人気漫画「美味しんぼ」で福島第1原発を訪れた登場人物が鼻血を出した描写をめぐる騒動で、脱被ばくを訴えている山本太郎参院議員(39)が“沈黙”している。原発問題の追及といえばこの人だが、表立っては反応を示さないその理由は。一方、現地取材を続けるフリージャーナリストは「鼻血も倦怠感もあった」と本紙に明かした。騒動については「政府の復興アピールに利用されているんじゃないか」という声も上がっている。
“美味しんぼ騒動”が拡大する中、山本氏が論戦の輪に入ってきていない。擁護派筆頭になってもおかしくないが、ダンマリには理由があった。
山本氏といえば脱原発と同時に、子供や女性たちの健康被害問題に取り組み、福島だけでなく関東一円にまだら状に広がった放射能汚染地区から避難させる脱被ばくを訴えていた。だが、ツイッター、ブログでも特段の言及はしていない。
13日には参院内閣委員会で菅義偉官房長官(65)を迎え、質問の席に立つ絶好の場を得たが、子宮頸がんワクチン問題に終始し、美味しんぼ騒動には触れなかった。
山本氏は「鼻血の質問をすると思ったのでしょうが、今は首を突っ込まない。僕が飛びつけば、批判派は美味しんぼもセットでデマとの印象操作をしてくる。火に油を注ぎかねない」と話す。
過激といわれる山本氏はコアな支持がある一方で、不安をあおっているだけとの批判も絶えない。
「これまでとは違った立場の人からのアプローチで被ばく問題の議論が進み、広がりが大きくなった方がいい。事故後、国会では鼻血が出て、心配だと質問していた自民党の議員が何人もいたのに権力側になって、いろんなことを隠したり、不条理を押し付ける姿が見られるでしょう」
自身による負の影響をわきまえたうえで、忍の一字で事態を静観するというわけだ。とはいえ山本氏は「一番恐れているのは、風評被害をタテにすべてが弾圧されること。文科省は100種類以上の放射性物質が飛び出しているというのに、少数しか調べずに安全だという。問題は政府が詳細な調査をしないことによる実害だけなんです」と力説。
騒動の推移に気が気でない様子で、今後の展開次第では批判覚悟で参戦に転じるかもしれない。
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