日本の安倍晋三首相は15日、内閣発足直後から強く推進してきた集団的自衛権の行使を可能にする手続きへと正式に入る。安倍首相はきょう、政府の有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書を受け取り、国家安全保障会議(NSC)での会合を経て、集団的自衛権を行使する具体的な状況について会見で説明することにしている。その後は今年の秋をめどに国会で関連法案を見直し、年内に「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」を改定する計画だ。このままでは来年ごろ、日本は第2次世界大戦での敗戦から70年を経て、日本本土の外でも「戦争ができる国」へと生まれ変わることになる。
日本メディアの報道によると、安倍首相が会見で表明する集団的自衛権行使の具体的な事例としては、公海上で米国の艦船が攻撃を受けた場合の相手国への反撃や、米国に向けて発射される弾道ミサイルの迎撃、さらには米国を攻撃する国に武器を運搬する船舶の臨検などが含まれているという。韓半島(朝鮮半島)有事の際、日本人を避難させる米艦船を日本の海上自衛隊が護衛する状況も想定されている。
集団的自衛権とは同盟国、あるいは集団として同じ利害関係を持つ国が攻撃を受けた場合に反撃を行う権利を意味するもので、これは国連憲章にも明記されている。しかしこれまで日本政府は集団的自衛権について「交戦権の放棄が明記されている日本国憲法第9条に違反する」という解釈を維持してきた。ただし日本が直接攻撃を受けた場合に応戦する「個別的自衛権」についてはすでに認めており、敗戦国の日本が自衛隊という名称の軍隊を持つことも、この論理に基づくものだった。しかし2012年12月に発足した第2次安倍内閣は、発足の直後からこれまでの憲法解釈の見直しを目指すと表明してきた。米国は中国の台頭に対抗するためのカードとして、日本の軍事的役割の増大を歓迎している。
日本がアジアで軍事面での役割をこれまで以上に強化すれば、韓半島周辺はもちろん、アジア全体の安全保障環境に大きな影響を及ぼしかねない。アジアではすでに米中両国の対立に加え、中国と日本の対立、中国とベトナムなど東南アジア諸国との対立などが複雑に絡み合っており、いつ何らかの軍事衝突が起こってもおかしくない状況にある。韓日関係も同じくこれまで1年以上にわたり最悪の状況が続いている。このような中、日本の軍隊がいつでも韓半島周辺で実際の軍事作戦に乗り出すことができるようになるわけだ。安倍内閣は「韓国の同意なしに韓半島に介入することはない」と何度も表明しているが、今回集団的自衛権という一線を越えたように、いつその言い分を変えるか予想はできない。
日本国内でも憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使には根強い反対がある。安倍首相は選挙で審判を受けると明言しているが、この問題は政策全般に対しての審判である選挙と相いれないことは、本人も十分理解しているはずだ。安倍内閣は、今回の選択が歴史に重大な汚点を残しかねないことをしっかりと理解しなければならない。