猫のしっぽ カエルの手「歌がつなぐ幸せ」 2014.05.13

柔らかな日ざしに包まれた4月の…いつもより少し後れてやって来た今年の春。
何もかもが一斉にその喜びを歌いだした。
築100年を超えた古民家の庭も冬の眠りからすっかり目覚めた。
花たちが気持ちよさそうに揺れている。
ベニシアさんの庭仕事もこれからが本番。
もともとナスタチウムはアンデスの山のもの。
防虫効果のあるナスタチウムの苗を植える。
お地蔵さんのための花壇ですけど。
レモンバームが小さく出てるのね。
レモンバームが一番私飲むお茶かな。
だからたくさん作りたいから。
あんまり虫来てほしくないからね。
だからナスタチウムもコンパニオンプランティングで植えます。
コンパニオンプランティングとは植物が本来持っている力をうまく組み合わせる事。
地蔵さんの顔がホントに…ちょっと笑ってるみたい。
ここ私たち引っ越した時この地蔵さんが出てきた時ちょっと驚いてね。
…でやっぱり顔は隠したくないのね。
だから今日はちょっと…ここに置いとくんじゃなくてこの辺で。
これちょっとプレゼントします。
少しプレゼントあげたらまた元気がいっぱい出るっていう感じで。
栄養満点の自家製堆肥で仕上げる。
地蔵さんまでシャワー。
土を軟らかくほぐして植えたナスタチウム。
太陽に向かって輝き始める。
ベニシアさんの古民家は今60年ぶりという一大イベントの真っ最中。
この家に来てから初めて瓦をふき替えている。
屋根工事の棟梁を務めるのはベニシアさんの友人…古い瓦を外し中に敷いてあった土や弱った木などをきれいに取り除く。
屋根の基礎に腐った所がないか確認しながらの作業。
(橋本)状態ね…今のところ腐ってるとこはないと思いますわ。
築100年以上たつ古民家。
数十年に1度はこうして屋根の手入れが必要になるという。
基礎にはしっかりとした杉板を敷き詰める。
これまで使っていた瓦は耐久性の問題から外す事にした。
いずれ庭造りに再利用するつもり。
お疲れさんで〜す。
はいどうも〜。
早朝から働いている職人さんたちへねぎらいのお茶を運ぶ。
今日天気よかったからよろしいですわ。
頂きます。
大原の…。
食べて下さい。
ありがとうございます。
結構ベニシアさんの家は骨組みが…いい仕事してはるしね。
最初造った人が結構いい材料で造ったね。
(橋本)…と思いますわ。
やはり常にああいう管理をされてると家って絶対100年も200年ももつ事は可能なんで。
できるだけ2人で…直せる場所は自分たちでやったけどね。
でも屋根はちょっと難しい。
全然分からない。
プロの技を毎日間近で見てすっかり感心しているベニシアさん。
子どもや孫の代まで100年先までも残していけますように。
春休み孫のジョー君とピラフを作る。
今日はジョーと一緒にスカボロフェアーピラフを作りたいと思っています。
ハーブが入ってるのはローズマリーとタイムセージとパセリ。
これは今日庭から取ったもの。
スカボロフェアーは何か知ってる?
(ジョー)知らない。
知らない?うん知らない。
スカボローはイギリスで有名な場所。
町の名前。
フェアーはお祭り。
だから…・「HaveyoubeentoScarboroughFair?」・「Parsley,sage,rosemaryandthyme,」今の生活は何の生活してるの?ハーブ?そう。
ホントに体にいいものばっかりよ。
まずハーブの準備。
ジョーはどっち?ネギする?私ハーブするね。
じゃあ頑張りましょう。
いつもより細くて難しい。
そう?わっすごい。
速いな。
音楽しよう。
ワケギと「スカボロー・フェア」の歌に出てくるハーブをみじん切りにする。
そしたらグレープシードオイル。
グレープの種のオイルを入れたね。
これはバター。
ニシがバターが好きだから。
ネギ入れて。
ハーブ半分だけ入れる。
これは香りを入れるために。
長くすると色が変わるけど香りがいいのね。
次は米。
ちょっと透明になる。
温度を…。
またママと一緒に作ってあげたらいい。
できるでしょ?フライパンで。
うん。
いい匂いしてきた。
バターとハーブの匂い。
少し透明になるまで米を炒めたらお湯に溶かしたブイヨンを入れる。
蓋閉めんの?蓋閉める。
ちょっと小さくしよう。
弱火で15分ほどこのまま待つ。
あとは待つだけ。
ジョーは今年入ってから急に毎日お料理手伝いたいって言うのね。
何作ってる?いつも。
チャーハンとか…。
チャーハンと?やきめ…違う野菜炒めとかそんなの。
子どもの時やるチャンスがあったら大きくなったらまた続くという事よね。
だからあんまりお母さんやりすぎたら子どもが何も覚えないから子どもに任す方がいいと思うね。
失敗してもいいから。
これ開けて…。
ちょっと混ぜてくれる?うん。
パインナッツ。
松の実と残りのハーブゆでカボチャ塩こしょうを加えパルメザンチーズを振る。
これナスタチウム。
真ん中にしようか。
これ?これも食べられるよ。
この花。
ホンマ?かわいい。
はい出来ました。
完成やな。
パセリセージローズマリーにタイム。
スカボロフェアーハーブピラフが完成。
頂きます。
頂きます。
うまく出来たと思う。
うまく出来た?御飯ちょっと硬めでおいしいし。
今年もこれちょっといろいろ試してみようか。
うん。
いろいろ。
新しい食材も入れて。
ベーコン。
ベーコンがいいと思う?よく晴れた春の日庭のハーブのようにすくすくと成長するジョー君との時間はベニシアさんにとって何よりも大切。
暖かな春の宵。
友人のライブを楽しもうとアイリッシュパブに向かうベニシアさん。
演奏するのは…時々無性に彼女の歌声が聴きたくなるという。
(フェリシティー)ディスイズ「アニー・ローリー」。
イギリス出身のフェリシティーさんはアイルランドやスコットランドに古くから伝わる曲を多く歌っている。
古い歌を歌い継ぐ事で自らも歌の歴史の一部になっていきたいと言う。

(拍手)夜が深まると音楽仲間が集まって即興のセッションが始まった。
自然と体が動き出す。
アイリッシュ音楽はただ聴くだけじゃもったいない。
一緒に参加してこそ楽しめるもの。
ベニシアさんは言う。
大原から車で20分ほど南へ。
京都市の北白川にフェリシティーさんは暮らしている。
古い日本家屋の2階がフェリシティーさんのスタジオ。
ビートルズ誕生の地リバプールで育ったフェリシティーさん。
ロンドンで音楽の基礎を学び25年前日本文化に興味を持ち来日。
以来日本とイギリスを行き来しながら音楽活動を続けてきた。
(フェリシティー)私の興味は古い歌ですのでアイリッシュはその部分ですね。
私いろんな所の歌に興味ありますね。
日本の古い歌にも興味ありますね。
歌の歴史と歌の文化的な関係とか人々がどうやって考えていたとかそれはすごく大事…すごく面白いと思いますね。
大学講師の顔も持つフェリシティーさんの部屋にはさまざまな国の珍しい民族楽器が並ぶ。
いろんな楽器を集めていますけど一番面白いのはこれだと思いますね。
アイルランドの伝統的な音楽の太鼓です。
バウロンの革は大体ヤギです。
ほかの国にもこれみたいな太鼓ありますね。
特にインドとかにもあると思いますね。
昔お祭りでたたきましたけどその時はすごくシンプルな手でだと思います。
今のバチはこれです。
木のバチですね。
たたいたら…。
ほかのバチは串カツのスティックで…。
串カツの串を束ねたお手製のバチも使う。
その音は…。
ちょっとシューシューシューみたいね。
基本的にアイルランドの伝統的な音楽は踊りの音楽ですので踊りのリズムをたたきます。
そのリズムはちょっとよさこいみたいと思いますね。
タッターカタン。
タッターカタン。
せいや!お次は?世界にいろんなこういう楽器ありますね。
アイヌも竹のこの楽器ありますけどそれはすっごく難しい。
口の中の形を変えて…。
舌もちょっと動きます。
まだまだ出てくる。
これはティンホイッスルです。
ティンホイッスルはブリキで作られていますけどちょっとリコーダーみたいですね。
空気が周りに行きますのでブリキでも木みたいな音が出てきますね。
基本的にアイルランドの音楽は大体踊りの音楽ですのでエンターテインメントですよね踊りと音楽。
フェリシティーさんのライブのモットーは全員参加。
いろいろな国籍の人が一緒に歌えるように世界共通のメロディーの歌を集めている。
欧米の古い民謡が明治時代に日本に伝わり多くの人に親しまれている事がうれしかったという。
こういう歌詞カードを作っていろんな人と一緒に歌いますので。
例えば「AuldLangSyne」日本語で「蛍の光」ですね。
イギリスでお正月にこれを歌いますね。
日本で「蛍の光」は卒業と終わりの事ですね。
こういう古い歌に文化的な事が出てきますのでいろんな情報を習いますのでそれは役に立つと望んでますけどほかの人と一緒に歌ったらだんだんリラックスできて何となくコミュニティーみたいになりますね。
それはすごく気持ちいい事だと思いますね。
(口笛)歌はいつの時代も暮らしの中にある。
その背景を知れば知るほどフェリシティーさんは歌の持つ力を実感する。
日常生活で掃除しながら散歩しながら歌を歌いましたらちょっと不思議なようにちょっと幸せになりますね。
(鼻歌)歌は人を励まし慰め安らぎの時間を与えてくれる。
ベニシアさんがフェリシティーさんと一緒に訪ねてみたかった場所。
900年の歴史を持つ大原の…こんにちは。
(フェリシティー)こんにちは。
住職の齋藤孝圓さんが迎えてくれた。
この寺で代々受け継がれてきた仏教音楽に興味があったと言うベニシアさん。
1,100年前に中国から日本へ伝わったとされる声明は仏教の経文に節をつけて読み上げるもの。
雅楽浄瑠璃民謡などあらゆる日本音楽に影響を与えたといわれる。
(齋藤)これは声明の方では博士といいまして楽譜です。
これを見ながら声を出していく訳です。
(声明)西洋音楽にはない独特の節回しに興味津々のベニシアさんとフェリシティーさん。
(声明)声の動き方がちょっと…。
ほかの日本の伝統的な歌い方と関係ありますか?ありますね。
浄瑠璃謡曲長唄小唄端唄各地に伝わるフォークソング…民謡ね。
そういうものに影響を与えてる訳ですから。
もうちょっと現在的な歌い方演歌とか関係ありますか?それが最終的には演歌の小節になっていくんですね。
結構長く音出して呼吸いつするのかなと思う感じで結構長いのね。
この辺が…。
声はだんだん出るようになります。
それと声そのものが声明声っていうて声明にふさわしい声にだんだんなっていくんですね。
これは日本の伝統音楽にも言える事やと思います。
独特の節回しと声になっていくというのは不思議な話ですね。
イギリスの歌い方でこういう・「う〜」はないと思います。
そういうスタイルはもうちょっとインドと日本とかアジアの…。
(齋藤)そこが違うとこでしょうね。
西洋と東洋の。
(声明)大原の山寺に朗々と響く声明。
その歌声に心を委ねる時つかの間時空を超えていく。
2014/05/13(火) 12:25〜12:55
NHKEテレ1大阪
猫のしっぽ カエルの手「歌がつなぐ幸せ」[字][再]

春の香りただよう京都・大原。ベニシアさん、庭にナスタチウムを植える。友人と来迎院を訪ね、住職の唱える声明(しょうみょう)を聴く。孫のジョー君とハーブピラフを作る

詳細情報
番組内容
芽吹き出した花木が山里に春の香りをただよわせる京都・大原。ベニシアさんの庭仕事もこれからが本番。ハーブと相性がよく、一緒に植えると防虫効果もあるナスタチウムを植える。屋根の修復を友人の橋本さんに依頼する。久々に訪ねてきた音楽家の友人・フェリシティーさんと来迎院を訪ね、住職の唱える声明(しょうみょう)を聴く。孫のジョー君と一緒にスカボロフェアーハーブピラフを作り、春の日ざしの下で楽しいランチタイム。
出演者
【出演】ベニシア・スタンリー・スミス,【語り】山崎樹範

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
趣味/教育 – 園芸・ペット・手芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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