上から目線の男の解説にうんざり! あなたの身近に必ずいる「マンスプレイニング系男子」とは?
「男の根拠の無い上から目線にイラッ」――そんな女性の気持ちを表現したある言葉が、2008年インターネット上に登場しました。その言葉は「マンスプレイニング」――「マン」(男)と「エクスプレイニング」(解説)をかけあわせた造語です。
その意味は「相手が女性だということを根拠に、相手は自分よりも今語られているトピックについて無知だろうと思い込んで、男性が女性に解説をし出すこと」(英語版 Wikipedia より、筆者訳)。「マンスプレイニング」は Twitter や Tumblr のハッシュタグとして急速に広まり、日本でも「英辞郎」に収録されました。
身近にいる「マンスプレイニング系男子」
マンスプレイニングにはどんなものがあるのでしょう。いくつか事例をご紹介します。
●Aさんの体験
職場で古いパソコンの入れ替えの時期に、ボソッと「最近うちのパソコンが遅くって。うちも替え時かなあ」とつぶやいただけなのに、隣にいた男性社員が「デフラグしてる?」「ウィルス対策ソフトは何使ってるの?」「ちゃんと自分でメンテナンスしなきゃダメだよ」と言って来た。できることは全部やった上でそれでも動作が遅いんだよ! と言いたかったが、めんどくさいので「そうですよね~」と言って何とか黙らせた。
●Bさんの体験
スマートフォンを買ったとき、適当な世間話として「まだ慣れなくて」と言っただけなのに、いきなり男子によるスマホ入門講座が開講されて戸惑った。本当は前から iPod touch を持ってたから、だいたいのことは自分で知ってたのに。30分越えの入門講座から学んだことは、男の前でスマホの話をしてはならないということだった。
●Cさんの体験
橋下徹大阪市長の従軍慰安婦をめぐる発言について女友達と話してたら、横から入り込んで来た男性社員が「どうして橋下があんなこと言うか知ってる?」と聞いて来た。この男の独自の理論なんて知らないし、そもそも興味ないから、どう返していいか分からずポカンとしてたら長々とくだらない解説が始まった。何て言えば逃げられたのか、今でも分からない。
「あるある!」と頷いている読者もいるのではないでしょうか。「マンスプレイニング系男子」は職場にも学校にも家庭にも蔓延しており、ひょっとしたらマンスプレイニング系じゃない男性を見つける方が難しいのかもしれません。
著者自身に本の解説をしてしまった「上から目線男」
2008年以降「マンスプレイニング」という言葉が英語圏で広まった背景にも、やはり「あるある!」と共感する女性の存在がありました。きっかけは、サンフランシスコ在住のライター、レベッカ・ソルニットがネット上に書いたエッセイ、「Men Explain Things to Me」(男は私にものを解説してくる)。そこには、パーティーに出席したソルニットの体験談が書かれていました。
――パーティー会場で男性に声をかけられたソルニット。「本を何冊か出してるんだって? 何について書いたのかな?」と尋ねる男性に最新作のテーマを伝えると、すぐに相手は「同じテーマで書かれたすごく重要な本が今年出版されたんだけど、君は知ってるかな?」と返し、その本の解説を始めた。しかしその本こそソルニットの最新作、『River of Shadows』だったのだ。同席者に「それは彼女が書いた本だよ」と3、4回指摘されるまで男は饒舌に著者自身に本の解説をしてしまった――
ソルニットはこれを「一部の男性」の問題だと言いながらも、「女性ならみんな知ってる」現象だと言っています。このエッセイが話題となり、共感する多くの女性がインターネット上で「マンスプレイニング」という言葉を発明しました。
男はそういうもんだから?
なぜか自分の方が相手よりも物知りだと信じて疑わない、上から目線の恥ずかしい「マンスプレイニング系男子」の中には、実際に物知りな男性もたくさんいるのでしょう。けれど、きちんと話をするまでは相手より自分の方が物知りかどうかなんて分からないはずですよね。
「男はそういうもんだから」――そんな言い訳が聞こえて来そうです。「男は共感じゃなくて問題解決のために建設的な話をするからね」という、「え、また上から目線?」と言いたくなるような言い訳もよく聞きます。
しかしAさん、Bさん、Cさんのケースでは、別に何の「問題」も解決されてはいません。
居酒屋にでも行って男同士の愚痴の言い合いに耳を傾けてみれば、ほとんどが「そうだよなぁ」「俺のときもそうだったよ」「まぁがんばれよ」「やってらんないよなぁ」と、共感の嵐。問題解決に向けての建設的な意見交換なんて誰もやっていません。
男相手には共感できても、女が相手だと上から目線になる「マンスプレイニング系男子」――その自信の根拠は、「自分が男であること」それだけなのかもしれません。
(文=マサキチトセ)
画像:Original Update by Dan DeChiaro
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