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焦点:追い詰められる銀行、商業銀行モデルが転換点

2014年 05月 14日 21:11 JST
 
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[東京 14日 ロイター] - 大手銀行グループの商業銀行モデルが転換点を迎えている。預金者から集めたお金を貸出などで運用する従来型のビジネスモデルは長引く低金利の影響で、もはや国内での運用は逆ザヤ状態に陥った。大手銀行は海外ビジネスの展開や、収益の多角化を進めているが、本業の貸出不振が、銀行を追い詰めている。

<国内の運用は逆ザヤに>

14日に出そろった三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T: 株価, ニュース, レポート)など大手行の2014年3月期決算で、国内での資金運用が限界に直面していることが明らかになった。

資金調達利回りと運用利回り差を表す「総資金利ザヤ」は、三菱UFJ傘下の三菱東京UFJ銀行が0.3%の逆ザヤに陥り、みずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)傘下のみずほ銀行はゼロになった。

ある銀行アナリストは「総資金利ザヤが逆ザヤになるとは、象徴的な出来事だ。単純に資金運用だけでは、銀行が存在できない状態を表している」と評した。

邦銀は、預金者などから調達した資金を貸出や有価証券投資などで運用している。日銀による低金利政策で、短期金利はゼロの下限に達し、調達金利は低位安定しているものの、新規貸出の約定金利も下落を続け、預貸金利ザヤは縮小の一途。

有価証券運用でも、頼みの綱だった日本国債による運用は、日銀の量的・質的緩和による国債の大規模購入で困難な状況に直面している。国債保有残高を減らすとともに保有年限の短期化も進めており、有価証券運用の利ザヤも急降下している。その結果、調達コストを賄いきれない局面になった。

みずほの佐藤康博社長は「住宅ローンなどは、過当競争だ。低金利で、余剰資金を貸したいため、1つの案件にどっと集まる貸出で儲けるのは難しい」と話す。その上で、ストラクチャードファイナンスなどの新分野での貸出強化を図る必要があるとした。   続く...

 
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商業銀行モデルが転換点

大手銀行グループの商業銀行モデルが転換点を迎えている。国内での運用は逆ザヤ状態に陥り、貸出不振が追い詰めている。
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 5月14日、大手銀行グループの商業銀行モデルが転換点を迎えている。写真は都内で2009年8月撮影(2014年 ロイター)

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