(涼)
コミュニティーソーシャルワーカー
お変わりないですか?
(房枝)はい。
制度の狭間で救われずに苦しむ孤立や貧困
(敬子)母さん!私は…幸せだよ!
その声にもならないSOSを見つけ出し地域で支える仕組みを作る仕事です
私里見涼もこの町で今日も走り回っています
(木下)里見さん。
木下さん。
おはようございます。
木下さんお体いかがですか?おかげさまでね調子いいです。
本当にありがとう。
下でサロン始めてしまったんですけどうるさくないですか?いいえにぎやかでいいですよ。
(子供たち)イェ〜イ!ほら!急がないと遅刻するぞ!急げ急げ!
(子供たち)は〜い!園村さんおはようございます。
(園村)なぜホームレスなんかをこの商店街の目抜き通りに住まわせるんですか?それにあの引きこもってた連中集めて自立を目指すっていうんですか?ふ〜ん…理解に苦しみますねぇ。
ミッチーおはよう!
(光良)あっ。
どんどんお店らしくなるね〜。
(光良)おはようございます。
毎朝新聞配達のあとでご苦労さま。
いえ朝お茶飲んでいってくれる人けっこういるんで。
どうぞ。
とっても丁寧にいれてくれるんですよ。
いえ…。
彼が駅前の輸入雑貨屋さんに行っておいしい豆を安く仕入れてるんです。
へぇ〜。
(まなか)先輩!ここに自治会長さん来ていませんでした?会った。
このサロンの事が気に入らないみたい。
やっぱり…。
(原)そういえば昨日ものぞいてらした。
チラシはお渡ししましたけど。
何か見張られてるみたい。
木下さんの事も一番うるさかったの園村さんでしたしね。
(康)おぉ〜じゃ俺と社長がめおとをやるか?
(源治)そうそうそう!
(せきばらい)
(源治)ここら辺によ桜のかんざし挿してよ「おいやっさんお待ちよ。
おなかの赤ん坊がちょっと待ってと言っている」。
いいね!やだ!やだ!みんなでやるんだよ。
(せきばらい)あの〜効率よくやりませんかね。
会長。
こういうのはさもっと楽しく時間かけてやる事に意味があるんだってば。
あっ社協の開いた商店街のサロンでたこ焼き屋でもやるか!いいね!いや〜ちょっと…ちょっと待って下さいよ。
待って下さい。
私もねまあ退職後とはいえおかげさまで忙しくさせてもらっていますがね。
だから無駄な時間を使えないんですよ。
何度も言いますがねうちの自治会主催の桜まつりはここもう何年も閑古鳥ですね。
どういう人だっけ?あの新しい会長。
信用金庫の理事だったって。
息子も偉いんだろ?海外に留学してビジネスで大成功してるって聞いたぞ。
じゃ会長さん!やり手の息子さんにもぜひお知恵を拝借!息子?いや息子は…日本にはおりません。
え〜っとそれじゃあ続けましょう。
ねっ。
(ノック)おい健一!お前いつまでそんな事をしてるつもりだ!
(園村)おい!返事をしなさい!
(ノック)
(園村)おい!
(ノック)
(光良)ここでみんなも気持ちを話し合ってちょっとずつでいいから働く事に慣れて一緒に前に進んでいきましょう!
(拍手)じゃああの〜今日は皆さん初めてなのでこのお店でやりたい事をお話ししましょうか。
ねっ。
何がいいですかね?とっても立派な挨拶だったよ。
そうですか…。
(祐一)どうも。
福祉課の山倉課長さん。
郷田光良くんです。
はじめまして。
はじめまして。
みんなで始めたこのサロンを見に来て下さったのよ。
ありがとうございます。
1時間250円でそれぞれが無理のない時間だけ働いてみるという形なんだって?はい。
君らしいいいアイデアだ。
中間的就労ってやつだな。
よし。
役所でも支援する予算が出るかどうか動いてみよう。
ほんとですか?ありがとうございます!飯だけはまともに食うか。
待て!何度言ったらいいんだ。
50にもなる男が一生このままでお前恥ずかしくないのか!答えろと言ってるんだ!
(園村)お前の人生そんなんでいいのか!お前はクズだ!クズだ!あっ…あの〜。
里見さん!里見さん!自治会長さんが…。
えっ?園村さん!見に来て下さったんですか?通りがかっただけですから。
ちょうどよかったです。
ぜひのぞいていって下さい。
(園村)彼らはみんな引きこもっていたというのか?はい。
信じがたい…。
彼らはその…どうやって出てきたんですか?えっ?君らはどうして出てくる気になったんだ?えっ?何がきっかけで出てきた?えっ?園村さんゆっくりお話ししませんか?こちらでコーヒーでも。
君もか。
どうなんだ?園村さん。
今からでも何かできる。
何かって何だ?焦らせないで下さい。
俺たち…生きるスピードがちょっと…。
ほう生きるスピード?甘えるな!園村さん。
勝手なもんだ!大丈夫?園村さん!園村さん!ちょっとお話させてもらえませんか?あなた方一体どういう仕事なんだ?私たちはコミュニティーソーシャルワーカーと申しまして地域の問題を…。
いやそうじゃなくてなぜあんな人間たちに構うのかと聞いてる。
信じているからです。
人はいつでもどんなところからでも生き直せる。
(水澤)部長に突き返されたんですか?うん。
やっぱり…。
そんな気はしてました。
引きこもりサロンの支援など一体どこの予算でやるんだって。
福祉課教育課労働課担当部署さえ決まらない。
10年も財務畑にいてそれも分からんのかとさ。
あのサロンがあるからといってあの青年たちが本当に自立できるかどうかは分かりません。
大体何で最近課長は里見さんの提案にそんなに振り回されるんでしょう?えっ?何か…課長は変わってしまいました。
チラシは読んだか?商店街にお前と同じような連中がいたよ。
みな…いくらかもらって仕事をするんだという。
おい!聞いてるのか!これがお前の最後のチャンスかもしれん。
俺も母さんもいつかは死ぬ。
それももうそう遠い将来じゃないんだ。
いいか?お前はたった一人で生きていかなきゃならんのだ。
(園村)こんな…こんな情けねえ事言わせるな。
(健一)今更…何言ってんだよ。
あんたがそうさせたんじゃないの?
(園村)何だと?どけよ。
お前誰のおかげでその年まで働かずに食ってこられた!どれほどの思いをして俺が過ごしていたか分かるか!あんたは自分の事しか考えてない。
何だと?もう一度言ってみろ!言いなさい!言え!言いなさい!やめろよ…!うわっ!
(叫び声)謝れよ。
土下座して謝れよ!
(花世)健一!やめて!謝ってみろよ!やめて!謝れほら!謝れよ!謝れよ!健一やめて!やめて!あなた!あなた!
(健一)おい!
(叫び声)・はい。
社会福祉…。
あっ園村さん。
えっ!?
(近藤)熱っ!里見は今外回りなのですが…。
はい必ず伝えます。
自治会長?何だって?先輩に話があるみたいで。
じゃあすぐ連絡して里見に。
はい。
(新保)自治会長からのご指名。
(梶田)また何やらかしたんだ?
(店員)いらっしゃいませ。
何から話すか…。
どんな事でもおっしゃって下さい。
町の事じゃないんですよ。
私ね…私…引きこもりについて知りたいんです。
はい。
あいつの気持ちが知りたいんです。
一人息子なんですがね二十歳の時からもう30年…部屋に閉じこもってる。
あいつはね…もうじき50です。
(園村)私たち夫婦が死んだら生きちゃいけない。
働いた事すらないんだもんねぇ。
このとおりです。
どうか教えてほしい。
これから先どうすればいいか教えてほしい。
園村さん顔を上げて下さい。
今まで…誰にも話す事はなかった。
これは…我が家の恥です。
園村さんよく話して下さいました。
恥なんかじゃないです。
お手伝いします。
(チャイム)ごめんくださ〜い。
あの…離れ…なんですが。
どうぞ。
(ノック)私社会福祉協議会の里見と申します。
町にいろんな人が集まってお話をしたり悩みを話したりできるサロンを始めたんです。
健一さんにもご紹介できたらと思いまして。
返事をしなさい健一。
今お話できませんか?答えなさい!園村さんにお聞きしてるんではなくて健一さんとお話がしたいんです。
えっ?
(健一)そういう人なんですよ。
その人がおたくに何頼んだか知らないけど帰ってくれよ!あの〜。
(健一の舌打ち)
(ドアをたたく音)
(健一)帰れほら!帰れ!
(園村)あいつの中には何にもない。
長い事飯食ってゲームをしていただけの人生だ。
やっぱりね…今更あなたから何を言われても…。
園村さん約束して頂きたいんです。
これから私が健一さんとお話しする時には離れて頂きたいんです。
はっ?30年…。
それはあまりにも長いです。
私が生まれてからすっぽり全部の時間です。
その長い年月健一さんが考えていらした事をお聞きするには時間が必要です。
(園村)何を考えていたというんですかね…。
たくさんの事です。
健一さん。
社協の里見です。
近くまで来たので寄りました。
健一さん。
今日は雨なのに暖かいですね。
お変わりないですか?
(沢木)最近ずっと関わってるみたいよ。
(久慈)「里見涼」とかけて「入り浸り」と解く。
うん。
えっ?その心は?いつもおいしそうですね。
健一の好物でね。
私にはこれぐらいしかできないから。
(ノック)健一さん。
じゃあ今日はこれで失礼します。
(健一)おたくさ…これ以上関わんないでよ。
これはうちの家族の問題なの。
健一さん。
何度もお訪ねしてごめんなさい。
お父様が健一さんの事を私に話して下さったのはお父様が健一さんの事を本当に心配されてるからだと思います。
(健一)そんなんじゃない。
あの人が気にするのは人の目だけ。
僕の事だって恥だから人に言わなかったのよ。
おたくの事だって…信じちゃいないよあの人は。
健一さん。
お父様の話をもっと聞かせて下さい。
お父様…苦しんでます。
笑わせるな。
あの人は自分の思うとおりに息子を動かしたかっただけ!そんだけ!
(健一)僕はね…。
僕は大学2浪して落ちた時園村家の恥だって言われたんです。
「この世の中にお前の居場所なんてない」って言われたんですよ。
あんた…あんた知らないでしょ。
(健一)僕はね…人生潰されたんですよ。
里見さんから誰も居ない時は代わりにいれてくれって言われましたんで。
よかったらどうぞ。
夢…。
夢はないですか?はっ?健一さんのこれから先の人生の夢聞きたいです。
アホかあんた…。
そんなもんある訳ねえだろうが。
僕がつけてる日記だよ。
見なよ。
(健一)その日食った飯の事だけ。
毎日それだけ。
そんだけ!空っぽなんだよ俺は!ねえじいちゃんは私が生まれた時いくつだった?
(一郎)えっ?50ぐらいだったかなぁ。
その時夢とかあった?えっ夢かい?まあしいて言えばこの店がじいちゃんの夢だ。
自分で始めたんだから潰しちゃなんねえって必死だったよ。
でもまあ本当のところはまあ一度はばあちゃんと一緒に海外旅行に行きてえと思ってた。
ところがあの人飛行機ダメだろう。
とうとう行かずじまいだった。
どんなに着古した洋服でも新品のように仕上げる。
じいちゃんの仕事は新しい一日を迎えるお手伝い。
えっ?じいちゃんが教えてくれたんだよ。
うん?元どおりきれいになった洋服を着れば昨日とは違う自分になれる。
そうそう。
今だってそう思ってるよ。
私も考えたんです。
健一さんにだけ聞くんではなくて私は一体これからどうやって生きていくんだろうって。
何でそんな話…。
私も新しく始めるのに時間がかかったんです。
19年前…神戸で大きな地震があって。
その時に私取り返しのつかない事をしたんです。
それから私もずっと空っぽでした。
自分が生きて大人になってこうして暮らしていけるなんて思ってもみなかった。
そしてこの町で全力注げる仕事に出会って一生懸命人にぶつかって…ようやく息ができるようになった。
息がふぅ〜って楽になってそれでようやく今があるんです。
あんた…本気なんだ。
昔よく…絵は描いた。
油絵。
絵描いてると僕は…。
息ができた。
健一さんそれですよ!絵描いてみませんか?描きましょうよ!油絵を?あいつがそんな事を?はい。
描きたいとおっしゃっています。
あなたね…私はそんな事を頼んだんじゃない。
あいつは…何にも言わなかったですか?30年前だ。
あいつは大学受験直前になって絵描きになりたいと言いだしたんだよ。
私はね里見さんもちろん反対しましたよ。
だって絵を描いてどうやって食っていくんですか?あの子にしっかりした大学へ行き安定した企業へ入り立派な人生を送ってほしかった。
それが親の務めだ。
そうでしょう?ねえ。
だからね…私はあの子が美大行くためにこっそり描いてた絵を…全部燃やしたんですよ。
今更絵をって…それじゃ何にも変わらんじゃないか。
間違っています。
それは間違いだったと思います。
園村さんが健一さんを大事に思う気持ちと健一さんの人生を決めてしまう事は別の事だと思います。
健一さんの絵が描き終わったらサロンに飾らせてもらおうと思ってます。
それが健一さんの30年ぶりの第一歩になったらなって。
私たちは心から応援しています。
お願いします!テレピンがこちらにご用意しておりまして…。
あちらです。
里見さん。
あいつの人生潰したのは私か…。
そんな事ありません。
健一さんの人生きっとすてきになります。
絵を見たぞ。
あれを見て思い出した。
お前が小学生の時だ。
自転車の補助輪を外すっていうんで父さん荷台持って支えた事あったな。
私はお前が転ぶのが心配で手を離せずにず〜っと走り回ってた。
ところが父さん疲れてふとよろけた拍子に手離すとお前一人ですいすいこいでるじゃないか。
何だ俺は邪魔していただけなんだって。
こいつは…こいつは一人でも走れてる。
おやじ…。
すまなかった。
本当にすまなかった。
これからは…歩いていってみてくれお前の道を。
父さん…生きてるかぎりお前を応援する。
そうじゃあこれからは息子さんが一人で。
はい。
園村さんご夫婦はご自宅に残り息子さんは一人で暮らしていけるようにするそうです。
それにしても園村さんがよくぞ助けを求めてくれたね。
はい。
「サイレント・プア」っていう言葉がある。
声なき貧困…。
今の時代の貧しさとは孤独だと思います。
声なき孤独。
社会の中の姿の見えない孤独だ。
助け出せるのは人間しかいない。
君には聞こえない声が聞こえる。
隠されたSOSが聞こえる。
僕にはそれがよく分かる。
課長。
ただ…君にもあるような気がするんだ声にしてない声が。
何をやぶから棒に。
(幸子)涼が男の人と仲良く花見をしてたって肉屋のおばあちゃんがそう言うのよ2014/05/13(火) 01:25〜02:15
NHK総合1・神戸
ドラマ10 サイレント・プア(5)「30年の孤独」[解][字][再]
自治会長・園村(北村総一朗)が、息子の健一(阪田マサノブ)が何と30年間も自宅に引きこもっていると涼(深田恭子)に打ち明ける。涼は親子関係が原因と見抜くが——。
詳細情報
番組内容
涼(深田恭子)が作った引きこもりの自立を支援するサロンに否定的な、自治会長の園村幹夫(北村総一朗)。だが園村のひとり息子で海外で成功しているはずの健一(阪田マサノブ)は、実は何と30年間も自宅に引きこもっていた。息子の行く末を案じた園村は、涼に健一の存在を打ち明ける。涼は背景に人生の選択の全てを父である園村が決めてしまっていた問題があると見抜き、それぞれに語りかけることで親子の間を変えようとする。
出演者
【出演】深田恭子,北村有起哉,桜庭ななみ,山口紗弥加,モロ師岡,田口浩正,坂井真紀,小橋めぐみ,久保酎吉,押元奈緒子,千代將太,横田美紀,市毛良枝,米倉斉加年,山田萌々香,馬渕誉,坂田聡,渡辺大知ほか
原作・脚本
【作】相良敦子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz
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