農業改革案:中央会制度廃止や全農株式会社化 JAは反発
2014年05月14日
JAグループの改革案
政府の規制改革会議(議長・岡素之住友商事相談役)は14日の作業部会で、農業協同組合(JA)などの農業改革案をまとめた。JAグループ改革では、全国農業協同組合中央会(JA全中)を頂点とする中央会制度の廃止や、農産物の集荷販売を担う全国農業協同組合連合会(JA全農)の株式会社化を提言。企業の農業参入促進も盛り込んだ。政府は6月にまとめる新たな成長戦略に提言を反映させたい考えだが、JA全中は反対を表明。JAが支持基盤の自民党の反発も必至で調整は難航しそうだ。
農産物関税の大幅削減を図る環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉が進むなか、政府は手厚い関税で保護されてきた国内農業の競争力強化を急いでいる。6月にまとめる成長戦略は、コメの生産調整(減反)廃止を決めた昨年の農業改革に続く第2弾と位置付けている。
JA全中は地域農協の指導監督機関。改革案は、中央会をシンクタンクなどに改組することを提言した。中央会制度が廃止されると、JA全中は地域農協の経営を指導する権限を失い、各地の農協が地域の特性などに応じた自由な経営ができるようになる。
農産物の流通を手がける組織で国内最大規模のJA全農について、改革案は株式会社への転換を求めた。農協運営を効率化し、各地の農協が自由な判断で流通ルートの開拓をしやすくする。国産の優れた農産物の流通拡大や価格低下、海外への農産物輸出の拡大につながる可能性がある。
企業の農業参入を促すため、農地取得が可能な「農業生産法人」に対する企業の出資比率を現在の25%以下から50%未満まで緩めることも求めた。さらに、一定期間、農業を継続した農業生産法人には企業の100%出資を認める考えも示した。
農地の売買や貸借の許可権限を持つ市町村の行政委員会「農業委員会」に関しては、公職選挙法に基づく公選制を廃止し、市町村長が適任者を選ぶことを提言。地元農家中心の構成を改め、外部からの農業参入促進につなげる狙いだ。
改革案に対し、JA全中の万歳章(ばんざい・あきら)会長は「JAグループの解体につながるもので、極めて大きな問題がある」とのコメントを発表した。【田口雅士】