(森田)
諸君ここは大実業家にしてマスコミ王原田平蔵邸その廊下である
また世にもおぞましい場所を増沢磐二も歩くはめになったものだ
てんまつを説明する。
原田の娘志津香が自宅の寝室で殺された。
犯人と疑われた夫原田保は台湾へ逃亡。
やがて自殺
だが磐二はその無実を信じ真実を求めて奔走している。
そんなある夜原田のもう一人の娘世志乃がやって来た。
その心は
(世志乃)実はねあなたにお会いしたがってる人がいるの。
(磐二)ひょっとしてあなたの父上ですか?
(譲治)いいぞたぬき親父!
(平蔵)ありがとう。
私って人間はね常に正直でありたいと思っている。
ピタリと蓋がされたんですこの事件には。
それほどの力を持つ何者かによってね。
金セックス血のにおい。
ゴシップ欄を彩るはずのネタは全て葬り去られた
・「恋にくるいくるって」・「ジャングルのゴムの木に」・「ひょうの毛皮をおいてきた」
(平蔵)お前が増沢磐二か?はい。
増沢磐二は無事解放されるのか
見届けられたい
何で呼ばれたかは説明するまでもなかろうな。
まあ見当はついています。
言ってみろ。
その前に失礼ですがこの音消して頂けませんか。
・「ボンバボンバボンバボンバボンバボンバ」あなた私が原田保の無実を信じてる事がお目障りなようですが。
娘を殺したのは原田保なんだよ。
なぜそう断言するんです?あいつが自分でわしにそう言ったからだよ。
電話をかけてきたのさあの夜。
電話口でさめざめ泣きやがった。
「浮気現場に出くわし衝動的に志津香を殴り殺してしまった」。
そう言った。
もちろん「すぐに警察に自首しろ」とわしは言った。
にもかかわらずあいつはお前の所へ行き台湾へ逃げた。
やがて逃げる事にもおじけづくと自分のこめかみにピストルをぶっ放して死んだ。
それだけだ。
お前が何故あの男の無実をやるのか知らんが残念ながらそれ以上にマシな真実などありはせんのだ。
あなたに一つお聞きしたいと思っていた事があります。
何だ?なるほど原田保は犯人であるかもしれない。
材料はそろっています。
ただ完璧ではない。
どこか奇妙ですよね?それはあなたも感じてるはずです。
それにもかかわらずあなたは事件の真相を追求する事もなく全てを闇に葬り去ろうとしてる。
それは一体何のためです?お前は新聞を読まんのか?読みますよ。
ならば見当がつくだろう。
(ため息)衆院選に出馬されるそうで。
分かっていて何を聞く?そして巨額の賄賂をもってマスコミの口を封じられた訳ですか。
お前のような小者ほどみみっちい正義を振りかざしたがる。
しかしわしらともなればそんな事は一向に恥とはせんのだ。
なぜだか分かるか?分かりませんが知りたくもありませんね。
己の使命があるからだ。
歴史に名を残す人間というのは目的の前にいちいち手段を悩まん。
(平蔵)つべこべ言わずに見ろ。
(平蔵)戦争で負けてこの国にはどでかい穴が開いた。
その穴をこれからこのテレビジョンが埋める。
かつて我々が信じるべきとされていたもの。
仁義礼節忠誠。
そういう何もかんもがあの戦争で全て灰になった。
大衆どもにはそれが不安でたまらんらしい。
一種の癖だ。
みんな血眼になって次にすがるべきものを探してる。
だがわしに言わせれば癖そのものを直せばいいのだ。
詮ない事に思い煩うのをやめただただテレビジョンを見る。
プロレスに興奮し音楽と共に踊り落語に笑えばいい。
頭を空っぽにするのだ。
ただ空っぽに。
そこにテレビジョンという風が流れていく。
悩みを忘れ笑いと興奮に満たされ…。
いやいやいやいや!正気ですか?何だと?この国の頭を空っぽにして回る?正気でそれが自分の使命だと?悪いか?ゴミが詰まるよりゃ空っぽの方がずっとマシなんだよ。
冗談じゃない。
飢えた子どもに酒を与えるようなもんですよ。
なるほど苦痛は紛れるかもしれない。
頭という頭がすぐに空っぽになるんですからね。
ただそれは人間にとってこの国にとって最も大事なものを奪い潰して回るという事じゃありませんか!うるせえよ!そら!そのお前の頭こそゴミためだってんだよ!ご立派なご高説で腹が膨れんのか?お前のような男こそ100人いたってガキ一人食わせられねえんだよ。
能なしのくそったれは今すぐこの国から追放してやろうか。
ああ?バカ野郎!
(ドアの開く音)お父様。
あまり遅くまでお客様をお引き止めなさっては失礼ですわ。
何だお前。
うちへ帰ったんじゃなかったのか?ねえ増沢さんごめんなさい。
父は明日も早いの。
そろそろお送りしますわ。
さあ。
さあ!
(ドアの閉まる音)必ず安全に事務所に送ってさしあげて。
もちろんです。
そしてその前にあなたあちらに行ってて。
はい?行ってて!ちょっとの間だけよ。
増沢さんと大切なお話があるの。
笑わないで。
生まれて初めて父に反抗したの。
そりゃおめでとう。
私の父親はひどい男だったでしょうね。
いやいやそうでもありませんでしたよ。
父上の言い分は実にもっともでしたね。
しかしどうしても賛同したいという気にはならなかった。
当然よ。
あなたの言い分こそもっともだったわ。
いや父上の勝ちです。
彼の理屈はね…強い。
どんな無法地帯にも通用するあの強さがこれからこの国を席けんしていくんでしょう。
お送りさせるわ。
送ってさしあげて。
(いびき)おい。
おいおい。
おお増沢さんお帰りなさい。
お待ちしてたんですよ。
どうでした?原田平蔵は。
何で知ってんだよ?当ったり前っすよ。
はあ…。
案外素朴なじいさんだったな。
原田が素朴?ああ。
勘弁して下さいよ。
増沢さんまで牙抜かれちまったんですか?確かにマスコミの口は封じたらしい。
だがそれはあくまで自分の選挙のためにやったまでで事件の真相を隠蔽したって訳でもなさそうだな。
真相なんぞじいさん知りやしないし知りたがってる様子もなかったよ。
は〜ん。
選挙で頭がいっぱいなんでしょうな。
あ僕もお願いします。
ぐっと濃いめで一つ。
厚かましいやつだな。
でも僕だって手ぶらじゃありませんよ。
土産を持ってきたんですからね。
豆なら要らんぞ。
嫌だな。
そういう土産じゃありませんよ。
やっと原田保の謎が解けたんですよ。
見せろ。
先にコーヒーを。
いいからいいから。
ここです。
ん?松井誠一って…。
原田保は城崎保じゃなく本当は松井誠一だったらしいですよ。
どういう事だよ?あれから引き続き第361国境守備隊だった人を探したんですが…。
回想城崎保です。
城崎?城崎保です。
分かんねえ。
覚えてねえなそんなやつは。
ところが根気よく当たってみるもんですね。
回想おいあと頼むわ!は〜い!すいません。
すいません!お電話した森田です。
お忙しいところ恐縮です。
おう。
ああそりゃ松井誠一の事なんじゃないのか?松井誠一?正虎と仲がよくて途中で行方不明になったっていえば松井誠一だよ。
城崎保って名前じゃなかったですか?城崎?はい。
この男です。
松井だよ。
そうですか松井誠一ですか。
多分なにいちゃん。
引き揚げてきてから新しく戸籍作って名前変えちまったのかもしんねえな。
ここだけの話正虎だってあいつ本名は木村丸男だ。
木村丸男!?まああいつも引き揚げてきてからあの稼業だ。
偽名の方が何かと都合がよかったんだろうよ。
戦後は戸籍なんぞいくらでもインチキな事ができたからな。
あのほかに何かご存じの事はありませんかね?あいつ確かかみさんいたはずだぜ。
かみさん?ええ。
出征前に結婚してたらしいんです。
で今その女どこに?いやそれを僕も聞いたんですがね。
回想いやそんな事は分かんねえけどよだけど松井が引き揚げてきたあと名前変えちまって生きてたって事はそう穏やかな話じゃねえだろう。
まあ空襲で死んでたかほかの男と再婚してたかってとこですかね。
よくある話でいえば。
(湯が沸く音)引き続き調べてみるつもりです。
それであの湯が…。
回想
(誠一)うわ〜!
(木村)誠一!
(爆発音)
ほどなくしてキャバレーには新しいスターが生まれめでたく客足も戻った
支配人。
裏で女の子たちがもめてます。
(支配人)お〜いどけどけ。
おいやめろ。
やめろって。
やめろって!何やってんだお前ら!
そうなると日常の雑事に紛れ例の増沢磐二への賠償請求の件はすっかり忘れ去られた
(スピーカー)「東京奉納花火大会があります」。
おい1部くれよ。
お前行くのか?今日。
花火大会。
行くよ。
だから早く売っちまわないと。
じゃああと2部くれよ。
ほら。
ありがとう!気を付けて行ってこいよ。
うん!お〜いお釣り持ってっちゃうのかよ。
これよかったら読んでよ。
ああどうも。
・はい増沢磐二事務所。
・
(譲治)よう俺だ。
・はい。
・
(譲治)増沢君か?はい。
上井戸だ。
・どうも。
今夜花火大会があるらしいな。
君も行くのか?・行きませんよ。
なら久しぶりにうちに来ないか。
遠慮しときます。
・
(譲治)なぜ?いや仕事があるんでね。
・
(譲治)大事な仕事か?そうですね。
こっちの方が大事だぞ。
・ほかに頼んで下さいよ。
原田保。
え?原田保がどうしました?原田保の無実を君は信じてるんだったな。
ええ。
・
(譲治)俺もそう思うよ。
は?どういう事ですか?彼は原田志津香をやってない。
話すよ。
あの事件の事を君に話す。
・
(譲治)やっと決心した。
早く来てくれ。
俺の気が変わらないうちに。
分かりました。
(ブザー)
(ノック)上井戸さん。
上井戸さん。
(ノック)入りますよ。
・
(いびき)
(ノック)上井戸さん入りますよ。
(いびき)上井戸さん。
上井戸さん。
よう名探偵。
何で飲むんだかね…。
(譲治)ん?何で人を呼びつけておいて酒飲むんですか?フフッ悪い。
でもさ…。
亜以子がさ…。
あいつ「花火行く」って言ってさ。
それで「自分だけ行くのは気が引ける」って言ってさ。
かなわねえや。
結局俺はあいつに…。
でもいい。
それでいい。
(いびき)
(花火の音)花火かよ。
(いびき)
(花火の音)
(花火の音)回想ある事件の事を書く。
それが書ければ俺はもう死んでもいいと思っている。
(亜以子)どうしても主人を見捨てる事はできないのです。
あの女はね空っぽだよ磐二君。
待って下さい!もう少しだけここにいて下さいませんか?
(譲治)ちょっと妙な事を書いちまってな。
これを亜以子に読ませたくない。
ここに書かれている私の代わりに死んだ男っていうのは誰なんです?うわ〜!
(泣き声)
(譲治)結局俺はあいつに…。
信じてたわ。
(譲治)かなわねえや。
あなたは必ず帰ってきてくれるって。
(ブザー)
(ブザー)増沢さん。
どうも。
ごめんなさい。
私鍵忘れて出かけてしまって。
鍵なら開いてましたよ。
まあ。
主人に締めて下さいと申しましたのに。
増沢さんはどうしてここに?いやご主人に呼ばれまして。
そうでしたの。
今お2階の方で休まれてます。
随分お酒飲んだようですけど。
まあ。
またお酒を?あなたが勧めたんじゃないんですか?私が?ご主人そうおっしゃってましたけど。
まさか。
そんな事する訳ありません。
酔ってまた適当な事言ってるんですわ。
お酒が入るとあの人はまともではなくなりますから。
ちょっと…。
(たたく音)いや!あなたは…。
あなたはどうなんです?どうかしてるのはむしろご主人よりもあなたの方なのでは?
(泣き声)私は今夜帰りません。
彼から話を聞くまでは何時になろうがご主人の酔いが覚めるまで私はここにいます。
(ノック)
(ドアの閉まる音)申し訳ない。
気付かず…。
止められなかった。
・いや〜!お疲れさまです。
(岸田)ご苦労さん。
お疲れさまです。
(岸田)ご苦労さん。
(佐々木)上井戸さんここは我々に任せて下さい。
あなた〜!深呼吸しましょうか。
(泣き声)あの人です。
あの人が主人を殺しました。
(佐々木)岸田さんお疲れさまです。
ああどうだ?かみさんは書斎。
男は居間の方です。
あとこの家の書生ってのが今日は非番で実家に戻っているそうなので迎えに行かせました。
(岸田)何だ?お前。
どうも。
何でお前ここにいんだよ?そいつは今洗いざらいしゃべったとこですよ。
容疑の男ってのはお前の事か?そうみたいですね。
あとは彼に聞いて下さいよ。
逃げも隠れもしませんよ。
「申し訳なかった」?はい。
あの男が私にそう申しました。
恐ろしい予感がして主人の寝室まで参りましたら…。
(泣き声)
(佐々木)上井戸さん大丈夫ですか?
(章介)先生が自殺なさるなんて…考えられません。
うん。
(章介)増沢がやったんじゃないでしょうか?
(佐々木)心当たりがありますか?
(章介)嫉妬に狂っての事じゃないかと。
(佐々木)嫉妬?
(章介)あいつ奥様に…。
実は私見たんです。
見た?何を?この間奥様の寝室に…。
(佐々木)何か聞こえましたか?奥様の声が。
(佐々木)どんな声ですか?回想・信じてたわ。
あなたは必ず帰ってきてくれるって。
「やめて下さい」と。
「やめて下さい増沢さん」と奥様はそうおっしゃっていました。
(佐々木)とりあえず増沢を連行しますか?いやあれは帰せ。
は?やつはやってねえよ。
なぜです?あの男が人一人殺したあとにのんきに現場に残ってる訳がねえ。
(佐々木)増沢さん。
(佐々木)増沢さん。
お引き止めして失礼しました。
今日のところはお帰り下さい。
回想あの人です。
あの人が主人を…。
殺しました。
その朝増沢磐二は二重の意味で目を覚ました。
あとは進むだけだ
精神科でいらしたんですね。
(高村)だから何だ?いや以前上井戸家の書生に先生が亜以子さんの主治医だと聞いたんでね。
何科の先生か聞いたんですがかたくなに答えないんでね。
回想高村は内科の医者か?あなたには関係ありません。
何を聞きに来たのか知らんがわしも何もしゃべらん。
医者がおいそれと患者の症状を口外すると思うな。
いやいやお話伺いに来たのは先生の事でしてね。
ああ?高村先生。
あなたまずい薬を渡し過ぎましたね。
何の事だ?回想わしは奥さんに呼ばれたんだ。
あの方にははっきりと兆候が見られる。
回想奥さん!いい加減な事を言うんじゃない!素人が。
ところがね先生。
もう素人目にも明らかなところまで来てるんですよ。
実は昨晩上井戸譲治氏が自宅で亡くなりました。
それでね今警察が上井戸の屋敷に入ってるところです。
亜以子さんの異常に気付けば警察もいずれここへ来るでしょう。
それがどうした?俺の義理の父親が誰だか知らんのか?原田平蔵だぞ。
警察なんぞ恐るるに足らずだ。
(ノック)はい。
よう。
相変わらずしみったれた事務所だなったく。
正虎と同じ事言いますね。
正虎?あの正虎か?ええ。
来たのか?ここに。
随分前ですがね。
お前よそういう時にはすぐ俺に通報しろよ。
ったく気の利かねえ野郎だな。
追ってるんですか?当たり前だろ。
やつは次いつ来んだよ?まあ俺が原田志津香事件の真相を暴いたらまた来るんじゃないですか?どういう意味だ?それ。
知りませんよ。
やつがそう言ってたんですから。
ゴミですか?これ。
豆だよ。
行きつけの喫茶店の親父に分けてもらったんだよ。
…で何なんです?ああ?何か話があって来たんでしょう?上井戸譲治の件だよ。
俺は殺しだと踏んでる。
俺はやってませんよ。
そんな事は分かってんだよ。
妻の亜以子の犯行じゃねえかってな。
証拠はそろってねえよ。
ただ取り調べをしていてはっきりと分かったんだがあの女には虚言癖がある。
というか何者なんだありゃ?俺はあんな恐ろしい女見た事ねえよ。
あの女はでたらめにうそをつきながらその自覚がない。
従って罪の意識も一切ない。
なんちゅうか支離滅裂なんだよな。
そうだろ?何かばってんだ?お前。
ほれてんのか?面倒なだけですよ。
あの女はお前が上井戸を殺したと言った。
回想あの人が主人を殺しました。
(岸田)恐らくあのうそはお前が…。
回想申し訳ない。
(岸田)…と謝ったのを聞いて思いついた。
あんな余計な事言わなきゃあの自殺工作はそこそこうまくいってたんだよ。
(いびき)
(銃声と花火の音)
(岸田)犯行を周到に計画している。
一方で思いつきでうそをつく。
そして自分でそのうそを信じ込んでる。
化け物だよ。
異常すぎる人間ってのは不思議とまともに見える事があるもんだ。
お前ってやつを知ってなきゃあっさり罠にはまるとこだったよ。
まあそこが俺と違ってあなたの優秀な職業人たるゆえんなんでしょうね。
バカにしてんのか?お前。
いや俺はまんまと罠にはまった。
ほうそうかい。
そりゃあれだなお前。
お前もまだ若い証拠だな。
ただはまったからこそ分かった事もある。
上井戸譲治は亜以子に殺される事分かってたんでしょう。
何だと?全て承知した上で亜以子の酒を飲んだ。
あいつはやっぱり心底亜以子にほれていたんでしょうね。
上井戸譲治はなぜ自分が殺されると?言えよケチケチしねえで。
恐らく。
原田志津香を殺したのも亜以子だ。
はあ?原田志津香が殺された夜その寝室にいた男っていうのが上井戸で亜以子の犯行を見た。
なんと…。
上井戸はその事実を俺に知らせようと呼びつけたがそれを察した亜以子が上井戸を殺した。
いやしかし待って下さいよ。
亜以子はそもそも何で志津香を殺したんです?何でだと思う?あ〜自分の旦那を寝取られた恨み…。
まあ普通だったらそうだが亜以子だぞ。
まあ譲治の事なんぞそこまで愛してませんわな。
殺しちまったぐらいだからな。
じゃあ何で?それが俺にもどうにも分からねえんだよ。
ただ一つだけ妙な事が確かになった。
何です?原田保は上井戸亜以子の罪をかぶって死んだ。
はあ?
(章介)大丈夫ですよ。
今燃やしてますから。
増沢磐二は今度は自分からあの敵に会いに行く事を決めた。
あの敵とはもちろん…
遅くなりました。
(羽丘)どうも。
この男の事ではない
いらっしゃいませ。
コーヒーを。
かしこまりました。
申し訳ないが亜以子さんはやはりあなたとはお目にかかりたくないとの事ですから私が代理で用件を伺います。
それでは直接伺いましょう。
ご同行願えますか?何ですって?あなたに聞いてもらえればいいという話ではありません。
彼女と話せなければ意味がないんです。
無理を言うな。
嫌がっておられるんだ。
先生がこんな形で亡くなられて心中をお察しするには…。
羽丘さん。
私が今からするお話はあなたにとって信じ難く認めたくない事かもしれません。
あるいはホントはあなたも感づいていた事かもしれません。
上井戸氏の死は自殺ではありません。
(時計の時報)亜以子さんに殺されたようです。
(時計の時報)
(泣き声)
羽丘は思っていた。
曇った眼鏡ごしにあの女性を見つめていたかったと
回想いい加減にしたまえ!ご覧になって。
あの出版社の社長って男の露骨な事。
だって…。
だってこんな時代恋くらいしてなきゃ生きていくのは苦しすぎるじゃないか。
(泣き声)
上井戸亜以子と原田保。
接点はあったはずだ
回想あなた殺された原田志津香夫妻と親しかったんですか?いいえそれほどでは。
パーティーなどでご挨拶させて頂く事はありましたけれど。
いやしかしそんな程度の事じゃない。
上井戸亜以子
回想女が娘の頃のようにあんなふうに人を愛するのは一生に一度の事なのでしょう。
原田保
回想いるんだな?ほかにほれた女が。
試しに並べてみたらこれほど似合いの2人もない気がした
だが亜以子の戸籍ははっきりとそれを否定していた
離婚歴はなしか。
はあ〜チクショー。
ちなみに原田保の戸籍は調べたんですか?調べた。
確かに戦後に新しく作られたものらしい。
当然原田志津香以外との結婚歴はないよ。
本名の松井誠一の戸籍は?それだよ。
どうだったんです?なかった。
なかった?うん。
残ってないって事ですか?まあ役所が言うにはどうとも言えないらしいんだがもともと東京生まれじゃなかったのかもしれんし戦争で燃えちまったのかもしれんとさ。
何だそりゃ?調べようがないじゃありませんか。
そういう事だよ。
はあ〜クッソ〜。
しかしそもそも原田保は何で台湾に逃げたんですかね?台湾語でもしゃべれたんですかね?な…何ですか?回想もし台湾なんかに逃げず警察に行くべきだと思うならどうか僕を呼び止めて下さい。
(保)あなたに呼ばれたら僕は必ずあなたのもとに戻ってきます。
・誠一!・誠一!・誠一!
私は一体…
何をなくしたのでしょうか?
時代と月日に押し流されるうちに
2014/05/12(月) 01:00〜02:00
NHK総合1・神戸
土曜ドラマ ロング・グッドバイ(4)「墓穴にて」[解][字][再]
探偵・増沢磐二(浅野忠信)は女優殺人事件の黒幕・原田平蔵(柄本明)と遂に直接対決。さらに第二の殺人事件が起こり事態は急転。磐二は全ての殺人事件の犯人を割り出す。
詳細情報
番組内容
探偵・増沢磐二(浅野忠信)は女優殺人事件の黒幕・原田平蔵(柄本明)とついに直接対決。さらに譲治(古田新太)が事件の真実を話すと宣言。駆けつけた磐二を待っていたのは第二の殺人事件だった。やがて二つの事件は結びつき、犯人が浮かび上がる…。ハードボイルド最高傑作「ロング・グッドバイ」のドラマ化。【原作】レイモンド・チャンドラー【脚本】渡辺あや(カーネーション)【音楽】大友良英(あまちゃん)
出演者
【出演】浅野忠信,綾野剛,小雪,古田新太,冨永愛,滝藤賢一,柄本明
原作・脚本
【原作】レイモンド・チャンドラー,【脚本】渡辺あや
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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