「アレは・・・・?まさか!?」
 モニターに映しだされた光景を見て、私−北西方面軍化学戦担当技官ブレントウッド工兵中尉−があげた第一声がそれだった。
 私がいるのはガス処刑のコントロール室で、ガス室の内部を映すモニターやガス注入の為のコントロールパネルが設置されている。
そして私の見詰めるモニターには、ガス室の内の様子が映し出されていた。
 ・・・・美しい金髪を腰まで伸ばした女が、全裸にされて木製の椅子に革製の手枷足枷で縛り付けられている。
床には同じような金髪を短めに切り揃えた女が、やはり全裸で両手を背中で縛られて転がされている。
彼女は首には革首輪をはめられ、もう一人の女の座る椅子にチューブのようなもので繋がれ、
椅子に座る女の太腿にすがり付くような姿勢で床に座っている。
 私の目からみて、二人とも相当の美人だが、その顔には生気を感じられなかった。
処刑直前で精神が麻痺しているのだろうか?心此所にあらずといった感じで中空をぼんやり見詰めていた。

  私が驚きの声をあげたのは、その二人の女に見覚えがあったからだった。
「まさか・・・・敵の大統領候補の娘ではありませんか?」
 私は振り返って、傍らに立つ北西方面軍情報参謀シュマイザー大佐の顔を見た。 
「その通りだよ」
 大佐は笑って答える。
「加えるなら敵軍の特殊部隊の士官と下士官だ」
 私は軽く頷いた。私のような後方勤務の尉官でさえ、彼女らの所属する部隊の悪魔のような活躍は以前から聞き及んでいた。
「椅子に括り付けられているのが姉で、床に転がってる方が妹だ。
第78混成機甲連隊が捕虜にした。これからガス室で処刑されるわけだ」
「なぜ?どういった罪状で処・・・・」
 その問いを言いかけてから、私は馬鹿らしくなって止めてしまった。
そもそもこのガス室が非合法な処刑に使われるものだということは私もよく承知している。
 いや、承知も何も、自分自身何度となく女性を含む敵兵の『処理』に関わってきたんだし・・・・。

「私はそういったことに疎いんですが、敵の大物の娘ですよ。
なんというか・・・・政治的な利用価値が高いんじゃありませんか?」
 私は次にわいてきた疑問を口にした。
「うん、まあ普通はそうなるんだろうが、今回はそれがかえって拙いんだよ。
捕虜にしたときに現場の連中が、レイプしてしまってな」
 大佐は悪びれもせず、苦笑いを浮べながら言う。
「まあ、レイプされた女捕虜の『処理』なんていつものことだが、今回の捕虜は敵味方ともに注目するであろう『有名人』だ。
この不祥事が外部に漏れたら大変なことになる。ここで、特に秘密裏に処刑してしまうことになったわけだ」
 なるほど・・・・またか・・・・私は納得の表情とうんざりした表情を同時に浮かべる。
 長い戦争で精神的に荒んでしまった戦場では、捕虜の女兵士を犯すという不祥事は、もはや日常茶飯事の出来事だった。
大抵は何事もなかったかのように収容所等に送ってしまうのだが、まれに不運な者は現場で『戦死』させられるか、
適当な戦争犯罪をデッチ挙げられて処刑されてしまう。私も一度ならず、
レイプされて口封じの為にこのガス室に送り込まれて来た女兵士を処刑したことがある。
 全くもって、何と言うか・・・・さんざん陵辱されてから、
ガス処刑される敵軍の女性兵士こそいい面の皮というものだ・・・・。

「で、何故妹の方は床に転がしてるんで?」
 もうウンザリした私は、どこかぶっきらぼうに聞いた。
「ああ、せめて二人一緒に処刑してやろうと思ったんだが、椅子が一つしかないだろう?
で、ああいう「特別措置」を取ってやったのさ。私は女性には優しいんだよ」
 大佐のくだらないジョーク(?)はともかく、処刑が一度で済むのはありがたい、
そう思いながらも、私は不機嫌そうな声で皮肉を言わずにはおれない。
「それで私を呼ばれた理由は?自分はBC兵器の専門家であって、
ガス処刑の担当官じゃ、ありませんよ」
「オイオイ、私はガスは全く扱えないんだよ。そんな事言わず手伝ってくれよ。
何なら君も彼女達を悦しんでも構わんよ。実を言うと私もさっき妹の方を・・・・」
 実はそう言われた時の私の内心は、平静ではいられなかった・・・・。
 思わずモニターの方をチラリと見てしまう。そこに映る二人の女は、顔は綺麗に整って美しく、
そのスタイルも男の目から見て極上のモノであった。
 今まで私は、強姦なんて恥ずべき行為をしたいなどと思った事なんてなかった。
だが、長身でモデルのような姉と、どこか少女のような若々しさの残る妹、
二人の裸身を見ていると、雄としての荒々しい本能が鎌首をもたげてくる。
 女達の柔らかい肉にむしゃぶりついてみたい、
 泣き喚く彼女らを腹の下に組み敷いて固く屹立した塊を無理矢理ブチ込んでみたい、
 そして、彼女らの胎内に思う存分、欲望の体液を放出したい・・・・
「・・・・い、いえ、結構です。これから処刑される女性を強姦するなんて悪趣味でしょう」
だが私は、幾分の迷いを押え込んで、大佐の申し出を断った。
 ・・・・処刑されるんじゃなければ、頂いたかも知れないな、
そう思いながら私は処刑に必要な装置の点検を始めた。


「カウントダウン5、4、3、2、1・・・・注入開始!」
 ブレントウッドの声でカウントダウンが開始され、彼の命令で部屋に白い色を着けられた有毒ガスが放出される。

「いっ、今すぐ止めなさい。私達は正規軍の士官と下士官なのよ!こんなこと、許されるわけが・・・・」
「わああっ!・・・・姉さん!嫌、いやぁああぁ!」
 それまでまるで人形のように椅子と地べたに固まっていた二人だったが、
白い色を着けられているガスに包まれると流石に恐怖心を喚起されたか、
生命への未練を思い出したか、急に泣き叫び始めた。

「は、早く私達をここから出しなさ、うぐっ・・・・ごふぅっ!・・・・くっ、ぐぶっ!!」
「嫌っ!こんなの・・・・やだ、ゥッ・・・・こはっ!かぁ・・・・あぇ・・・・」
 必死で非難や助けを求める声を出していた二人だったが、ガスを吸い込むと苦しげに咳込み始めた。
呼吸を制限されて苦悶し、裸の身体を捻って身悶えしている。

「あ、あ、あ・・・・や、やめぇっ!ここから出し、て・・・・ぐひゅうぅ・・・・」
「おごっ!・・・・ぐ、ぐる、じぃ・・・・助けぇ、姉さん、たすげ、げふっ!・・・・こひゅぅー」
 姉に助けを求める妹の声は、自らの咳でかき消された・・・・。
 二人とも、まるで綺麗な空気を求めているかのように口を大きく開け、喉の奥を苦しげに鳴らしている。
そこから突き出たピンク色の舌が、艶めかしくフルフルと震えている。
口の端からは細かい泡の混じった涎をだらしなく漏れ流している。
やはり大きく開かれた目は真っ赤に充血し、大粒の涙をポロポロとあふれさせる。

「あがっ!・・・・私は、いい!いいから・・・・せ、せめて・・・・妹だけ、でも・・・・助け、ぇ」
「ひっ!ひぐうっ・・・・姉さん、姉さぁん!・・・・あがぁ・・・・ごごほっ!!」
 自分も苦しい状況にありながらも、助けを求める声を聞くと、せめて妹だけは助けてくれと懇願し始める姉。
そしてその声を聞き、弱々しくも更に姉を呼ぶ妹・・・・。

「うごっ!・・・・ごふごふぅっ!!」
 姉の方は椅子に拘束された身体を苦しげに捻じっている。全身を激しく暴れさせる為、
拘束された両手首と足首のあたりの皮膚が破れて血が滲んでいる。
わずかに自由の利く膝が開いて股間が割り開かれ、剥き出しにされた秘所が丸見えになってしまう。
やや毛深い金色の茂みや、その奥の度重なる陵辱で腫れ上がった陰唇がブレントウッド達の晒しものになっていた。
「はぅ、はひっ!お願いぃ、こ、この子だけ、は・・・・許して・・ふぐっ!・・くだ、さぁい」
 そんな惨めな醜態を晒しながらも、妹の身を案じてその助命を哀願している。

「かひゅうぅ・・・・こっ!」
  その妹の方はというと、両足をばたつかせて床をのたうち回っていた。
やはり大きく股を開いて苦しさに暴れているのだが、腕以外を束縛していないことがかえって
彼女に姉よりももっと無様な格好をさせることになった。
 仰向けになったりうつ伏せになったりしながら、床を転がり続けている彼女。暴れすぎて
椅子から身体が離れようとすると、首輪から伸びたチューブがピン、と張って彼女を引き戻す。
「ぐひゅうぅ・・・・がっ!がひぃぃ・・・・はひいぃ・・・・」
 そうこうしているうちに激しく暴れる体力が無くなってしまったか、
顔と両膝を床についたうつ伏せの姿勢で動きが止まってしまった。
ちょうど後ろから犯されるドッグスタイルの様な格好だ。苦しさに身を捩ると、ちょうど雄を求めて
浅ましく腰を振っているかのようにも見えた。だらしなく垂らした舌もまさしく犬のようだ。
 そしてその雌犬の姿勢は、彼女に何もかもを丸出しにさせていた。
苦しい呼吸に合わせるように開いたり閉じたりを繰り返す陰唇、
その上に位置する淡いピンク色をした菊門さえも、何もかもを晒け出している。

・・・・それは、両軍通じて随一の精鋭部隊の中核メンバーであり、
ひょっとしたら大統領令嬢になったかもしれない二人の最期としては
あまりにも惨めすぎる光景だった。
 そしてそれをブレントウッドは無表情に、大佐は満足そうな笑みを浮べながら見守っている。

「ひゅ・・・・うぅっ・・・・」
「こはっ・・・・ひはっ、ごぉ・・・・」
 毛細血管が破れたのか、焦点が外れかけた目からは血の混じった涙が流れ、
二人の頬を赤く濡らす。
 喉の奥から絞り出されるような悲鳴も段々力無いものになっていく。
・・・・最期の刻が近づいているのだろう。

「お、お、お・・・・おぐぅっ!!」
 苦しみから解放されたのは妹の方が先だった。
 ビクビクビクン!!
 剥き出しの肉体が波打ち、脚がバンバンと床を叩く。
やがて痙攣が弱々しくなり、括約筋が緩んだのか股間から小水を漏らして金色の池を作る。

「じゅ、じゅぅ・・・・うヴぅえっ!」
 妹の無残な絶命の様を見て、姉の方は苦しい息の元で妹の名を呼ぼうと
必死で口をパクパクと動かし、喉を鳴らしている。
しかしすぐに、妹の後を追う様にして最期の刻を迎えた・・・・
「ぶはあぁっ!!」
 一際大きくビクンッ、と断末魔の痙攣がおこり、顎を上げて口から大量の泡を吹き上げる。
それを最後に、ときおり手足をピクピクと痙攣させる以外は全く動かなくなってしまった。
 力無く開いている口からだらしなく舌を垂らし、大きく見開いた目からは大粒の血涙が流れ落ちている。
 ショオオオォ・・・・・
 パックリと開いた女の亀裂から垂れ流された小便が、椅子の上に溜まり、そして下に零れ落ちる。
その金色の体液は、椅子の足元で息絶えている妹の死を辱めるかのように、
彼女の肉体に降り注がれていった・・・・。



 ・・・・静寂の戻ったガス室で、姉の虚ろな瞳が妹の亡骸を映していた。
その苦悶を刻んだ表情は、まるで妹に悲しげに語り掛けているようだった。
 (ごめんね、助けてあげられなくて)と・・・・少なくとも私にはそう思えた。
「中尉、完全に死んでます」
 私の部下の下士官の声がスピーカー越しに聞える。
 彼は防毒服に身を包み、ガスマスクを被って死体の確認作業をしている。
首輪を引っ張ってうつ伏せになっていた妹の肉体を起こし、
瞳孔を診たり脈を測ったりしている。
「こっちも、確認完了です・・・・それにしても、こんな美人が酷い有り様だな。ションベン垂れ流しで」
 その独り言混じりの部下の報告を聞いて、私は背中の大佐を振り返ってガス処刑が終ったことを告げた。
「終りましたよ」
「うん、ご苦労さん・・・・やっぱり惜しい事をしたかな・・・・殺す前にもう一回・・・・」
 本当に残念そうに、ブツブツと呟きながら部屋を出て行こうとする大佐。だがドアの前に立った時、
思い出したようにこっちを振り返って言う。
「あ、やっぱりこうしよう。彼女らの死体は24時間以内に焼却処分するつもりだ。
だがその前に、洗浄して私の私室に運ぶよう衛生兵に伝えてくれ」
 彼が私室でどういった悪趣味な行為をするのか、想像に固くないな・・・・。
私は呆れつつも、無言で敬礼して了解の意を示した。
「何なら君も・・・・」
「結構です」

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