集団的自衛権:「基本的方向性」安倍首相、午後提示

毎日新聞 2014年05月15日 11時32分(最終更新 05月15日 12時22分)

 安倍晋三首相は15日午後、自身の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)から報告書を受け取り、首相官邸で記者会見する。歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を憲法解釈を変更して容認するため、検討の進め方の「基本的方向性」を示す。そのうえで与党に協力を呼びかけ、国民に理解を求める。

 首相は会見で、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを指摘し、安全保障法制の見直しを訴えるとみられる。集団的自衛権の行使容認が必要になる事例として、有事の際に在外邦人の輸送を行う米艦船を自衛隊艦船が護衛するケースを自ら説明する方向だ。

 これに先立ち、安保法制懇は15日午後、官邸で会合を開き、集団的自衛権の行使容認や国連の集団安全保障への参加などを政府に求める報告書を首相に提出する。これを受けて首相は国家安全保障会議(NSC)を開催し、報告書を踏まえた政府の対応を確認する。

 首相は秋の臨時国会までに憲法解釈変更を閣議決定し、同国会に自衛隊法改正案など関連法案を提出する構え。20日から正式に始まる与党協議では、行使容認に慎重な公明党の対応が焦点になる。同党の山口那津男代表は15日午前の党中央幹事会で「最大の優先課題は経済再生や被災地の復興加速だ。それにこたえる着実な政策推進を図りたい」と述べ、首相や自民党が結論を急がないよう改めてけん制した。【木下訓明、高本耕太】

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