「快楽殺人許可証 No.6」
第一話 六発の実包
Act.6
「…ついに、大詰めですね。」
地下の貴賓室で、俺は先刻までモニターを通して見ていた少女を見下ろしていた。戸山由香。聡明さと気品、そして希有な美しさを持ったこの少女は、今は膣から肺までを銃弾に貫かれ、秘部と口から鮮血をあふれさせて苦悶している。そしてその傍らでは、少佐が血にまみれた拳銃をハンカチで拭っているところだった。
「まあ、な。で、織部…貴官には、この子に死ぬ前に男の味を教えてやってほしいんだが…」
「お任せください、少佐。」
俺はそう言って、苦悶している由香の身体を背後から抱き上げた。由香は激しく血をせき込む。赤い飛沫が彼女の白い胸元に飛び散った。俺は由香の身体を部屋の隅に置いてあるベッドまで運び、その上にそっと横たえた。口と膣からの出血は相変わらず続いており、見る見るうちにシーツが赤く染まっていく。俺は少佐に向き直った。
「例の薬、用意してありますね?」
「無論だ。撮影が終わるまでは保ってもらわないとならないからな。技術部に言わせると、今度のは2回までは使えるらしい。」
「…では、始めるとしましょうか。」
俺は由香の体の上にのしかかった。由香はその俺をにらみつけ、かすれた声を出す。
「な、何を」
「わかってるだろう?」
俺は由香の右脚を膝でベッドに押さえつけると左脚を抱え込み、両脚を大きく広げさせた。鮮血にまみれた、しかしまだ男を知らない秘所がむき出しになる。俺はズボンの前を開けて固く充血した性器を露呈させた。由香は歯を食いしばって俺をにらみつける。俺はその由香の膣口に自らの性器の先端をあてがった。由香は身をよじって逃れようとするが、俺に両脚を押さえられているためほとんど腰は動かせない。俺は腰をわずかに突きだし、なおも必死にもがいている由香に性器を亀頭部まで突き入れた。
「…うっ…」
その瞬間、由香は低いうめき声を漏らすと自分の下腹部に視線を向けた。俺は少し体勢を変え、由香に接合部が、血にまみれた秘所に男根が潜り込んでいるさまがよく見えるようにしてやる。由香のやや目尻が下がった切れ長の瞳が大きく見開かれた。
「いやああああっ、あ、あぐ、ぐはっ!」
由香の悲鳴は、途中から苦しげな咳に変わった。肺からの出血をのどに詰まらせたらしい。由香が咳き込むたびに彼女の膣内も痙攣し、彼女の意志とは無関係に俺の性器を刺激してくる。俺は由香が咳き込み、苦悶するのを見ながらその感触を十分に楽しんだ。由香は三十秒近く咳き込むとぐったりとなり、荒い息をつき始める。元々色白の顔はさらに血の気を失って蒼白になり、脂汗にまみれていた。
「どうかな、気分は?」
「………い」
「ん?」
「…こ、この、変態!」
…どこまでも気丈な少女だ。内臓を鉛玉に引っかき回されているのに、まだ自分を陵辱している相手を罵倒する気力が残っているらしい。こういう極上の獲物は、敬意を込めて念入りに料理するのが礼儀というものだろう。
俺は右手の親指を由香からあふれた血に浸してそれを潤滑油とし、彼女の肛門に根本まで差し入れた。
「うぐっ…」
新たな苦痛に、由香はくぐもったうめき声を漏らした。俺はその親指と残りの四本の指で彼女の骨盤をわしづかみにすると、亀頭までしか潜り込んでいなかった性器をゆっくりと奥に押し込み始める。由香は必死に逃れようともがくが、骨盤を固定されてしまっては逃れようもない。
「……や、やだ、やめなさい……やめてよ…」
由香は血色を失った唇から鮮血とともに拒絶の言葉を漏らした。俺はさらに由香の膣内に性器を突き入れていく。彼女の内部はひどく狭かったが、おびただしい鮮血が潤滑油代わりになり、挿入にさほどの苦労はいらなかった。やがて性器の先端が由香の膣の奥に当たり、膣内の銃創から鮮血があふれる感触が伝わってくる。悪くない感触だ。膣全体も由香が苦痛にもがくたびに収縮と弛緩を繰り返して俺の性器を強烈に刺激してくる。由香にとっては不本意きわまりないだろうが、致命傷を負い、断末魔の苦痛にもがく彼女の体は俺に最高の快感を与えてくれていた。俺は由香の肛門から指を抜き、鮮血にまみれたその手で彼女の顎をつかむと自分の方を向かせて強引に唇を重ねた。
「う、ん、んーっ!」
由香は俺を見まいとするかのように固く瞼を閉じ、首を左右に振って俺から唇を離そうとした。しかし俺はそれを許さず、さらに強く唇を押し当て由香が口からあふれさせている鮮血をすすった。
「ん、んぐ…う」
しばらくそうしているうちに、由香の様子が変わった。瞳はほとんど焦点を失い、全身の痙攣は間欠的なものになり始める。蒼白だった顔色は紫色を帯び始めていた。唇を離してもその口から呼吸音は聞こえてこない。瞳は瞼の裏に隠れ、白目を剥き出していた。すでに意識は失われている。出血性のショック症状だ。このままでは、程なくして絶命してしまうだろう。
「少佐!」
「わかってる。」
少佐は懐から携帯用の注射器を取り出すと俺に投げてよこした。俺はそれを受け止め、由香の首筋に押し当てて薬液を注入する。
効果は、すぐに現れた。由香の、紫色にまでなっていた顔には赤みがさし、半開きになった口からは苦しげなものであるが呼吸音が漏れ始める。ややあって由香は数回咳き込んで喉に詰まった血を吐き出し、焦点を取り戻した瞳で俺を見やる。自分の身に何が起こったかつかみかねているようだ。
「どうだい、死にかけた気分は?」
「な…何を…」
「出血性のショックで死にそうになったからね、生命維持用の薬液を注射させてもらった。本来兵士の体内にポッドを埋め込んで重傷を負った際に自動的に放出されるようにして使うものなんだけどね。これで君は後2、30分は生きてられるよ。」
「な、なんでそんな…ものを」
「まだ、死なれたら困るからね。屍姦も悪くないが、まず生きてる状態で君を犯しているところを撮影しないとならないんだ…こういうふうにね。」
俺は、そう言うとゆっくりと腰を動かし、由香の血にまみれた、いや、血があふれてくる膣の感触を楽しみ始めた。彼女の膣内はひどく狭く、そしておびただしい出血のため滑りがいいためすぐに射精感がこみ上げてくる。しかし、俺はそれをこらえて腰の動きを次第に早めてゆく。性器を引き、突き入れるたびに接合部から鮮血が飛び散ってシーツや俺の制服が血で染まっていく。無論、現在の行為は由香にとってはひどい苦痛らしく、俺が動くたびに苦痛に悶えて膣だけでなく口からも血を吐き出している。抵抗しようにも両手は手錠で拘束されているし、人工筋肉で強化された俺の筋力は常人を大きく凌駕している。第一、膣から肺にかけて銃弾で貫かれていては体を動かすこともままならないだろう。そして、俺はさらに速い乱暴な動きで由香の体をむさぼった。
「あ、あぐ、が、がはっ!」
由香は再び血を喉に詰まらせ、背を丸めて苦しげに咳き込み始めた。それとともに由香の内部もきつく収縮する。その感触に、俺の忍耐も限界に達した。俺は性器を由香の奥まで突き入れ、その体をきつく抱きすくめる。
「や、やめなさい…出さないで!」
由香は、俺の動作の意味に気づいたらしい。傷ついた体に残った力を振り絞って俺から逃れようとする。俺は由香の体に回した腕に力を込めた。
「う、うぐっ…やめて…やめてよ…」
由香は、首を左右に振りながら拒絶の言葉を繰り返した。
「そんなに嫌がらなくたっていいじゃないか。どうせすぐに死ぬんだから、はらむ心配だってないんだし。」
「やだ…いやだぁ…」
由香は固く瞼を閉じ、涙を流し始めた。その口から、血の泡と悲痛な叫び声を絞り出す。
「…これ以上、私を汚さないでっ!」
皮肉なことに、由香のその言葉が俺の嗜虐心を刺激して射精の引き金となった。俺は由香の肋骨がきしむほど強く彼女を抱きしめると、強烈な快感とともに彼女の内部に精液を注ぎ込んだ。
「あ、あ、いや…」
自らの膣内に精液を注ぎ込まれる感触に、由香は呆然とした表情になってため息に近い声を漏らした。全身からがっくりと力が抜ける。俺はその由香の内部に、最後の一滴まで精液を流し込んだ。
俺は一分近く由香に性器を入れたまま快感の余韻を味わった後、彼女からゆっくりと身を離した。由香はその俺を睨みつける。しかし、先刻まで見せていたほどの強烈な意志力はその美しい瞳から失われているように見えた。彼女は苦しげな、呻くような声を漏らす。
「……ろ…して…」
「うん?」
「…もう…気が済んだでしょ…早く殺しなさいよ…」
「どうします、少佐?」
俺は少佐に向き直った。少佐は足早に俺達に歩み寄り、苦悶している由香の傍らに立つと腰のホルスターからレールガンを抜いて由香に向ける。由香は唇をかみ、瞼を固く閉じた。
しかし少佐は、いつまでたっても引き金を引こうとはしなかった。ただ、撃たれるのを待っている由香の顔を微笑すら浮かべて観察している。一分近くたったところで、由香は目を見開いて少佐を睨みつけた。
「…何…してるのよ…もう……いいでしょ?撃って…撃ってよ!」
「どうせあと三十分もすれば死ねるよ。それくらい我慢して、我々の目を楽しませてくれないかな?」
「何を…勝手な…」
「せっかちだね、君は。」
少佐はそういってくすくすと笑い、俺の肩に手を置いた。指先で俺の首筋の電脳端子に触れてくる。
『最後に残った一発の使い道だが、いい手がある。』
少佐は由香に聞こえないよう、端子を通じて俺に話しかけてきた。
『いい手?』
『ああ』
少佐は俺の脳に一気に自分の考えを流し込んできた。俺はそれを電脳回路で解析する。悪くないプランだ。
『了解、それで行きましょう』
俺が返答すると、少佐は俺の首筋から指先を離した。微笑を浮かべたまま由香と視線を合わせる。
「すぐに楽にしてあげてもいいが、条件がある。」
「え?」
「織部!」
俺は部屋の隅に視線を向けた。そこには、今までの撮影の過程で殺されず、由香を除けば一人だけ生き残った少女がおびえきった表情でうずくまっている。俺は彼女に歩み寄るとその片腕をつかんで強引にたたせた。
最後に残ったこの少女は、今回唯一の白人だった。つやのいい金髪と大きな青い瞳をしており、顔立ちは幼いが体つきは十二分に発達している。ウェストは細身の由香とさして変わらないが、乳房は一回りほど大きいだろう。また、白人にしては肌のきめも細かく、白くなめらかな肌をしている。
「や…やだ…離して」
少女の言葉を無視し、俺は乱暴に少女を由香の傍らまで引きずった。少佐は由香を拘束していた手錠をはずし、それで今度は金髪の少女の両手を背中のほうで拘束する。さらに少佐は少女に脚払いをかけた。少女は悲鳴を漏らし、両脚を大きく広げた格好でしりもちをつく。
「織部、押さえてくれ。」
「了解。」
俺は少女に背後から体を密着させ、彼女の両脚をさらに大きく広げさせた。少佐はその少女の秘部を押し広げると、膣内に5人の少女の血を吸ったM29の銃身を挿入し、撃鉄を起こす。
「ひっ…」
固い金属の感触に、少女は全身をこわばらせた。少佐は由香の傍らにかがみ込むとその頬に軽くふれる。
「私が何を考えているか、わかるかな?」
「…私に、あの銃の……引き金を引けって、言いたいの?」
「ご名答。」
少佐はそう言っておびえきっている金髪の少女に視線を向けた。
「君があの子を殺してくれれば、君をすぐに楽にしてあげるよ。」
「や…いやあ…」
由香より先に、金髪の少女の方が少佐の言葉に反応を示した。悲鳴を漏らし、下半身をよじって膣内に押し込まれた拳銃を吐き出そうとする。俺は少女の耳元に口を寄せた。
「あまり暴れると暴発するよ。」
「!」
少女は息をのみ、全身を固く硬直させた。そのとき、由香が苦しげな声を漏らす。
「……誰が…あなた達の思い通りに…なるものですか!」
「ほう?」
少佐は大きな瞳をさらに見開いて由香を見つめた。由香は真っ向から少佐をにらみ返す。その切れ長の瞳には、前に見せていた強烈な意志力が戻ってきていた。
「…たとえずっとこの苦しみが続くにしても、あなた達の思い通りになって人殺しをするよりは遙かにましよ…せいぜい好きなだけ、私が苦しみもがくさまを撮ればいいわ…指一本だって、あなた達の思うようには動かしてあげないから!」
由香はそこまで言うと、呆然としている金髪の少女に顔を向けた。
「安心して…私は…こんな連中の思い通りには…しないから…」
由香はそう言うと瞳をわずかに細め、唇の端を上げた。それが微笑と呼ばれる表情であることに気づくのに俺は数秒の時間を必要とした。由香は少女を安心させようと、笑みを浮かべたのだ。不可避となった死と激烈な苦痛は、むしろ彼女に最初に見せていた高潔さを取り戻させてしまったらしい。しかし、それもまたいいだろう。
「…面白い。君は本当に、極上の獲物だよ。」
少佐は立ち上がると、まんざら皮肉でもなさそうな口調でつぶやいた。腕を組み、その長身を壁にもたれかからせる。
「じゃあ、見せてもらおうかな。君がどこまで我慢できるか…腹を撃たれると、訓練を受けた大の大人だって殺してくれって泣き叫ぶものだ。」
しかし由香よりも、少佐の方が先に音を上げることになった。それから20分もの間、由香は苦痛に耐え続けたのだ。脂汗にまみれ、口と膣から血を垂れ流し、激しい苦痛に苦悶しながらも、由香は少女に挿入された銃には目も向けなかった。俺とも、少佐とも視線を合わせず、時折胸元や腹部をかきむしりながら、ただ必死に苦痛に耐え続ける。その姿は、俺の嗜虐心と憐憫の双方を刺激した。
「…埒があかないな。」
20分たったところで、少佐は組んでいた両腕をほどいた。金髪の少女に向かってかがみ込むと、彼女を拘束していた手錠をはずす。
「立派だと思わないか?あれだけ苦しみながら、私の誘惑に屈する素振りも見せない。ふつう、あれだけの苦痛にさいなまれたら、理性もプライドもなくなって楽になろうとするものだよ。」
「あ、あ…」
しかし少女は、恐怖のためか少佐にまともな返事をすることもできなかった。ただ、意味をなさない声を漏らすだけである。少佐は軽くため息をつくと由香に向き直った。
「じゃあ、ここで君の誠意がどこまで彼女に通じているか試してみようかな?」
「な…何ですって?」
少佐の言葉に危険な意図を感じ取ったのだろう、由香は険しい表情で少佐を見返した。少佐は少女から拳銃を抜くと、それを俺に手渡す。少女の膣内に長時間差し込まれていた銃身は生暖かく、そして濡れていた。俺はその銃身を握ると、少女に向かって拳銃を差し出す。
「…え?」
「君には、あの子をさらに苦しめる手助けをしてもらおうかな。今度は…そうだな、彼女の肛門に銃身を入れて弾丸を撃ち込んでくれ。さっきの薬がまだ効いてるから、死ねはしないだろうな。」
「そ、そんな…」
少女はうわずった声を漏らした。俺は部屋中に散乱している他の少女達の死体に視線を移す。
肝臓を撃ち抜かれ、片目をえぐり出された少女。
下腹部に銃弾を撃ち込まれ、腹部を切り裂かれた少女。
膣に眼球を押し込まれ、膣口から視神経をはみ出させたまま眉間に銃弾を撃ち込まれ絶命した少女。彼女は片手の指を四本切り落とされており、死体の前にはその四本の指がやや曲がった状態で散乱している。
そして、膣内に銃身を差し込まれて体内に銃弾を撃ち込まれた少女。彼女は膣だけでなく臍、切り裂かれた上腹部、そして磁力弾を撃ち込まれた頭部からも大量の血を流して絶命している。この部屋にはかなり強力な換気装置が設置されているのだが、それでも濃厚な血臭が我々の嗅覚を刺激していた。
「ああはなりたくないだろう?」
「………」
少女の視線は、俺の視線を追うように少女達の死体の上をさまよった。俺は、十秒近く待ってから再び口を開く。
「俺の言うことを聞いてくれたら、君だけは助けてあげても」
「た、助けて!」
俺が言い終わる前に、少女は悲鳴に近い声を上げた。俺は笑みを浮かべてみせる。
「ほう?」
「なんでも、なんでも言うことを聞くから、殺さないで!」
「じゃあ、俺は君に、あの子にお尻の穴から銃弾を撃ち込んで欲しいんだが、やってくれるんだね?」
「や、やります、だから殺さないで…お願い!」
少女はせっぱ詰まった表情で即答した。まあ、考えてみれば自然な反応だ。それにこの反応は俺が誘発したものでもある。彼女がすぐに決断できるよう、他の少女達の死体を充分な時間をかけて観察するように仕向けたのだ。俺は由香に視線を移す。
「だ、そうだよ。」
「………」
由香は瞳を閉じ、俺達から顔を背けた。
「冷たいと思わないか?君がこれだけ我慢して助けようとしたのに、自分が助かりたい一心で君をさらに苦しめるのを手伝ってくれるそうだ。ひどい話だと思わないか?」
「………」
「よって判決は、死刑。」
『えっ?』
由香と少女は、同時に同じ言葉を漏らした。俺は少女に差し出していた銃を軽く空中に放り投げて持ち替え、銃口を少女の眉間に向ける。少女の顔から一気に血の気が引き、紙のような色になった。
「あ、あ…」
「やめなさい!」
由香は、俺がたじろぐほどの鋭い制止の声を出した。俺は思わず由香を振り返る。彼女の美しい瞳は、凶悪とすら言っていい光を浮かべて俺を睨みつけていた。
「もう充分でしょう?四人も殺して…私も死ぬのに、まだ殺したりないの?あとは、好きなだけ私をいたぶればいいじゃない…その子まで殺すことは」
「本当にいい子だね、君は。それに引き替え」
俺はそこまで言うと金髪の少女に向き直った。
「冷たいじゃないか、君は。一発で殺してもらえるだけ、ありがたいと思いたまえ。」
「ひいっ!」
眉間に銃口を向けられた少女は、立ち上がって逃げ出そうとした。無駄な努力だ。この部屋の扉にはすべて鍵がかかっており、俺と少佐以外に開けることはできない。
しかし扉に鍵をかけておくまでもなかった。立ち上がって走り出した少女はしかし、すぐに床にできていた血だまりに足を取られて無様に転倒した。俺はその少女にゆっくりと歩み寄る。少女は今度は立ち上がれず、床をはいずって俺から逃れようとした。俺はその少女を部屋の隅まで追いつめる。
「もう後がないよ?」
「や…やだぁ…殺さないで」
壁際まで追いつめられた少女は、涙を流して懇願した。俺は口元に笑みを浮かべながら少女に銃口を向ける。由香のように気丈なのもいいが、こういう反応もそそるものだ。
「お願い…死にたくない…死にたくない…」
少女の体はがくがくと震えだした。白い肌は冷や汗にまみれている。俺は少女の恥丘に視線を移した。そのまま十秒ほど待ってみる。
そこまで待つと、少女も俺の視線がどこに向いているか気づいたらしい。彼女は、自分から俺に向かって両脚を開いた。
「殺さないで…私の体を好きにしていいから、だから」
「ほう?」
俺は、わずかに少女から銃口をそらし、少女の股間を凝視した。少女の瞳に希望の色が浮かぶ。
「ねえ、お願い…」
少女はさらに自分の股間に手を伸ばし、肉ひだを広げて俺に秘所をさらしてみせた。少女の小陰唇は、それなりに経験があるらしくかなり肥厚して広がり、複雑な形に発達していた。しかし体質的なものか色合いはきれいなピンク色をしており、グロテスクな印象は受けない。俺はズボンの中で自分の性器が充血するのを感じた。
「結構きれいな色だね…そそられるよ。」
「じゃ、じゃあ」
少女は笑みすら浮かべ、俺に向かって身を乗り出してきた。助かると思ったのだろう。俺は言葉を継ぐ。
「お言葉に甘えて味見させてもらおうかな。ただし。」
俺は再び少女の眉間に銃口を向けた。少女の表情が凍結する。
「君を殺した後でね。」
「え、あ…」
少女の顔から見る見るうちに血の気が引いた。青ざめた顔が恐怖にゆがむ。俺は引き金にかけた指に力を込めた。
「やっ、きゃああああああ」
少女の甲高い絶叫は、銃声とともに唐突に中断された。彼女の眉間に黒い穴がうがたれ、一瞬の後、彼女が背にした壁におびただしい量の鮮血と脳漿が飛び散る。さらに、着弾の衝撃で少女の顔から汗と涙が飛沫になって飛散した。即死した少女はがっくりと首を垂れ、大きく広げたままの両脚が間欠的に痙攣を始める。眉間の銃創からも血がこぼれ、むき出しになった秘部の上にしたたり落ちた。俺は、今は7メートルほど離れたところにいる由香の方へ視線を移す。いつの間にか、由香はベッドから転げ落ち、床に這いつくばっていた。
由香は、唇をかみ、睨み殺さんばかりの鋭い視線を俺に向けていた。そして。
「…こ…………る…」
由香は、か細いうめき声を漏らしながら、俺に向かって這いずって来はじめた。傷ついた体で、必死に両腕と両脚を動かして俺に近づいてくる。彼女の視線は、俺の腰のあたりに向いていた。その視線の先には。
「ほう…」
俺は思わず賛嘆の声を漏らしていた。由香が凝視しているのは、俺が腰に吊ったホルスターだった。この中には当然、拳銃が納めてある。
「……こ…して………や……」
由香の瞳は半ば焦点を失い始めていた。ただ、俺が腰に吊った拳銃のみを凝視しながら必死に俺ににじり寄ってくる。やがて彼女は俺から2メートルほどのところまで近づいて来た。由香が這いずった後には、膣から垂れ流した血が跡を引いている。俺は立ち止まったまま彼女が近づいてくるのを待った。
「……殺してやる………殺してやる……」
そして由香はついに、俺の足下まで到達した。血の気を失い、脂汗にまみれた右手がズボンの膝のあたりをつかむ。彼女はそこを支えとして自らの体を持ち上げ、今度は左手で腰のベルトをつかんできた。今度はそこを支えに体を持ち上げ、俺の腰から拳銃を抜こうというのだろう。しかし。
「…ぐ…う…ごふっ!」
俺にもたれかかった由香は、咳き込んで血の固まりを吐いた。背を丸め、荒い息をつく。俺はその背中をさすってやった。
「ほら、しっかりして。銃は目の前だよ。」
「………」
由香は、ほとんど焦点を失った瞳で俺をにらみ返した。再び必死に体を起こし始める。そして。
驚いたことに、由香は、俺に掴まってではあるが二本の脚で立ち上がった。その膣からは相変わらず出血が続き、彼女の両足の間に血溜まりを作っている。そして彼女の右手が俺のホルスターに伸びてきた。俺はあえて手を出さず、彼女がそこから拳銃を抜き取るに任せる。拳銃を抜いたところで気が抜けたのか、由香は再びがっくりと膝をついた。しかし拳銃は離さず、震える右手で必死に拳銃を持ち上げ俺にねらいを付けようとする。俺が腰に吊っていた拳銃はワルサーPPKで、薬室にはすでに弾丸が装填されているため後は引き金さえ引けば弾丸が飛び出す。
「織部、悪ふざけがすぎるぞ。」
由香にあえて拳銃を奪わせた俺に、少佐はやや厳しい口調で言った。だが俺は、由香に一矢報わせてやるつもりだった。無論わざと殺されてやる気はない。銃弾をかわす動作はするし、この状態で由香の放つ銃弾をよけきれないはずはない。しかし、万一由香の手で射殺されるにせよ、それはそれでいいだろう。
由香は、俺の頭に拳銃を向け、何とか引き金を引こうとしていた。しかしすでに致命傷を負っている彼女の腕は激しく震え、指にも力がこもらないのか引き金もなかなか引ききれずにいる。俺は彼女に笑いかけた。
「がんばって。あと少しだよ。」
「………死に…なさい………この…下司!」
由香はそう叫びざま、渾身の力を込めて引き金を絞った。俺はそれとタイミングを合わせて大きく頭をのけぞらせる。
銃声。俺の顔面を爆風がひっぱたき、左頬に鋭い痛みが走る。由香の手から反動でワルサーが離れ、鈍い音を立てて床に転がった。それにやや遅れ、空薬莢が落ちるかすかな音が聞こえてくる。
由香の放った銃弾は、のけぞった俺の頬をかすめて天井にめり込んでいた。俺はにっこりと笑って由香の頬にふれる。
「よく頑張ったけど、惜しかったね。」
「あ…あ…」
由香は虚脱したような表情で俺を見返した。数秒の後、その体からがっくりと力が抜けて床に崩れ落ちる。半開きになった瞳は、完全に焦点を失っていた。俺はその首筋に手を当ててみる。幸い(彼女にとっては不幸にして、だろうが)まだ脈があった。俺は彼女の体を抱き起こし、背後から左腕だけで抱きすくめた。右手でズボンのボタンをはずすと固く怒張した性器を露呈し、その先端を由香の肛門にあてがう。
「死ぬ前に、こっちの処女ももらおうかな。」
由香はしかし、ほとんど意識を失っているのか俺の言葉には反応しなかった。俺は由香の膣からあふれた鮮血を潤滑油にして彼女の肛門に深々と性器を押し込む。
「うう…」
由香はため息に近い声を漏らし、わずかに身をよじった。しかしその動きは抵抗と言うより反射に近い。彼女の内部はなめらかで熱く、そしてきつい締め付けで俺の触覚を満足させてくれていたが、しかし由香自身の反応がほとんどないのでは張り合いがない。俺は再び、先刻少佐から受け取った注射器を由香の首筋にあてがった。残った薬液をすべて由香の体内に注入する。
「う、うぐ……あ…あ…」
今度は、効果が現れるのに若干時間がかかった。しかししばらく待つと由香の瞳に再び光が戻ってくる。もっとも、おびただしい出血のためか、顔色は蒼白なままだった。
「目が、覚めたかな?」
「…く、苦しい………」
「もう少しの辛抱だよ。」
俺はそう言って腰を動かし、由香の直腸内の感触をむさぼり始めた。俺が動くたびに由香の膣から血がこぼれ、床の血溜まりが広がってゆく。
「あ、あぐ、や、やだ、やめて……やめて……」
由香は弱々しい声で呻き、両腕で何とか俺の体を突き放そうとした。しかしもはやその体にほとんど力は残っていないようで、その両腕から感じられる抵抗はごくわずかだった。俺はさらに動きを早め、由香の体をむさぼる。
「ひあ、あ…苦しい…苦しい……」
さすがにもう精根尽き果てたのか、由香は悲鳴を漏らし、苦痛を訴えるだけだった。そろそろとどめをさしてやってもいいだろう。俺は腰に吊った戦闘指揮用の錫杖を手に取った。これは全長60p、太さ1pほどの炭素繊維性の棒で、先端はやや細く、そしてチタン製のキャップがかぶせてある。俺はその棒を由香の膣内にゆっくりと挿入し始めた。
「や…やだ…何を」
「そろそろ、終わりにしてあげるよ。あと少しだから我慢して。」
俺は由香に笑いかけると、膣の奥まで押し込んでいた棒を、銃弾によって開けられた穴から一気に彼女の腹腔内に突き入れた。
「ぐ、うあああああああっ!」
指揮棒は由香の傷ついた腸を押しのけ、腸間膜を引き裂き、そして肝臓を突き上げた。あまりの激痛に由香は大きくのけぞって絶叫する。彼女の肛門もきつく収縮して俺の性器を締め付けた。俺はさらに指揮棒を引き、そして突き入れる動作を繰り返して彼女の腹腔内を引っかき回す。由香の腹の中からは血にまみれた腸がこすれあわされる水っぽい音、そして腸間膜が引き裂かれるぶちぶちという音がやや低くくぐもった響きで聞こえてきた。膣口からの出血も激しくなり、指揮棒を握った俺の手におびただしい鮮血がしたたり落ちてくる。
「あ、ぐあっ、ぐ、う、うあああ」
そして由香は切れ長の目を見開き、とぎれとぎれに悲鳴を漏らしながら俺から逃れようともがいていた。しかし俺は由香を固く抱きすくめたまま、さらに彼女の内部をかき回す。そのたびに由香の肛門も激しく痙攣して俺の性器を刺激した。俺はたまらず動きを止め、再び由香の内部に精液を注ぎ込む。
「うっ…」
驚いたことに、腹の中を滅茶苦茶に引っかき回される苦痛の中でも、直腸内を穢された事には気づいたらしい。由香は俺を振り返り、憎悪を込めた視線で俺を睨みつける。俺は指揮棒の握りに付けられたボタンを押した。それと同時に由香の腹の中からかちり、と鈍い金属音が聞こえてくる。この指揮棒には仕掛けがあり、こうすることで指揮棒の先端から5pほどの針が出て刺突用の凶器になるのだ。
俺はその、全長65pの槍になった指揮棒で、由香の右の腎臓を探り当てて一気に串刺しにした。
「!」
腎臓を刺される苦痛というのは、腸を傷つけられる苦痛とは全く異なる。その苦痛のみで死に至るほどの激痛であり、我が軍でも歩哨を殺すときは背後から忍び寄って腎臓を刺すよう教育しているほどである。由香は悲鳴すら出せず、ただ、背骨が折れそうなほど大きくのけぞった。その瞳はまなじりが裂けそうなほど見開かれている。俺は素早く指揮棒を引き、今度は左の腎臓を串刺しにする。
「…ひゃ…ぐ」
その、いささか品位に欠ける悲鳴が、この高潔で気品に満ちた少女が漏らした最後の声になった。由香はがっくりと首を垂れ、四肢を小刻みに鈍く痙攣させ始める。俺が手を離すと、力を失った細い体は自らが作った血溜まりの中にうつぶせに倒れ込んだ。そのままでは撮影するうえで見栄えが悪いので、俺は彼女の体を仰向けにひっくり返してやる。先刻までいっぱいに見開かれていた瞳は今は半ば閉じかかっており、目尻には涙がたまっていた。瞳孔は大きく開いている。いまだに痙攣を繰り返している形の良い両脚は大きく広げられ、指揮棒をくわえ込んだ秘部をさらけ出していた。そして、その秘部から水音をたてて黄金色の液体が流れ出し始める。その液体は秘部と肛門の周辺から血を洗い流し、床の血溜まりと混じり合ってそれをオレンジ色の水たまりに変え始めた。俺は彼女の首筋に触れてみる。脈は、完全に止まっていた。
そして彼女の股間のあたりにできたオレンジ色の水たまりは、湯気を立てながらじわじわと広がり始めていた。考えてみると、撃たれる直前に失禁した以外では、どれだけ苦痛や恐怖を与えても彼女は尿を漏らしたりしなかった。
「可哀想にね。いくら生きてる間必死に我慢しても、死んだら垂れ流しになるし」
「そしてその有様もしっかり撮影されてしまう、と。」
いつの間にか、少佐が俺のすぐ背後に立っていた。彼女は穏やかな微笑を浮かべて由香の亡骸を見下ろしている。
「ご苦労だった。最近撮った中では最高の作品になりそうだ。やはり貴官が一緒だと仕事がはかどる。」
「恐縮です。」
「じゃあ、すまないが少し席を外してもらえるか?」
少佐はそう言って俺に笑いかけた。俺も笑みを返す。
「…個人的な、お楽しみタイムですね?」
「ああ。彼女以外なら、貴官も好きなのを選んで別室で」
「じゃあ、さっき言ったとおりあの金髪の少女を借ります。」
「相変わらずの金髪好きだな。あの准尉をそばに置いてるのもそのせいか?」
「アダミ君は別格ですよ。で、残りの作業は?」
「二時間後に始める。」
「了解。」
俺は少佐に敬礼すると金髪の少女の死体を担ぎ上げ、部屋をあとにした。俺が金髪の少女でそうするのと同様、少佐は由香の死体で屍姦を楽しむのだろう。スナッフビデオの撮影というのはある意味では危険きわまる仕事だし、これくらいの役得はあってもいい。撮影現場では危険など皆無に等しいが、我々の『犯罪』を裁こうとする連中との暗闘は日常茶飯事である。世間にはこの高尚な趣味を理解できない人間があまりにも多いのだ。
2週間後、今回のクライアントにフィルムと由香の死体を納入する際に行われた食事会では彼女の臓器を使った料理が供された。腸詰め、肝臓の刺身、心臓のシチューなども美味かったが、中でも絶品だったのは由香の脳を使ったスープだった。
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