2月号に掲載された論文で、コカレルシファカはパートナーの匂いづけ行動を真似ると報告している。例えば、一方が周囲の木などに擦りつける分泌物の量を増やすと、もう一方も同じ行動を取る。
これはコカレルシファカが相手と親しくなるための行動の一部であり、またメスが発情期にあるかどうかを知る手がかりにもなるという。
◆匂いのデュエット
子どもができると、コカレルシファカは匂いづけにあまり時間をかけなくなる。その必要性がなくなるからかもしれない。
交尾をし、子どもの世話をする過程で互いの匂いが混じりあうからだ。子どもを持つコカレルシファカのペアは、まだ子づくりをしていないペアよりも匂いが互いによく似ている。
一緒にいる時間の長さは匂いと関係がないようだ。生まれたての赤ん坊のいるペアと長い間一緒にいる高齢のペアの間を比較しても、匂いの類似性にほとんど違いはみられなかった。
「これは歌のデュエットならぬ、匂いのデュエットと言えるでしょう」とドリー氏は言う。
コカレルシファカのペアがなぜパートナーと匂いを合わせるのか、はっきりとした理由はわからないが、他の個体に自分達が安定したペアであることを示し、縄張りをマーキングするためではないかと両氏は考えている。
Photograph by Radu Shigheti/Reuters/Corbis