岡田斗司夫なう。

2014年05月14日

岡田斗司夫の2014年春アニメ“おすすめ”三選“がっかり”二選

この記事のポイント
1.真面目におバカで面白いダイミダラーとジョジョにはがっかりだよ!
2.アニメを見続けて良かったと思わせたピンポン
3.松本大洋に襲い掛かる漫画界絶対の法則
4.エンディングが毎回楽しみな監督不行届とシドニアの騎士のいまいち感
2014年5月4日岡田斗司夫ゼミ「秒速で1億稼ぐ男~美味しんぼ福島問題、転覆事故で分かった日本人の韓国嫌い」までより

「ピンポンってどんな漫画なんですか? 有名なんですか?」という質問……ピンポンを知らない!?
僕が今季春アニメで楽しみしてるのは、『ピンポン』、『監督不行届につき』、『健全ロボダイミダラー』の3本なんだよ。

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┃真面目におバカで面白いダイミダラーとジョジョにはがっかりだよ!

健全ロボダイミダラー』は、この前お楽しみになったんだけどみんな見た? “ハイエロ粒子”だよ! 登場人物が二人乗りで、前に女の子、後ろに男の子で、男の子がロボットの操縦中に女の子のおっぱい揉んだら、スケベな気持ちが盛り上がって来て、女の子が「ハイエロ粒子が放出されます」と言って強くなるロボットアニメなんだけども、ここまで言っても、冗談だと思うじゃん? これを本気でやってんだよ! だいたいこういうのはふざけて一発屋で終わるんだけど、割ときちんと作っているところが僕は好きです。

それに比べてガッカリしたのが『ジョジョの奇妙な冒険~スターダストクルセイダーズ~』なんだ。アニメは第二部まではすごくおもしろかったから、「今回のもいいかもな」と思ったんだけれども。第三部は、第一部、第二部と同じようにちゃんと原作の画で、「ドゴォン」とか「オラオラオラ」とか、やってくれてるんだけど、なぜなのかよくわかんないんだけども、急にパワーがなくなって面白みが無くなったんだよね。

ここでは『ジョジョの奇妙な冒険』がなんで僕にとってイマイチ駄目なのか、その理由を言ってもしかたがないので、『ピンポン』がなんで良いのかという話をします。

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┃アニメを見続けて良かったと思わせたピンポン

『ピンポン』を見て、「アニメ見続けて良かったな」、「アニメには、まだこんなに表現というのができるんだ」という風に思ったんだよね。監督の湯浅さんの力もあるんだろうけども、スタッフがすごくノリノリなんだよ。
例えば、『悪の華』とかでもやってた、実写であらかじめ俳優さんの動きを撮って、そっからアニメーションに起こすロトスコープという技法があるんだけど、『悪の華』での「なんとかこういう技法でやってます」というところから、「どのように省略したらよりかっこいい絵になるのか」という、画作りのところまでが見えてくるのが『ピンポン』の物凄くおもしろところなんだ。ストーリーも松本大洋先生の漫画では一番わかりやすいしね。

松本先生はもともとアーティスティックな漫画を描く人で、僕はすごく好きなんだけども、ちょっと一般受けしにくい作家でもあるんだよね。昔、ビックコミック・スピリッツに漫画を描いてて、マニアとか漫画が好きな人は、松本先生は凄いって言ってたんだけど、そんなに人気は無かったんだよね。
僕はものすごく好きなんだけど、ボクシングの『ゼロ』というボクシング漫画を描いてたんだけど、それも人気がでなくて。そこでついに編集長が「今度はスポーツモノ、それも球技しか駄目、変なスポーツとかやっちゃ駄目」と指定したんだ。今度は高校生のスポーツ物、それも球技しか駄目と言われた松本先生は「じゃあ『ピンポン』で行きます」というすごく意地悪な回答を持ってきたんだ。

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┃松本大洋に襲い掛かる漫画界絶対の法則

この編集長の判断には、浦沢直樹が実力があるのに、ずっとヒット作に恵まれなかったところに、スピリッツが「もうスポーツモノしかやっちゃ駄目、それも球技」と言ったら、テニスマンガで『Happy!』や柔道で『YAWARA』を持ってきてヒットを出したことと同じで、実力はあるんだけども、いまいちメジャーになれないアート系の作家をメジャーにする「スポーツモノ、対戦モノ、球技モノをやらせれば良いんだ」という絶対の方程式があったからなんだけども、松本先生が絶対の方程式に対して持ってきたのが『ピンポン』で、卓球なんかが漫画としておもしろく描けるのかと思ったら、とてつもなくおもしろくて、おまけにスタイリッシュでかっこよくなっちゃったんだ。

松本先生の漫画は、画的な完成度がすごいから、アニメになったら、きつくなるだろうなと思っていたら、アニメの『ピンポン』は、漫画よりかっこよくできてるんだよね。とにかく、漫画の中で「カッコいい!このシーンだ!」というのが、全部きちんととアニメとして予想以上に動いてるし、予想以上の色味だし、音やエフェクトがきちんとかかっている。だから僕はピンポンを見て「今までアニメを信じて見続けて良かった」と思ったんだ。
この間まで、オープニングだけは「まあ、いいんだけど、こんなもんかな」と思ってたら、第三話から急にオープニングが完成したものに切り替わって、めちゃくちゃかっこよくなっていたので、ぜひ見てみて下さい。

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┃エンディングが毎回楽しみな監督不行届とシドニアの騎士のいまいち感

そして、今季春アニメお気に入りの3本目は『監督不行届』で、このアニメの見どころはエンディングの曲次回に何が流れるのか予測することなんだよね。
女の子のグループがユニゾンで歌っててめっちゃいいんだけど。第一回目が『帰ってきたウルトラマン』の主題歌で、第二回目が『オリンポスの女神』のポロポロポロンという、どうしようもないロリコンアニメのダメな曲。この間は『銀河鉄道999』のエンディングだったよね。今のところ特撮、アニメ、特撮、アニメの順番で来てるから。僕の次回の予想は、『快傑ズバット』、『地獄のズバット』じゃなくて、『二人の地平線』とかいくんじゃないかなと、こんなことを考えるのが楽しくてしょうがないぐらい、『監督不行届』は好きです。

『シドニアの騎士』に関しては、第一話見たんですけど、ああいうアニメはもういいです。僕は、もっと普通のことをきちんとやる、『監督不行届』みたいにするか、もしくは、意外なもので「本当にアニメを見てて良かった」と思えるような画を見せてくれるというものが良いですね。 だから、その意味では特撮ですごく面白い、画としてすごく良いものを見せるか、スタンダードなものをきちんと作って見せて欲しいと思います。
僕にとっての『シドニアの騎士』を見た感想というのは、今やってる『アメージング・スパイダーマン2』みたいなもので、「最近流行りの路線だけども、画をどんどん派手にしたり、設定をどんどん過激にすればいいというものじゃないよ」と、つい思っちゃうんですね。それよりは、この間の『キャプテンアメリカ・ウィンターソルジャー』みたいに、「最近のヒーロー物は現代アメリカ劇の代わりつつあって、かつてなら、刑事ドラマとか、社会派ドラマでやってたことを、スーパーヒーロー物というフォーマットに乗っけてやってるんだ」という、『シドニアの騎士』には、「かつてエロ漫画モノやロボットアニメというフォーマットに過ぎないことを、スーパーヒーローでやってる」といった感じの、ゾクゾク感が無かったのがちょっと残念でしたね。

※監督不行届第伍話のエンディングは、超獣機神ダンクーガーオープニングテーマより「ほんとのキスをお返しに」でした。次回エンディングの岡田斗司夫予想にご期待ください。

┃岡田斗司夫が超お勧めする『ピンポン』


この記事は、2014年5月4日
岡田斗司夫ゼミ「秒速で1億稼ぐ男~美味しんぼ福島問題、転覆事故で分かった日本人の韓国嫌い」までの放送内容をもとに、読みやすいように再構成したものです。もとになった動画の該当部分と聞き比べながらお楽しみください。

ライター:城谷尚也(FREEex)




otakingex at 18:00コメント│ この記事をクリップ!
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