(女性)母親はやっぱり子供を守るのが一番の仕事だと思うので。
(女性)広い。
広く深い愛みたいな。
(女性)おおーっ。
(女性)自分のことより周りのことっていうか。
子供なり家族なりが優先するイメージ。
(女性)結構厳しく育てられたんですけどいざというときは包みこんでくれるような。
はい。
存在です。
(愛美)まずくて食べられない!こんなもの。
ずっと我慢してきたけどもう限界。
もっとしっかり味の付いたおいしいものを食べさせて。
(聖美)やめて。
赤ちゃんを塩漬けにされちゃたまんないわ。
(聖美)ちょっと。
もうあとふたつき足らずじゃない。
我慢してよ!
(愛美)放して。
(聖美)ちょっと。
(愛美)放して!
(聖美)ちょっと。
愛美!
(愛美)自分だけうまいもの食らって偉そうなこと言わないで。
(聖美)私だって同じもの食べてる。
(聖美)当然でしょ?産むのはこの私なんだから。
私が赤ちゃんのお母さん。
これから先永遠にそれが事実になるんだから。
頭おかしいんじゃないの?あんこ詰め込んだ偽者のくせに。
空っぽのぺしゃんこ腹のくせして。
何が妊婦だ。
何が私の赤ちゃんだ。
ちょっと。
嫌。
嫌。
うんっ!こんなもの。
嫌。
こんなもの!嫌。
嫌…。
これがあんたの赤ちゃんの正体。
本物の赤ちゃんは私のもの。
誰にも渡さない。
約束したじゃない。
私にくれるって。
口約束一つでやりとりできると思ってんの?私がおなかを痛めて産むこの子のことを。
出てったっていいのよ。
この子を連れて。
身一つで。
いざとなったら私にはそういうことができる。
どうしたっていうの?急に。
何が気に入らないの?あんたの存在そのもの!赤ちゃんのママはこの私。
この子は私と繁郎さんの子なのよ!嫌。
嫌!うんっ!嫌。
私の…。
私の赤ちゃん。
(泣き声)陽。
(愛美)《出てったっていいのよ》《いざとなったら私にはそういうことができる》冗談じゃない。
・
(諏訪)どうかなさったんですか?陽君に何か?カワイイ寝顔。
さっきまで大騒ぎだったんですよ。
「早く赤ちゃんに会いたい」って。
「ママ。
赤ちゃんはいつ生まれるの?」って。
何だか夢みたいだわ。
こんなに安らいだ気持ちで陽の寝顔を見れるなんて。
フッ。
笑顔でいなきゃって思うのにベッドに縛り付けられてる陽の姿を見るとどうしても胸が詰まってしまって。
でも今は何もかもが希望に輝いて見える。
諏訪先生のおかげです。
(諏訪)私は何も。
(諏訪)出産予定日は1月20日。
他の妊婦さんの出産予定は?
(弘明)その前後数日奇麗に空けてあります。
(諏訪)それだったらいつ陣痛が始まっても安心だ。
偶然にしてもありがたいですね。
(弘明)「空けた」と言ったんです。
偶然空いてるわけじゃない。
患者が重ならないようにしたんです。
早いうちに何人か他を紹介して転院させました。
(諏訪)そんなことまで。
執念を感じます。
ドナーベビー誕生に懸ける弘明先生の。
あなたも相当入れ込んでるようじゃないですか。
(弘明)絶対に認めない。
そう言って食って掛かったあなたがいつの間に乗り気の最先鋒に転じたんです?大切なのは患者の命を守ること。
治療の一環として割り切ることにしたんです。
人間の生死をつかさどるのはもはや神の役割ではなくなった。
先生もようやくそのことに気付かれたんですね。
命はわれわれのこの手に委ねられている。
まあ理由はどうであれ先生の宗旨変えが兄貴の一家に。
あっいや。
姉さんに福音をもたらしたのは間違いない。
義理の弟として私からも礼を申し上げます。
(繁郎)遅いね峻君。
呼んでこようか。
(波津子)いいのよ。
今夜はいないから。
(繁郎)えっ?お友達の家ですって。
(繁郎)こんな時間まで?試験が近いから泊まりがけでみんなにお勉強を教えてほしいって頼まれたって。
(繁郎)へえー。
大したもんだな峻君は。
(波津子)それだけじゃないと思うけどね私は。
見ていたくないんじゃないの?どんどんおなかが膨らんでくのに誰の種なのか大きな声じゃ言えない母親の姿なんて。
お母さま。
あーあ。
早く楽になりたい。
早く生まれてほしいわね。
そっか。
峻君いないのか。
ごめん。
僕が優柔不断だから君に期待させるようなまねを。
赤ちゃんを言い訳にして甘えてた。
居心地がよかったんだ。
短い時間でも2人で過ごすと聖美のところへ戻りたくなくなった。
でももうこれ以上踏み込むと僕の理性が。
夢を見てただけだから。
ほんの一瞬。
最初から分かってたことだもの。
心配しなくても赤ちゃんはちゃんと産む。
産んで2人に渡すわ。
そこの籠と一緒に。
これ赤ちゃんの?これ全部君が?性別教えてくれないからみんな真っ白。
生まれてから奇麗な色の刺しゅうでも入れてあげようと思って。
でもきっと捨てられちゃうんだろうな姉さんに。
どんなに心を込めたって赤ちゃんが身に着けることもないまま一つ残らずごみになる。
愛美さん…。
十月十日おなかの中にいて愛情が湧かないはずはない。
でもどんなにこの子をいとおしく思ったって私が産んだ記録はどこにも残らないしもちろん一生名乗ることだって。
やっぱり阻止するべきだったんだよこんな計画は。
最初から無茶だったんだこんなこと。
駄目よ。
いまさらそんなこと言っちゃ。
僕らのエゴのために何で君がそんな目に遭わなきゃいけない。
赤ん坊の母親は。
ホントの母親は君なのに。
聖美に話すよ。
この計画一から見直そうって。
見直す?僕ももう覚悟を決める。
人に何言われたって構わない。
駄目よ。
そんなことしたら姉さん壊れちゃう。
結婚して10年にもなるんだからもうとっくに分かってるでしょ?あの人が普通じゃないってことぐらい。
何で結婚したの?姉さんと。
あなたには好きな人がいたんでしょう?姉さんよりももっとずっと大好きな人が。
あの女にとっ捕まる前に何で早く一緒にならなかったの?いつの間に。
奇麗で上品な大人の女。
こういう人と結婚してればもっと落ち着いた幸せを手に入れられたでしょうに。
言ったよね?手の届かない人だって。
僕が勝手に憧れてただけ。
大学の医学英語の講師だったんだ。
先生?年上の人?一つボトルのワインをグラスに分け合い舌の上でそっと転がす。
ただそれだけで体の心がしびれるような官能を味わわせてくれた。
フッ。
何それ?あるんだよそういう恋も。
先生に婚約者がいるのは知ってたし月に一度。
いや。
半年に一度でも一年に一度でも会えればそれで幸せだった。
じゃあ今でも時々?飛行機が落ちたんだ。
婚約者がいるロスへ向かう途中で。
亡くなったの。
誰かに心の隙間を埋めてほしかった。
そんなとき出会ったんだ。
君の姉さんに。
愛美。
ああー。
何考えてんの?産み月になってビールなんて。
一口だけよ。
喉が渇いちゃって。
離れへ戻って。
人が来たらどうすんの?誰もいきなり入ってきやしないでしょう。
泥棒でもないかぎり。
もう早く。
ああっ。
マッサージしてくんない?歩くのもおっくうなのよ。
もんでくれたらすぐに戻るから。
ハァー。
痛っ。
もっと優しくやってよ。
下手くそなんだから。
何かいまいち。
繁郎さんの方がずっと上手。
繁郎さん?えっ?私何か間違えた?峻って言ったつもりだったんだけど。
あの子うまいのよ。
大人になったら指先のテクで女の子泣かせそう。
フフフ。
続けて。
ハァー。
足ぱんぱんにむくんじゃってる。
百合子さんに言って利尿剤持ってきてもらって。
お薬よりお茶とか果物とかで治した方がいいわ。
やっぱり塩分取り過ぎよ。
あなたキッチンの調味料勝手に離れに持ってったでしょう?聞いてんの?愛美。
あーあ。
よっこらしょ。
ああ。
どこ行くの?うるさい説教するなら自分で利尿剤もらってくる。
お幕。
おま…。
さすがに機敏ね偽者は。
今あなたの姿を人に見られたら何もかも水の泡になる。
これまでの努力が全部無駄になる。
お願いだから。
「お願いします」でしょ?「行かないでください。
お願いします」ちゃんとそう言いなさいよ。
嫌ならいいのよ。
幕を挙げてこの体を舞台にさらして何もかも全部ぶちまけてやる。
そして私はここを出て一人で赤ちゃんを産む。
臍帯血も骨髄も何にもあげない。
お願いします。
行かないで。
病院に行かないでください。
やればできるじゃん。
私は無力よ。
赤ちゃんを人質に取られたら何にもできない。
人質?バカなこと言わないで。
この子はもともと私の子なんだから。
繁郎さんもはっきりそう言ってたわ。
《赤ん坊の母親は。
ホントの母親は君なのに》あの人がそんなことを?取引しない?取引?お兄さんを私にくれたら赤ちゃんを陽のドナーにしてあげる。
私たち愛し合ってるの。
何ですって?繁郎さん。
姉さんの目を盗んでいつもこっそり私を抱き締めに来てくれた。
私を抱きながら赤ちゃんに優しく話し掛けてくれたわ。
まさかあなたたち陽の部屋のあのベッドで?そんな。
あの人忘れられなくなっちゃったのよ。
姉さんの計画にはめられて私と交わしたあの蜜の味が。
いろんなこと話してくれたわ。
ベッドの上で。
結婚ってのは結局タイミングだから手ごろな女がいれば誰でもよかったんだって。
ちょうどそういう時期に物欲しそうに指をくわえて俺のことを見てる女が現れたって。
何よそれ?姉さんなんてただそれだけの存在ってこと。
繁郎さんの胸の奥には深く深く刻みこまれた永遠の女がすんでるんだもの。
永遠の女?死んだ人にはどうやったって勝てないっしょ?そういう人がいたって文句は言えないよね。
姉さんだって星川先生を捨てて計算ずくで繁郎さんに近づいたんだから。
この10年。
あんたたちはずっと仮面をかぶって夫婦を演じてきただけだったのよ。
何してんの?聞いたわ。
亡くなった人のこと。
私自身分からなくなった。
あなたのことホントに愛してるのかどうか。
だってびっくりするぐらい冷静なんだもの。
その人のことどころか愛美とのこと聞かされても。
よく分かった。
あなたが生身の男だってこと。
愛美と2人して陽のあの部屋であのベッドで真っ白なシーツをしわくちゃに乱してむさぼり合って淫乱な空気をまき散らして。
違う。
僕らはそんな関係じゃない。
どこが違うの!僕が愛美さんを抱いたのは後にも先にも君が仕組んだあの1回きりだよ。
本当だ。
大した犠牲じゃないわ。
あなたたちは恩人だもの。
いいわよ。
許す。
恩人?あなたの精子と愛美の卵子が結ばれて陽を救う天使が遣わされたんだから。
これが結婚の現実なのかもしれないわね。
私が欲しかったのはあなたとの愛の暮らしじゃなくていとしいわが子だったってこと。
女はみんな安定した生活と子供が欲しい。
豊かな暮らしの中で子供を得て慈しんで聖母の笑みをたたえて生きる。
それが私の望みだった。
そして男は。
あなたは一人で生きる孤独を埋めて家族を持つことで社会的な信用を得ようとした。
その目的のためにお互いに心の中で相手を値踏みして一緒になった。
あなたも妥協したんでしょ?この女でいいやって。
そっから先はいかに上手に妻と夫のポジションを守っていくか。
うまくつじつまを合わせて折り合っていくかってことだったのよ。
だけど私たちどうやら途中で失敗しちゃったみたい。
僕は君を裏切ってない。
何度でも言う。
愛美さんを抱いたのはあのときだけだ。
嘘つき。
私たち本当にやってないわよ。
あれ以来。
偽者のぺちゃんこ腹ならともかくこんなに大きなおなか抱えてちゃ。
でもあなたたちは実際に人目を避けて…。
愛し合ったわ。
結ばれたわよ。
何度も何度も。
でも体をつなげて愛し合ったわけじゃない。
私と兄さんは心と心で愛し合った。
優しい気持ちで求め合って慰め合って許し合った。
それが真実よ。
(愛美)《私と兄さんは心と心で愛し合った》《優しい気持ちで求め合って慰め合って許し合った》《それが真実よ》それこそ本当の裏切りよ。
2014/05/12(月) 13:30〜14:00
関西テレビ1
聖母・聖美物語 #30[字][デ]【愛の母子篇〜冷めた心】
愛美(三輪ひとみ)は聖美(東風万智子)に対する憎しみを募らせるが、出産まで後僅かの愛美を前に聖美はジッと耐える。やがて愛美が待望の赤ちゃんを出産すると聖美は…。
詳細情報
番組内容
繁郎(原田龍二)へ思いを募らせる愛美(三輪ひとみ)は、聖美(東風万智子)に対する憎しみがさらに増す。愛美の出産予定日まであとわずかのため、聖美は愛美に何を言われようとも、何をされようともジッと耐える。
繁郎は愛美にこれ以上親しくなるのはやめようと告げると、愛美はしおらしい態度で身を引くと答える。お腹の子への深い愛情を示しながらも、聖美にその子を預けると語る愛美。
番組内容2
そんな彼女を繁郎は不憫にも思い…。
聖美は愛美から繁郎と密会していることを聞かされる。「私たちは愛し合っている」という愛美の言葉に衝撃を受けるが、聖美がショックだったのは夫の気持ちが自分に向いていなかったことではなく…。
出演者
柳沢聖美:東風万智子
森尾愛美:三輪ひとみ
柳沢繁郎:原田龍二
柳沢弘明:金子昇
柳沢波津子:丘みつ子
星川真輔:風間トオル ほか
スタッフ
企画:横田誠(東海テレビ)
原作・脚本:いずみ玲演
演出:岡崎成克
プロデュース:西本淳一(東海テレビ)
中頭千廣(TSP)
神戸將光(TSP)
齋藤頼照(TSP)
音楽:辻陽
主題歌:「炎の花」ハルカ ハミングバード(ユニバーサル ミュージック)
制作著作:TSP
制作:東海テレビ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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