ポルトガルの遺産です。
さあ皆さんお待ちかね!登場するのは日本生まれのイッピン。
優れた技が生み出す珠玉の宝。
きょうはどんな技が飛び出すのか。
歴史と文化が息づく街…高級店が建ち並ぶ一角に日本の工芸品を集めたセレクトショップがあります。
ここで今話題の商品とは?この斬新な形をした器。
これ「茶筒」なんです。
石川県で作られている山中漆器。
2012年世界的に権威のあるデザイン賞で銀賞を受賞しました。
茶筒を愛用しているグォッツさんのお宅にお邪魔しました。
半年前木の優しい手触りに惚れ込んですぐに購入したといいます。
自宅のインテリアに合わせて選んだのは黒の茶筒。
ドイツの人々を驚かせたのがどこまでも精巧に作られた木地。
そこには日本が誇る究極の職人技が隠されていました。
今回の舞台は石川県加賀市の山中温泉。
ここは450年続く漆器の一大産地です。
山中漆器は湯治客の土産物として発展してきました。
器を集めるのが趣味という加藤夏希さんが今回のイッピンリサーチャー。
香りがいいですね。
温泉の香りが。
ホッとする。
早速向かったのはドイツで人気の茶筒を作る漆器メーカーです。
こんにちは。
わあ〜いっぱいある!いろんな形のがある。
勝手に高価な漆器のイメージがあったのがこんなふうにモダンでちょっと近代的?でも木目がちゃんと見えておしゃれな家にぴったり合うみたいな感じがありますね。
山中漆器の大きな特徴。
それはまず木目を生かしたデザイン。
そして「薄挽き」と呼ばれる木を薄く仕上げる技術。
さらに細かい模様を施す「加飾挽き」。
どれも卓越した木地作りの技なくしてできません。
細かい。
どうやってるんだろう?このデザイン。
なじむ手に。
すごいですね彫る技術。
これ実は全て職人さんが1本1本刃物で入れてます。
え〜うそだ!だってこんなに均等なんです幅とか。
我戸正幸さんは若い世代にも受け入れられる漆器作りに取り組んできました。
以前作っていた昔ながらの茶筒をデザイナーと手を組んで一新。
3年前に商品化しました。
現代的なインテリアにマッチするようなそういった事に注意してデザインしています。
全く新しいデザインに生まれ変わった茶筒。
これを可能にしたのが山中温泉に伝わる伝統の技術でした。
こちらです。
は〜い。
木を挽き器を作るのが「木地師」と呼ばれる職人。
山中温泉にはおよそ40人の木地師がいます。
そうなんです。
こんにちは。
神経を使う木地作り。
工房に職人以外が入る事はめったにありません。
いつも無理言って木地を挽いて頂いている久津見さんです。
はじめまして加藤です。
はじめまして。
こんにちは。
木を挽くこと27年。
回して削っているんですね。
はい。
ろくろにはめてあとは手作業で仕上げてます。
木地作りに欠かせないのが「ろくろ」。
ろくろを高速で回転させながらかんなを当て器の形を整えます。
そして「千筋」と呼ばれる筋状の模様をつける工程。
どのようにして均等につけていくのでしょうか。
久津見さんが手作りした千筋専用の道具。
先端に小さな刃が2本ついています。
でもこれで削れるってすごいですね。
木のほうが勝っちゃいそうで。
パキッと折れちゃうような。
たまに折れる事もありますね。
ここでもろくろを高速で回転させながら刃を当てます。
80本ほどの筋を1分40秒で削ります。
できましたね。
はい。
速いですね。
しかもツルツルです。
すごい均等に。
スローモーションで見てみると右の刃を筋に入れ固定し左の刃で次の筋を削っています。
同時に右の刃で筋の形を整えているといいます。
模様を入れる時に気をつけている事ってありますか。
全ての筋を正確にそして均等に挽くのは至難の業。
シンプルな模様だからこそごまかしがききません。
それでは1本1本の筋はどれくらい正確に削れているのか深さを測定しました。
7本の千筋を測りまして…この測定図では筋の深さを7倍に表示してあります。
深さに誤差はほとんど見られません。
その差は一番大きい所でも0.1mmも無かったのです。
スピードと正確さを併せ持つまさに匠の技!さらにこの茶筒機能性も兼ね備えています。
優れた密閉性とスムーズに開閉する蓋。
その断面を見ると本体のかみ合わせ部分が僅かに斜めになっていて隙間ができています。
この隙間こそ蓋の開閉をスムーズにする秘密なのです。
1回1回蓋をはめては具合を確認し少しずつ傾斜をつけていきます。
挽きすぎたら商品になりません。
できた!あいいですねぴたっと閉まるし。
見えない部分にも丁寧な職人の技。
仕上げに漆を塗っては拭き取る作業を繰り返します。
こうしてできる透明感ある光沢が千筋模様を引き立てます。
伝統の技術が詰まったモダンなイッピンです。
山中漆器の繊細な木地作り。
それを支えるのが木の切り出し方。
多くの産地では木材をこのように切り出し木地を取る「横木取り」をしています。
一方山中温泉では木を輪切りにして木地を取る「縦木取り」。
木が育つ方向に逆らわず木地を取るためゆがみが出にくく精巧な加工に向いています。
縦木取りが可能にした伝統の技が加飾挽き。
かんなで作る模様は40種類以上。
久津見さんに見せてもらいました。
一瞬でこうべを垂れる稲穂の模様が浮かび上がりました。
稲穂模様に使うのはねじ曲がったような専用のかんな。
柄がねじれている事で刃先がバウンドし小刻みに振動しています。
そのためこうした稲穂の模様が刻まれるのです。
続いて使うのはこのかんな。
どんな模様ができるのでしょうか。
きれいな菊の模様が浮かび上がりました。
加飾挽きによって作られた模様は今も新しい器に取り入れられています。
今ひそかに人気を呼ぶ山中漆器。
よく見ると厚さ1mmほどの繊細なお猪口。
口当たりは抜群。
上品さを醸し出す薄い皿は料理を引き立てます。
この「薄挽き」も山中漆器の得意とする技。
薄挽きを極めた職人を訪ねました。
こんにちは。
きょうはよろしくお願いします。
ようこそようこそ。
ありがとうございます。
木地師になって60年という平田秋平さん。
最高級の技を持つ職人です。
わ〜すごい!たくさんありますね。
材料や道具が所狭しと並んだ平田さんの工房。
すごいたくさん道具がありますね。
え〜そんなに!この道具全て平田さんの手作り。
用途に合わせて使い分けます。
いやぁ薄い!障子みたいな薄さですね。
繊細な美しさを持つ平田さんの作品はお茶席や料亭などで人気です。
薄挽きの皿作り最初は1cmほどの厚みがある木地から挽いていきます。
まず挽くのは皿の外側。
半分ほど挽いたら内側に取りかかります。
そうなんですね。
内側用のかんなに持ち替え何回かに分けて挽いていきます。
均等の薄さってどうやって見るんですか?あ…透けてますね。
厚い所へ鉛筆で印をつけると。
黒くなってますね。
黒くなってるのが厚い所。
確かに光の透け具合で厚い部分が分かります。
十分薄いですけどね。
いやぁまだまだ。
そうなんですね。
まだまだ。
結構薄くなってきた。
わ〜本当だ!まだまだや。
え〜本当ですか?比較してみると均等な薄さになっています。
この作業をあと3回ほど繰り返します。
そしていよいよ仕上げ。
平田さんが取り出したのはかんなを固定するこの道具。
ここまで薄くなると僅かに手が震えるだけで皿が欠けてしまいます。
1時間ほどかけて完成。
薄い〜!導管が全部透けて見えますわね。
そうですね。
すごい木目がきれいに。
その厚みは僅か0.58mm。
皿としては限界の薄さです。
平田さんは職人として繊細な技を極める事を信念としてきました。
自分の道だけを進みたいという事であんまり他人を気にするとこういう仕事特に集中した仕事は自分の道だけを行ったほうがいい物ができるのではないでしょうかね。
限界に挑戦する職人だけが生み出す究極のイッピンです。
450年の歴史を持つ山中漆器。
自由で新しいデザインの製品が次々と生まれています。
すごい!りんごだ。
かわいいですね。
これお砂糖とか入れるんですかね。
丸いだけじゃなくここもちゃんとりんごのくぼみの部分もすごいきれいに。
本当にさまざまなものがあるんですね。
そうですね。
ここは特に若手の木地師さんが自分でいろんなものをデザインしているので見て頂いたマカロン型の小物入れとか。
マカロンってすごいですね。
部屋のインテリアにもなるし。
やはり若い人の考えですね。
きれいに木目も出て。
そう思って見ると木目も興味が出てくるでしょう?そうですね。
こんな形で木は生きていたんだなぁって。
高度な技が受け継がれてきた山中温泉。
全国から木地師を志望する若者が集まってきます。
こんにちは。
お邪魔します。
よろしくお願いします。
はじめまして。
愛知県出身の…5年間修業したのち独立しました。
田中さんの作品を見せてもらいました。
わ〜すご〜い!今まで見てたのと全然雰囲気が変わりました。
確かに不思議な木目です。
木目とこの模様は?自然の模様で木の中でこういう模様が特に出たものを集めていて一般的に職人さんは嫌がるんですよこういう木は。
すごく面白いのにもったいないってずっと思っていて。
田中さんは去年アメリカ・ニューヨークで個展を開きました。
そして展示した作品80点を完売。
1つとして同じものは無い木目を生かしたデザイン。
ニューヨーカーをも魅了したのです。
もとになっている木を見せてもらってもいいですか?そこにいっぱい並んでるんですけど。
楓や栃などには細菌の作用で変わった木目が出る事があります。
田中さんはこの木目に着目したのです。
しかしこうした木は繊維が柔らかく粗挽きした状態では表面はザラザラです。
これを田中さんはどうやって滑らかに仕上げるのでしょうか。
まだこんなボサボサがいっぱいあるんですけど。
部分的にボサボサで…。
そうなんです。
水で湿らせる事でけばだちが抑えられて挽きやすくなります。
すごい!比べてみると確かに表面が整ってきました。
さらに何度も手で触ってザラザラの部分を挽いていきます。
形が整ったらこの小刀で磨きます。
ふわっとしてて。
うん。
わぁすご〜い!はい。
長く薄い屑が出るのがよく挽けている証拠。
挽き始めて1時間。
どうでしょう?できましたか。
こことか分かりますか?え〜!もう全然違いますね。
はいツルツルです。
ツルツル!あこがれの美肌!ざらついていた表面がこのとおりツルツルに生まれ変わりました。
仕上げは漆塗り。
塗っては拭く作業を20回ほど繰り返します。
若い感性が生んだ新しい山中漆器。
これ使いたいです。
本当ですか。
家で。
やっぱり「この器でぜひ」って言って頂けるのが作り手としては一番幸せな事なのでその人の家庭の中でどうやってこの器が生きていくのかなって想像しながら作っています。
はい。
漆器の概念はもうまるっと変わりましたね。
デザイン性だったり食卓をどう華やかに見せるかそういった思いが込められて丁寧に丁寧に作られているなぁと感じました。
極限まで研ぎ澄まされた木地師の技。
木の器に新たな可能性を吹き込んでいます。
2014/05/11(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「極限まで木を挽(ひ)く!〜石川 山中漆器〜」[字]
今回は海外でも注目される、石川県加賀市の山中漆器。木目を生かしたシンプルでモダンなたたずまいと、精巧な作りに秘められた「木地師」の技に、女優の加藤夏希が迫る。
詳細情報
番組内容
今回は石川県加賀市の「山中漆器」。今、海外ではシンプルでモダンな茶筒や器が大人気。木目を生かした美しいたたずまいと、精巧な作りが人々を魅了している。ろくろをひいて器を作る「木地師」と呼ばれる職人たちのワザを、女優の加藤夏希が徹底リサーチ。器の表面に細やかで正確な筋をつける「加飾」の技や、厚みが0.6ミリという極限まで薄く削った皿、個性が際立つ特別な木目を最大限に生かした器を作る職人などを紹介する。
出演者
【リポーター】加藤夏希,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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