人生デザイン U−29「船舶機関士」 2014.05.12

(警笛)港に入って来たのは九州と四国を結ぶフェリー。
今回の主人公この船の中で働いているんだが…どこかというと一番船の底。
仕事は…実は彼家族のために転職して故郷に帰って来た。
家族を思い自分で決めた再出発。
故郷で彼はどんな人生デザインを描くのか。
今回の主人公船舶機関士の…やって来たのは大分県臼杵港の桟橋。
彼が勤めるフェリー会社は九州と四国の間を年間30万の人と20万台の車を運んでいる。
フェリーの航路は愛媛県八幡浜港から大分県臼杵港そして別府港を結ぶ2つのルート。
24時間休まずに運航している。
金村さんはこの会社に再就職して2年目。
新しい環境にも慣れてきたが機関士としてはまだまだ新米。
2人の先輩の指導の下で働いている。
ポケットから何か取り出したぞ。
あれ?それ耳栓?エンジンルームってそんなにうるさいの?
(ごう音)
(ごう音)いやすごい音だね!
(ごう音)
(取材者)結構うるさい?
(ごう音)ごう音を響かせているのはこの船の心臓メインエンジンだ。
(金村)やっぱり周りに…そういう感覚ですね。
このエンジンを守るのが機関士にとって一番大切な仕事。
機械が大好きな金村さんには願ってもない職場だ。
実はこのフェリー会社に来る前の仕事も船舶機関士だった。
以前の会社では今のフェリーより10倍も大きいタンカーに乗船。
日本のエネルギーを支える油やガスなんかを運んでいた。
乗船期間も長く一度乗ったら3か月間乗りっぱなしだ。
外国航路も経験した。
新しい会社では前のキャリアは関係ない。
彼はこのフェリーで三等機関士からもう一度やり直している。
エンジンの掃除やペンキ塗りなど雑用は大抵彼の役目だ。
休憩時間休めるかと思えば先輩のためにコーヒーをいれる。
これも金村さんの仕事?そうですね…ようやく一息。
一緒にいるのは先輩の平山さん。
勤めて7年目の一等機関士だ。
上司といっても…この日平山さんから点火がうまくいかないボイラーを修理するように言われた。
機関士としての腕の見せどころだ。
不具合が出ていた点火装置の部分の修理を平山さんから指示を受けて1人でやってみる事になった。
(平山)5ミリで…。
火花が出る電極の部分。
2つの電極の幅を5ミリになるように調整していく。
はい。
修理を終えて先輩平山さんのチェックを受ける。
電極の幅は良くなったが電極自体が燃料を噴出するノズルから離れすぎてしまった。
結局やり直す事に。
先輩の作業をじっと見つめる金村さん。
同じ年齢だがやはり経験が違う。
何だか歯がゆいね〜。
やっぱりそうですね…今一番の目標にして…船を降りると金村さんはまっすぐに自宅へと向かう。
金村さんが転職する道を選んだのはできるだけ家族のそばにいたいからだ。
臼杵港から車で2時間ほど中津の実家で両親と一緒に暮らしている。
ただいま〜。
金村さんの部屋。
押し入れの中に大切に取ってあるのは前の会社の作業服だ。
入社して1年あまりで二等機関士に昇進しこの服が支給された。
給料も今の会社より10万円以上も高かった。
ところが父親が突然倒れた。
くも膜下出血だった。
たまたま休暇中で家に居た金村さんも病院へ。
緊急手術が行われ何とか一命は取りとめた。
そのまま父親のそばに付いて見守っていたかった。
しかしすぐに3か月の乗船勤務が待っていた。
父が退院してすぐに再乗船になって父の経過観察が全然できなかったのでどれくらい回復できるかとか前みたいに働けるのかとかそういう不安があったので私が地元に戻って両親の面倒をみていけたらなと思ったので転職を考えました。
地元に帰る事を決めたものの学生の頃から憧れてきた機関士の仕事は続けたかった。
地元で機関士を募集している船会社がないかを調べ今のフェリー会社への転職を果たした。
(父)うれしかったですねやっぱり。
う〜ん。
私のせいで帰って来るんですけど今はもう出たら帰って来ないというのが多いじゃないですか。
そんなのが多い中私のためにまた帰って来るという感じがね本当にうれしかったです。
はい。
地元で再就職した事で父親の病気の経過を見守る事ができるようになった。
機関士としての仕事はまた振り出しから。
でも金村さん自分で決めた道に後悔はない!…というか掛けがえのないものだというか。
自分の中で本当に絶対的なものなので…フェリー会社での金村さんの一週間を見てみよう。
1回の乗船は3日間。
これなら前の会社と違って頻繁に家に帰る事ができる。
船では3人の機関士が交代で休みを取りながら働く。
1日の仕事の流れを見てみよう。
乗船する日は昼前に家を出て港へ向かう。
午後から乗船。
機関室で4時間ほど働く。
今から休憩入ります。
フェリーはほぼ24時間運航。
乗組員は降りる事なく船で生活する事になる。
休憩は自分の部屋で過ごす事が多い。
電話も通じるので家族に何かあった時は連絡も取れる。
今から晩御飯を食べます。
船の中の食事は全て会社が用意。
メニューは飽きが来ないよう毎日変わる。
ご飯は食べ放題。
丼に1杯2杯。
機関士って体力勝負なんだね〜!いっつもこれくらい食べます。
船の中には乗組員専用のお風呂もあるんだね〜。
そして欠かせないのが洗濯。
油で汚れる事が多い機関士の仕事洗濯機は必需品だ。
午後10時夜勤に備えて4時間ほど仮眠を取る。
寝るのも大切な仕事。
お休みなさ〜い!
(電気を消す音)
(目覚まし時計のベル)深夜1時半目覚まし時計に起こされる。
眠たいの分かるよ〜。
今からまたもう一仕事頑張ります。
これから明け方まで勤務。
こんな毎日を送っている。
船員は休日や夜間などの勤務も多くその手当が含まれている。
支出で目立つのは仕送り。
金村さんは3人兄弟の長男。
大学生の2人の弟のために何と毎月10万円仕送りをしている!この会社で早く実績を上げたい金村さん。
チャンスがやって来た。
3か月に1度行われているメインエンジンの点検を機関長兵藤さんが金村さんに任せてみる事にしたのだ。
(兵藤)やったことない。
ああじゃあ…はい。
この点検はエンジンが止まっている時でないとできない作業。
与えられた時間は船が停泊している僅か50分。
作業には確実さだけでなくスピードが求められる。
点検するのはエンジンの部品の間の隙間。
エンジンは動き始めると全体が高熱を帯びる。
すると金属の部品は僅かに膨張する。
その膨らんでしまう分を見越してあらかじめ部品と部品の間に隙間を設けてあるのだ。
隙間の幅は僅か0.8mm。
この隙間が広くても狭くてもエンジンの調子が悪くなってしまう。
少しずつネジを回しながら微妙な隙間の具合を探らなくてはいけない。
出港に間に合うよう作業を終わらせる事ができるのか!?実は金村さんこの作業は前の職場でも経験がある。
でもその時は時間をかけて取り組んだ作業。
フェリーの機関室にそんな余裕はない。
気持ちが焦りなかなかネジの位置が定まらない。
手探りの作業。
何度もやり直してしまう。
果たして間に合うのか!?兵藤さんが動いた。
取り出したのは1本のペン。
ネジに印を付け始めた。
金村さんもペンを使って再び作業に取りかかる。
目印のマークを付けるという方法を教わり金村さんの作業スピードが上がった。
全部で6か所の調整を終えて兵藤さんのチェックを受ける。
40分後ようやく全ての作業が終了。
何とか次の出港に間に合わせる事ができた!金村さんにも笑顔が戻った!
(兵藤)終わり。
終了。
はい。
金村さんの仕事ぶりどうでした?うん。
やっぱりあの…点数を付けるとしたら何点?新しい職場慣れない船。
それでも自分で選んだ道。
踏ん張るしかない。
次の休日金村さんは父親が働いている焼肉店を訪ねてみる事にした。
その後の体調が気になっていたのだ。
どうぞ。
はる君晴輝。
ハハハ…。
はい。
徐々に回復してきた広吉さん。
通院は続けているが以前と同じように働けるようになった。
それでも金村さんは父の事が今でも気がかりだ。
広吉さん転職までしてそばにいてくれる息子をどう思っているのだろう?そりゃもう…お父さんあんなふうに言ってるけどどう?まあ…。
父の回復ぶりを見て金村さんはある計画を実行に移す事にした。
それは実家を出てひとり暮らしをする事。
場所は別府港のすぐそば。
実家まで1時間船に乗るために通っている臼杵港へも1時間。
ちょうど真ん中の場所だ。
父親の事と仕事の両方を考えてこの場所に決めた。
家賃5万7,000円1Kのマンション。
ここで新しい生活を始める。
でもどうして「ひとり暮らし」なんだろう?そういうのもちゃんとやらないといけないと思うし後は…やっぱり…そうですね…勉強とか全然できなかったのでそれをここでは…倒れた父親のため故郷で再出発の道を選んだ金村さん。
これからはこの部屋で自分の人生の設計図を考えていく。
上の人に追いつけるようにしっかり船の事を勉強して「金村を乗せて正解だったな」っていうふうに他の乗組員の方とかからも思ってもらえるようにしっかりやっていきたいなと思います。
2014/05/12(月) 19:25〜19:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「船舶機関士」[字]

若者の人生デザインを描くドキュメンタリー。今回の主人公は家族のために転職し故郷にもどった27歳の船舶機関士。勝手の違う職場で苦労しながらも夢を追う姿を見つめる。

詳細情報
番組内容
水産大学を卒業後、貨物船機関士として海運会社に就職した金村晴輝さん。しかし父が突然「くも膜下出血」で倒れた。手術は成功したものの、再発する可能性もある。貨物船は一回乗船すると3か月間降りることができず、父のもとを長期間離れる仕事。悩んだ金村さんは、父のそばで働くため地元のフェリー会社に転職。勝手の違う職場で必死に仕事を覚える日々だ。家族を支えるために人生デザインを描き直した胸のうちを見つめる。
出演者
【出演】船舶機関士…金村晴輝,【語り】Mummy−D

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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サンプリングレート : 48kHz

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