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ウルフバレル5.56 作者:土田ナオ

2-01 百鬼夜行





 この世には、法を笑う者たちがいる。

 そいつらは自分の欲望を満たすためならば、ありとあらゆる悪事に手を染める。
 人を殺すことに何の痛痒も見せない。
 傷つける事を楽しんでさえいる。
 女を犯し、子を殺す。
 それはもはや人ではない。
 獣だ。
 もしお前が、そういった連中に怒り、自らの手で裁きを下したいと願うなら。

 自分が人であるという事を、しばし忘れろ。

 獣に人の道理は通用しない。
 お前が獣の道理に従うのだ。
 獣を裁けるのは、いつだって獣だけだ。
 その事を忘れるな。



 闇に潜み、男の後を追いながら。
 僕は以前見た映画の冒頭シーンを思い出していた。
 それはまさに、今の僕にぴったりの言葉だった。
 まったく熱を発しない怒りが、胸の中で渦を巻く。
 手に、冷たくなった皮膚の感触が残っている。
 二の腕に残るのは、脱力した人間の重み。

 灰色の狼が僕を急かす。

 月が見ている。



 僕は今夜、人を殺す。





※前半部分の映画は架空のものです。
 台詞も自作のものになります。
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