<第一回> ・光ファイバとは? ・光ファイバ接続工法の種類
<第二回> ・融着接続とは? ・融着作業は難しいの?
・機器や工具の選定方法
<第三回> ・融着接続の施工における注意点 ・よくあるトラブル
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光ファイバとは?
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光ファイバは石英ガラスでできた細い線です。光のエネルギー(光信号)を伝送し高速、大容量で情報を通信することができます。一般的に通信で使用される光ファイバの太さは125μm(ミクロン)と髪の毛くらいの太さです。この125μmの中にコアと呼ばれる中心層とクラッドと呼ばれる外層があり、それぞれのガラスの屈折率を変えることで光信号をコア内に閉じ込める構造となっています。
このガラスの部分にUV硬化樹脂やナイロンでコーティングし、被覆させたものを、一般的に「光ファイバ素線」あるいは「光ファイバ心線」と呼ばれています。LANの光ファイバ配線や、機器の周辺などには、さらにケブラー繊維等で補強しPVCシースで被覆された「光ファイバコード」があります。
複数の光ファイバ心線をテープ状に並べ、1本の心線にしたものを「多心光ファイバ心線」あるいは「光ファイバテープ心線」と呼んでいます。リボンのような平たい形になるので、海外では「リボンファイバ」とも呼ばれています。
光ファイバ心線をスロットと呼ばれる溝に収納し、複数の心線を集合させてケーブル化したものを「光ファイバケーブル」と呼んでいます。
光ファイバは用途に合わせた種類があり、代表的なのはシングルモードファイバやマルチモードファイバなどがあります。シングルモードファイバはコア内を伝搬する光モードが単一であり、波形の歪みが発生しません。コアの径は一般的に8〜9.5μm。使用する光の波長は1.31μmか1.55μmとなり伝送特性に優れ、高速、大容量のシステムに適しています。
マルチモードファイバは複数のモードを入射でき、波形の歪みが発生してしまうSI(Step index)型と、波形の歪みを構造的に補正しているGI(Graded index)型の2種類があります。主に通信用としてLAN配線などに使用されるのはGI型です。SI型は、例えばセンサー等の情報の有無に使用されますが、データ通信にはパルスの歪みが発生するので使用されることは少ないようです。コアの径は代表的なもので50μm、62.5μmがあります。使用する光の波長は主に0.85μmと1.31μmで使用されます。
光ファイバの施工にあたっては、これら光ファイバの名称などを正しく覚えることが重要です。例えば「2心の光ファイバ」では2心光ファイバコードなのか、2心光ファイバテープ心線なのか、2心光ファイバケーブルなのかが分かりません。このように用語を正しく把握することにより、正しいネットワークの設計や構築、工事に必要な機器の選定ができるのです。
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光ファイバ接続工法の種類
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・ 融着接続
融着接続機を使用して光ファイバを接続する工法です。融着とはアークという高熱の放電により、光ファイバのガラス部分を溶かして接続する技術。精度よく加工されたV溝に光ファイバを整列させて軸を合わせます。最も信頼性が高く、光ファイバを半永久的に接続する方法として、最も実績があり、接続損失も低損失です。
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・メカニカルスプライス
光ファイバの端面同士を突き合せて固定する技術。端面間には屈折率整合剤を用いるので端面間の空気層による反射を低減できる。 簡易的な工法なので手軽でローコスト。低接続損失を求めていない接続箇所に適用されます。
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・ コネクタ
着脱が容易であるが接続損失では融着等に比べると劣る。機器には必ずコネクタで接続となるので、光ファイバ線路の端末はコネクタを取り付ける処理が必要です。
メーカーであらかじめ成端された「コネクタ付き光ファイバコード※」を線路と融着する工法や、現地組立式コネクタなどを使用するのが一般的です。現地組立式コネクタにはメカニカルスプライス技術を応用した製品もあります。
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※ コネクタ付き光ファイバコード:豚のしっぽに似ているのでピッグテールと呼ばれています。
多心の光ファイバテープ心線には多心―単心変換コードを使用します。
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☆☆ 次回は融着接続についてと、接続に必要な機器や工具の選定方法などを 予定しています。)☆☆
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