大変残念なことに諸外国の対日イメージが、わずかな間に悪化しつつあるようです。イメージの悪化は、外交力弱体化に直結し、非常に深刻な問題だと思います。
有名なBBCの世論調査の結果を見ると国際社会における日本のイメージは、2012年から2013年の間に悪化しています。
日本が世界に与える影響が肯定的か否定的か、という質問に対する回答を見てみます。
2012年 肯定的58% 否定的21%
2013年 肯定的51% 否定的27%
1年間で下がっているのは明らかです。その原因をきちんと分析した上で対処し、イメージアップに努める必要があります。
民主党政権の終わりから安倍政権にかけて、尖閣問題での日中の対立、従軍慰安婦問題、麻生副総理のナチス肯定発言等が重なり、対日イメージ悪化につながったのでしょう。
侵略戦争を否定したり、ナチスを肯定したり、従軍慰安婦問題を全面的に否定したりすれば、国際社会ではネオナチ同様の扱いを受けます。
そういう現実を認識していない政治家が多く、日本の国益を大きく損なっています。ネット右翼的な言動をリアルな世界ですれば、国際的な世論戦で袋叩きにあってしまいます。
書店では「日本は世界で愛されている」的な本が売れている様子ですが、怖いことです。こういう自己満足が他国への配慮の欠如を招き、無神経な発言を呼ぶ背景になっています。
次に各国別の日本の影響への反応を見てみます。主要国を中心にいくつかピックアップします。
【米国】
2012年 肯定的74% 否定的18%
2013年 肯定的66% 否定的20%
【カナダ】
2012年 肯定的72% 否定的18%
2013年 肯定的61% 否定的23%
【英国】
2012年 肯定的70% 否定的17%
2013年 肯定的59% 否定的27%
【ロシア】
2012年 肯定的54% 否定的10%
2013年 肯定的45% 否定的14%
【オーストラリア】
2012年 肯定的65% 否定的23%
2013年 肯定的53% 否定的36%
【インド】
2012年 肯定的44% 否定的11%
2013年 肯定的33% 否定的15%
【中国】
2012年 肯定的16% 否定的63%
2013年 肯定的17% 否定的74%
【韓国】
2012年 肯定的38% 否定的58%
2013年 肯定的21% 否定的67%
中国や韓国が日本に否定的イメージを持つのは、容易に想像できることで不思議ではありません。しかし、さらに悪化しているのは問題です。
本当に怖いのは隣国ではないかもしれません。米国、英国、豪州等の先進民主主義国の国民が、日本に対するイメージを悪化させています。
安倍総理は頻繁に「価値観を共有する国」と形容して先進民主主義国を大事にしています。しかし、相手側は日本と価値観を共有できるか、心配になってきている現状があると思います。
インドネシア等の一部の国で肯定的な回答が、増えている例も見られるものの、残念ながら、全般的には肯定的な回答は減っています。
官邸や外務省は「安倍外交は成功している」と喧伝していますが、実態はお寒いようです。
トルコやオーストラリアと関係が良くなっても、米国や中国、韓国との関係が悪いのは問題です。
日本にとって(良くも悪くも)最重要な国は、米国と中国であることは間違いありません。
おそらく次に重要なのは韓国とロシアでしょう。さらにその次くらいに台湾や豪州、フィリピン、インドネシア、英国、ドイツ、フランスなどが、続くという感じだと思います。
安倍政権支持のかなりの割合というのは、対中強硬姿勢に対する評価だと思います。しかしそれでは長期の国益を損ないます。
安倍政権の外交が行き詰っている点を認識して、近隣国との関係改善、米国との同盟関係の強化、途上国支援や経済協力の強化に地道に取り組み、外交を立て直していかなくてはいけません。
「毅然たる外交」みたいなチープな言葉を使わず、地道で誠実な外交努力こそが求められています。
気合とガッツで乗り切る「ヤンキー外交」ではなくて、相手国の目線に立った穏健な外交が求められます。
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