入札情報:日立社員 保守中の国会図書館から不正入手
毎日新聞 2014年05月15日 20時34分(最終更新 05月15日 21時01分)
国立国会図書館(東京都千代田区)は15日、ネットワークシステムの保守管理を委託している日立製作所の社員が、アクセス権限を悪用して次期保守管理の入札に関する他社情報を不正に取得していたと発表した。同社が内部調査したところ、過去にも不正取得していたことが分かり、図書館は「極めて悪質だ」と非難している。
図書館と日立によると、日立は2010年度から5年契約で、図書館のシステムの保守管理などを約16億円で受注した。15年度以降についても受注を目指し、4月4日の入札に向けて2月に提案書を提出していた。
ところが、3月下旬に日立のシステムエンジニア(SE)のパソコンに不正な閲覧の記録があることを図書館員が発見。連絡を受けた日立が内部調査したところ、入札を巡るライバル数社の提案書や見積金額が複写され、SEが上司の課長級社員と営業社員3人に電子メールなどで情報を流していたことが判明した。
問題発覚を受けて日立は入札を辞退したが、同じSEが過去にも図書館の入札情報を不正に入手し営業社員に伝えていたことが分かった。落札できなかったが、SEは「入札を有利にしたかった」と話しているという。
国会図書館総務課は「利用者の情報の不正取得はなかった」としたうえで、「契約解除も含め、日立に対して厳正な措置を講じる予定だ」としている。日立製作所は「再発防止の徹底を図り、事実関係の解明に全力を挙げ、関係者を厳正に処分する」とのコメントを発表した。【関谷俊介】