2月僅かな間だけ大地が黄金に輝く瞬間があります。
これがこの村の世界で一番美しい瞬間。
黄金色の正体は広大な菜の花畑。
その満開の季節を心待ちにする人たちがいます。
花を育てる農家。
年に一度のにぎわいの季節です。
小さい頃から何度見ても見飽きないわ。
一番よ一番。
菜の花の葉や茎を菜種油で炒める春のもてなし。
春を待っていた少数民族のカップル。
人生の大切な思い出をお花畑で刻もうとしています。
花を追い中国全土を旅するのは養蜂家の家族。
旅の始まりにこの地を訪れます。
大地にテントを張り家族と共に菜の花の恵みを待っています。
暮らしを支えときめきとにぎわいを運ぶ菜の花の春。
羅平には何度来ても感動します。
見て下さい。
広大でまるで黄金の中にいるようにいつも私を温かく迎えてくれます。
羅平には他のどこよりも深い思いがあるんです。
世界で一番大きな菜の花畑。
羅平の一番美しい瞬間を探す旅です。
菜の花の春を探して中国を南へ。
ベトナムやラオスと国境を接する雲南省です。
この先にあるのが羅平。
そこには広い中国の中で一番早く春がやって来るといいます。
菜の花が好きだから携帯電話も菜の花色の黄色なんですか?バスに揺られる事4時間。
羅平に入りました。
おぉ〜!菜の花が咲いてる。
あいにくの天気ですが黄色の輝きが…。
菜の花畑がずっと続いています。
ここが羅平県金鶏村。
世界最大の菜の花畑が広がっているといいます。
人々の暮らしを支えるのも菜の花。
種を収穫し菜種油を搾るために菜の花を育てています。
訪れた1月下旬。
まだつぼみが多いようです。
菜の花は下から花が開きます。
上のつぼみが開けば満開。
でも菜の花の満開は1週間ほどしかありません。
花畑の中にちょっと変わった場所を見つけました。
あっなんか道の両側に屋台?テント?なんかいろいろ…。
置いてますね。
何だろう?あっ箱。
箱がいっぱい置いてありますね。
あっえ?蜂がいっぱい飛んでるって事は…蜂蜜を採ってるんですかね。
菜の花畑は養蜂家たちの仕事場。
中国各地から来ているといいます。
花の開花に合わせ中国大陸を何千kmにもわたって旅する養蜂家たち。
冬の終わりが近づくと一番早い春を求めてここ羅平に集まってきます。
毎年ここ羅平の菜の花畑から養蜂の旅を始める人がいると聞き訪ねてみました。
こんにちは。
ニーハオ。
夫は今水くみに行って留守なんです。
あっ赤ちゃんですね。
今何か月ですか?2か月と8日です。
まだ2か月。
泣いちゃいますね。
そこにバイクに乗って一家のあるじが帰ってきました。
養蜂家の馬さん。
初対面でしたが笑顔で迎えてくれました。
花を追って数か月ごとに移動するテント暮らし。
水は毎日近くの湧き水をくみに行きます。
中を見せてもらってもいいですか?どうぞ見て下さい。
ありがとうございます。
馬さんは養蜂家になって16年。
テント暮らしにもすっかり慣れたとか。
中には生活用具がびっしり。
あっ!ほんとだついた。
電気は太陽電池をためて使っているんです。
羅平にいるのは2か月。
菜の花の時期が終わると巣箱と家財道具を積み次々と花が咲く土地へ。
北はロシアとの国境がある内モンゴルまで1万km以上も旅をします。
こういう生活で小さいお子さんもいらして大変じゃないですか?子供と一緒に暮らせるのは2〜3歳までです。
そのあとは実家に預けるしかありません。
長女の宝娥ちゃん。
ふだんは祖父母のいる実家から幼稚園に通っています。
冬休みだけでも一緒に過ごそうと連れてきました。
8か月ぶりです。
久しぶりに会えて娘も喜んでいます。
随分変わりました。
背も伸びたし。
馬さんの巣箱は全部で170。
蜂の様子に目が行き届くちょうどよい規模だといいます。
お〜ミツバチ。
今は女王蜂の産卵の様子を見て蜂の数を増やしているんです。
春のこの時期は冬眠をしていた蜂が目覚め繁殖をする大事な時です。
どうですか?出来は良さそうですか?今年の出来はあまり良くありません。
蜂の繁殖が遅れています。
実は馬さんが来た1月半ばに雪が降り菜の花が順調に育っていなかったのです。
羅平は気候の変化が激しく養蜂にはとても難しい土地だといいます。
(馬)初めて羅平に来た頃私はまだ未熟な養蜂家でした。
この土地の天候を把握できなかったんです。
寒さが60日も続いて何も対策ができずたくさんの蜂を死なせてしまった事もあります。
その失敗が馬さんを奮い立たせました。
先輩から冷たい春に備える技を学び巣箱を少しずつ増やしてきました。
(馬)ようやく天気が安定してきたのであと1週間くらいでいい蜜が採れると思いますよ。
間もなくやって来る菜の花の春。
蜂が順調に育ちたくさんの蜜が採れる時を待っています。
この日訪れたのは一面の菜の花畑を見渡せるという展望台。
ちょっと…ちょっと息が上がってきましたね。
日頃の運動不足が。
黒田アナは確か30代前半。
おかあさん何歳ですか?70歳!元気ですね。
あっ何か建物が見えてきましたよ。
山の中腹にあるお寺。
こんにちは。
ニーハオ。
実は展望台のチケット売り場も兼ねていました。
あっチケット。
上に登ればこういう景色が見られるんですか?おばあさんたちに励まされ麓から20分。
おっほほほ〜。
お〜!これはまた…。
見渡すかぎり菜の花畑。
ほぼ東京23区の大きさに花畑が広がっているといいます。
まさに圧巻。
花の海に浮かぶ島のような山々。
石灰岩が雨水に溶かされ生まれたカルスト地形です。
大地の営みと人の暮らしが一緒になってつくり上げた風景です。
菜の花が咲く春。
金鶏村には大勢の観光客がやって来ます。
村で一番と評判の食堂を訪ねました。
「郷里人家」。
ふるさとの家…ですかね。
中はこういうふうになってるんですね。
ここは菜の花農家が経営しています。
村で生まれ育ったさんです。
店の自慢はもちろん菜の花。
地元の特産だからね。
花も一緒に料理するの。
これは菜種油。
うちで搾った自家製よ。
朝摘み取ったばかりの菜の花をサッと湯通ししてから菜種油で手早く炒めます。
他にも蜂蜜や特産の山芋ゆり根を使った羅平名物のフルコース。
お味はいかがですか?この花の黄色が鮮やかやっぱ。
う〜ん!この菜の花のシャキシャキとした食感に油の香ばしさがす〜ごくよく合いますね。
シェイシェイ。
小さい頃から菜の花食べてたんですか?そうよ。
菜の花を食べて菜の花を見て育ったの。
さんは村にやって来る観光客が増えた4年前借金をして夫婦でこの店を開きました。
村の多くの人が出稼ぎに行く中大好きな菜の花を生かして地元で頑張ってみようと考えたのです。
さんの畑で収穫した菜種。
搾りたての菜種油の香りを楽しんでもらおうと加工設備を買いました。
あっこれ?すごい。
金色ですよ。
またこの香ばしい匂いもここで一段と強くなりますね。
いい匂い。
こだわりは地元の人しか知らない菜の花の魅力を訪れる人たちに味わってもらう事。
隣に建てた民宿の屋上からも菜の花畑を一望できます。
さんがとっておきの「美しい瞬間」がある事を教えてくれました。
あ〜外。
屋上なんですね。
あ〜ハハッ。
へぇ〜ここからも菜の花が。
菜の花の海よ。
すごい。
朝太陽が昇る時たまにだけどこの辺りに霧がかかる時があるの。
霧が出た時は太陽の光が霧と菜の花の海を赤〜く染めてすごくきれいなんですよ。
今でも十分きれいだと思っていましたがまだまだ上があるとは。
菜の花が村にたくさんの人を連れてきてくれます。
それが私の喜びです。
早く花が咲いて人が来るのが待ち遠しいわ。
満開の花と太陽と朝霧。
幸運な人だけが見られるという絶景。
黒田アナの運が試されます。
次に向かったのは羅平の山奥。
伝統的な暮らしを守る少数民族プイ族の村です。
(爆竹)1月下旬。
プイ族の村で結婚式がありました。
祝いの儀式は4日間続きます。
この日は新婦が新郎の家へやって来た事を祝う特別な日です。
(笑い声)21歳の若夫婦。
幸せいっぱいの時です。
新婦の李さんの実家は村で食堂を営んでいます。
夫婦で店を手伝いいつか自分たちの店を持つ事が願い。
実は2人にはもう一つかなえたい夢があります。
それは羅平の若者の間で流行している結婚の思い出作り。
菜の花畑に結婚の記念写真を撮りに行くんです。
花の海の雰囲気を感じたいと思います。
私は学校を卒業してからも家のお手伝いが忙しくて。
せっかくふるさとの自慢なのに今まで見に行く時間がなかったんです。
だからとっても期待しています。
どういう感じで結婚しようってなったんですか?小学校の頃からずっと同級生なんです。
家も近所だし幼なじみですから。
それからずっと連絡を取っていました。
彼は勉強をとても頑張っていました。
それにたばこも吸わないしお酒も飲まないから気に入ったんです。
李さんはお祭りや結婚式で着るプイ族伝統の衣装を身に着けて写真を撮るそうです。
お母さんが作ってくれたんです。
2種類用意しています。
このタイプはこんなふうに模様があるんですよ。
プイ族の女性は自分で布を織り生地を染め刺繍で飾りつけた服を作ります。
お母さんが娘のために一針一針心を込めた刺繍です。
李さんのお母さんがプイ族の伝統料理をごちそうしてくれる事に。
山で摘んだ草花を煮詰めその色でもち米を染める花ご飯。
お祭りやお客さんをもてなす時に食べる特別な料理です。
黄色は「密蒙花」という草の色。
とっても色鮮やか!紫とピンクは幸せ黄色は真実白は純潔を表しているんだそうです。
一体どんな味がするんでしょう。
うんうん。
ハオチー。
もち米のモチモチした食感になんかいろんな草花の香りが混ざったような。
春を食べてるみたい。
おいしい。
2人が心待ちにする菜の花の満開はもう間もなくです。
花の時期はちょうど旧暦のお正月。
中国で「春節」と呼ばれる大切な時です。
春節を間近に控え晴れの日が続きました。
しかしまだ朝晩の冷え込みは厳しいままです。
養蜂家の馬さん一家です。
自分でやるかい?今朝の気温は3℃にまで下がりました。
菜の花の満開を心待ちにする馬さん一家。
待ち受けているものがもう一つあります。
それは菜の花畑にやって来る観光客。
羅平の養蜂家たちは観光客に直接蜂蜜を売っています。
業者に売るよりも高く売れるので大きな収入になります。
馬さんは一年の収入の1/3をこうして稼いできました。
ところが。
アカシアの蜜ですよ。
試食してみて下さい。
どうぞ見てって下さい。
値段に見合うだけの価値はありますよ。
それはイバラの蜜ですよ。
なかなか売れません。
実は店先に並べているのは他の土地で採った蜂蜜ばかり。
肝心の菜の花の蜂蜜がないのです。
やっぱり観光客の目当ては菜の花の蜜ですね。
気まぐれな羅平の天気に馬さん一家は振り回されています。
(馬)これは今朝採った菜の花の蜜です。
濃度が低いですね。
すごく軽いです。
この品質ではお客さんに売るわけにはいきません。
春先の気温が低かった事で花の蜜が少なく納得のゆく蜂蜜がまだ採れないのです。
花がたっぷりと蜜を含むには気温が高く安定しなければなりません。
それまで蜂は持ちこたえられるでしょうか。
おなかがすいた蜂はよく人を刺します。
満腹になれば蜂の機嫌もいいんですが…。
人と同じですね。
奥さんは養蜂家の仕事は不安じゃないんですかね。
大変だけど彼がやりたい仕事ですから。
彼についていきますよ。
(馬)これは以前蜂に刺された痕です。
時間がたっても消えません。
手に経験が残っているんです。
違うでしょ。
違う。
全然違う。
いかに僕が苦労してないかって事ですね。
経験は私の宝物です。
事業の規模はともかく僅かな巣箱から始めて自分の手で築いてきた仕事です。
この手を見る度にその達成感があるんです。
家族の暮らしを支えてきた羅平の菜の花畑。
中国で一番早い春の恵みを待ちます。
春節が明けると晴れて気温の高い日が続きました。
待ちかねた満開の時。
はあ〜!気持ちいい。
黄金のじゅうたんですね本当に。
(歌)それは村の人たちがふるさとを一年で一番誇りに思える季節でもあります。
(歌)
(歌)村ににぎわいが押し寄せます。
春節明けの連休。
満開に誘われた花見客で村の人口は何倍にも膨れ上がりました。
稼ぎ時です。
花見を終えた観光客がさんのお店にも続々とやって来ました。
食堂は満席。
次々と注文が入ります。
中庭に追加の席を出す繁盛ぶり。
家族総出で手伝います。
一番人気はもちろん菜の花の炒め物。
搾りたての菜種油で作った春が香る一品です。
翌朝。
さんは娘と一緒に菜の花を摘みに行きました。
()小さい頃から見てきたけどいつ見てもきれいね。
()菜の花は今が一番美しい時期です。
お客さんもうちの村の景色が一番って言います。
一番ですよ一番!子供の頃は髪の毛を結んで菜の花を挟んだりしてよく遊びました。
()私は小さい頃から炊事や洗濯など家事は何でもやってきました。
都会の子供に比べるとここの暮らしは大変かもしれません。
でも私はこの村で育ったからこの村から離れたくはありません。
この時を待っていたプイ族の新婚さん。
山奥の村から街の写真館へとやって来ました。
今羅平の若者たちの間で流行している結婚写真は映画スターのようなドレスアップ。
2人は民族衣装だけで撮るつもりでしたが…。
結局奮発してドレスも着る事にしました。
いつも民族衣装やこんな感じの服を着ているのでドレスを着る機会はないですから。
服が決まるとお次はメイク。
1時間かけて変身です。
2人で初めて訪れる菜の花畑。
初めて来ました。
とてもきれいですね。
今日はドレスも着てるしすごくうれしいです。
(シャッター音)そしてこちらが本命の民族衣装。
(王)菜の花の海で一番美しい自分たちの瞬間を残せたので幸せです。
自然の中に包まれている感じです。
私たちの村は平らな土地が少ないのでこんなたくさんの菜の花はありません。
キラキラ光っていてきれいですね。
(王)これから2人で楽しく幸せな毎日を送ります。
そして夢に向かって頑張ります。
これが2人の世界で一番美しい瞬間。
蜂が満開の花畑と巣箱の間を激しく行き交います。
養蜂家の馬さんが待ち焦がれた時。
蜂がおなかいっぱいにして運んできた菜の花の命のエキス。
(馬)ここ数日天気が良かったので蜜もいい具合ですよ。
気温が低かった数日前とは色も香りも違います。
(馬)金色です。
菜の花の色ですよ。
いい蜜です。
たくさんの蜜を吸った元気な蜂から採れたから濃度が違います。
これが羅平で手に入れた金色の成果ですよ。
ようやく採れたての菜の花の蜂蜜が店先に並びました。
あっさりした甘さにほのかに香る菜の花。
馬さんこだわりの味です。
飛ぶように売れていきます。
どうぞ楽しんで!よかった。
苦労して採れた蜂蜜がいい値で売れてうれしいです。
今年も果たされた菜の花畑との約束。
(馬)大自然のテント生活は変化も激しくつらい時もあります。
一緒に始めた仲間も次々にやめていきました。
でも私は希望を持って養蜂を続けます。
自然に溶け込んで暮らしていると少々の事ではめげなくなりました。
私は羅平で人生の喜びも悲しみも味わってきました。
この大地の風景が私の心を開き人として大きく育ててくれたのです。
家族みんなで過ごした菜の花畑の春。
これから夫婦は娘と別れ長い旅に出ます。
来年の春ここ羅平での再会を夢みて。
さて旅の終わりに黒田アナの運が試される時がやってきました。
さんが教えてくれた太陽と朝霧と菜の花畑の絶景です。
見る事ができるでしょうか。
あ〜!すごい。
漂い広がる朝霧の中に山々が浮かんでいます。
そして…。
朝の光が霧を黄金色に染め菜の花畑の黄金色も更に鮮やかに輝いて。
いくつもの条件が重なった時にしか現れない奇跡の一瞬。
羅平に春を告げる世界で一番美しい瞬間です。
今日はですね…2014/05/10(土) 01:00〜01:45
NHK総合1・神戸
世界で一番美しい瞬間(とき)「大地が黄金に輝く瞬間 中国雲南省・羅平」[字]
世界一の菜の花畑、その満開のときを待つ人々。花を追って一万キロの旅に出る養蜂家。人生の節目をお花畑に刻もうとする新婚夫婦。美しい瞬間を探す中国・雲南省への旅!
詳細情報
番組内容
世界一の菜の花畑、その満開のときを待つ人々の物語。中国・雲南省、花を追って一万キロの旅に出る養蜂家。寒波に襲われ、花に蜜がない過酷な状況に。絶体絶命のピンチ、待ち望むときは訪れるのか!人生の節目を花畑に刻もうとする少数民族の新婚夫婦。二人だけの美しい瞬間を見つけられるのか!そして、ひと山当てようと観光客相手の食堂を開いた農家。果たしてその結末は! BSプレミアム新番組。
出演者
【リポーター】黒田信哉,【語り】有働由美子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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