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【社会】

強制連行碑の更新保留 群馬県「追悼時に政府批判」

「群馬の森」にある朝鮮人追悼碑=高崎市で

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 戦時中に国内に強制連行された韓国・朝鮮人を追悼するため、市民らが群馬県立公園「群馬の森」(高崎市)に建てた石碑をめぐり、県が「政治的行事をしない」という設置条件が守られなかった可能性があるとして、三月末の設置許可の期限を過ぎても更新していないことが分かった。一方、大沢正明知事は二十三日の記者会見で、碑を管理する市民団体と「しっかりと意見交換したい」などと述べ、更新に柔軟な姿勢を示した。

 追悼碑は二〇〇四年、市民や有識者らの呼び掛けで建立。県内で中国人の強制連行犠牲者も多かった歴史を踏まえ、「アジアの平和と友好の発展を願う」と刻んでいる。市民団体「記憶 反省 そして友好の追悼碑を守る会」(前橋市)が管理し、毎年、碑の前で追悼集会を開いてきた。碑の設置許可は十年ごとに更新することになっていた。

 しかし、県は、一昨年の集会で政府批判があり、「政治的行事を行わない」と定めた設置条件に触れる可能性もあると判断。三月末の期限を過ぎても更新を保留している。守る会によれば、集会は昨年から会場を碑前から移さざるを得なくなったという。

 県によると、碑の内容や設置更新を批判する声が県に寄せられているが、県は「先の大戦のさなか多くの朝鮮人が全国の鉱山や軍需工場に動員された」などと書かれた碑文については問題視していない。

 この日の記者会見で大沢知事は、県が昨年四月に中国に上海事務所を開き、知事自ら現地訪問するなど友好に努めていることに触れ、「中国とは非常にいい関係。慎重に審議して結論を出したい」と述べた。

 十九日に高崎市内であった追悼集会には在日関係者らも出席したが、この日は政治的な発言はなかった。

 集会に参加していた守る会の神垣(かみがき)宏さん(77)=前橋市=は「これまでも、集会では中国人を含めた強制連行の史実に触れた発言があっただけだ。政治的な発言の場にするつもりはなく、県に分かってもらえるまで、いくらでも話し合いを続けたい」と話していた。

 追悼碑の建立に協力し、中国で強制連行の調査をした経験がある日中友好協会前橋支部の飯塚由美子支部長は「県は歴史を真摯(しんし)に受け止め、石碑をきちんと残してほしい」と求めた。

 

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