【動画】灘中・高校=三嶋伸一撮影

■神戸市東灘区

 高校1年の数学の授業は、サイコロ振りから始まった。

 「出席番号17番!」。課題の演習例題3問を解く生徒を、河内(かわち)一樹教諭(32)がサイコロの目で次々と指名する。そのたびに、生徒から拍手と喝采が起きた。「大丈夫か!」「行けるぞ、いける!」。数学が苦手な生徒が当たるほど声援は大きくなる。

 灘高名物の一つ、教室の前後の壁いっぱいにかかった長い黒板の前方に2人、後方に1人が立ち、それぞれ解答を書いていく。1年生のクラスだが、例題は有名大学の入試問題。さすがにチョークを持ったまま思案する生徒が続出する。このため、河内教諭はあらかじめ「助っ人」の生徒も指名しておく。