賛成の諸君の起立を求めます。
今から14年前。
介護保険制度がスタートしました。
おはようございます。
年々介護保険サービスの利用者数は増え現在は500万人余りが利用しています。
しかしその費用は制度がスタートした時の3倍近くにまで増加。
破綻を防ぐため国は大幅な見直しを進めています。
キーワードは「施設から在宅へ」。
制度の見直しによってサービスはどう変わるのか。
その中身が高齢者や介護をしている家族に伝わらず戸惑いが広がっています。
「シリーズどうなる?私の介護保険」。
制度の見直しによって老後の暮らしは変わるのか。
住み慣れた地域で暮らし続けるにはどうすればいいのか?4回にわたってお伝えします。
今月の特集は「どうなる?私の介護保険」。
2000年に始まった介護保険制度ですが今2回目の大きな見直しが進められています。
今回の見直しが私たちの暮らしにどんな影響をもたらすのか考えていきます。
ではゲストをご紹介します。
タレントの風見しんごさんです。
ご両親を介護された経験がおありです。
今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
風見さん制度が大幅に今回見直される訳ですがご存じでしたか?僕の父も昨年の暮れまで認知症で要介護5の生活だったので今回また制度が変わるという事は知っていたのですが細かくどこがどう変わるのかという事はまだ分かっていません。
そういう方多いと思うんですよね。
実は番組では事前にNHKネットクラブを通じましてアンケート調査を行いました。
回答した7割の方が制度の見直しを知らなかったと答えているのです。
主な見直しのポイントはこちらです。
今日はこの一番上の要支援者のサービスがどう変わるのか具体的に見ていきます。
では要介護度について改めて確認していきます。
要介護度というのは介護をその人がどの程度必要とするのかを示した区分なんですね。
「要介護状態」。
この青の部分です。
要介護1から5までの5段階があって誰かの助けがないと日常生活を送るのが難しい状態の事をいいます。
これに対して下のピンク。
この「要支援状態」というのはなんとか自分でできる事はいくつかあるんですが例えば重い物を持つとかしゃがむといった体に負担のかかる動作では誰かの支援が必要な状態の事をいいます。
今回の見直しで影響を受ける要支援者の数は160万人余りです。
一体どんな影響が考えられるのでしょうか。
取材しました。
独り暮らしをしている…後藤さんは17年前に交通事故に遭い大ケガを負いました。
後遺症に苦しみながらも後藤さんは住み慣れた自宅で暮らす事を選びました。
その際に最も困ったのは掃除ができなかった事です。
部屋のほこりで体調を大きく崩しました。
(取材者)どんなふうに?全身全部。
こっちも裏も。
ダストアレルギーで。
ダスト。
ほこりのアレルギーですって言われてね。
は〜い!おはようございます。
そんな後藤さんを救ったのが訪問介護を行う専門職ヘルパーの存在でした。
掃除や買い物そして日頃の体調管理。
プロならではの細かい気配りでケアをしてもらっています。
少しずつ痛みとれてきまして。
お友達が背中に湿布貼るってこの間も来てくれて。
現在ヘルパーは週2回訪問し晴れた日には必ず布団を干します。
後藤さんが一人では持てない重い布団を2階まで運び日光に当てます。
更にかがむ事のできない後藤さんのためにベッドの下など隅々まで掃除機をかけます。
清潔な状態を保つ事が後藤さんの体調維持には欠かせません。
またヘルパーは後藤さんの体調を注意深く見極めて自分でできる事は手伝ってもらっています。
何気ない家事が実はリハビリになるためです。
全て私が奪ってしまったらできる事ができなくなってしまいますのでその辺を一緒にやって頂きたいなと思っています。
ふかふかになりましたよ。
短い時間ですけどね。
継続して関わる事で後藤さんの体調の僅かな変化にも気付く事ができます。
こうした事が病気の早期発見にもつながっています。
後藤さん自身も手作りの踏み台で毎日欠かさずリハビリを行いました。
そのかいあって要介護1から要支援2へと回復しました。
最近は得意の料理も自分でできるようになり味見をしてもらうのが楽しみです。
ヘルパーの支えによって後藤さんの暮らしは豊かに保たれています。
(後藤)どうでしょうか?うん。
結構濃厚で。
そう?後藤さんのもとにヘルパーを派遣している介護事業所です。
要支援の後藤さんを支えてきたサービスの仕組みが今大きく変わろうとしています。
この間転倒された右の腕も肩もだいぶよくなっていて。
今日調理されてたんですけどもう全然違和感なくできていました。
この事業所では地域のお年寄り90人余りの暮らしを支えています。
後藤さんのケアプラン作りを9年間担当してきた…後藤さんの体調を維持させようとチームで支えてきた結果この8年間要支援2の状態を保っています。
(門脇)要支援2をずっと現在に至るまで維持できています。
しかし門脇さんは介護保険制度の見直しによって今までのサービスを受けられなくなるのではないかと懸念しています。
今回の見直しで国は全国一律である要支援者のためのサービスを市町村の地域支援事業へと移行するとしています。
そのため市町村は地域の実情に応じてサービスの内容や基準を独自に決める事になります。
後藤さんの場合自治体の判断によってはこれまでのサービスの一部が受けられなくなり民間企業の家事代行サービスやボランティアの支援に切り替えられる可能性があるのです。
(チャイム)この日ケアマネジャーの門脇さんが後藤さんを訪ねました。
制度の見直しでサービスがどう変わるのか。
利用者一人一人に説明を行っているのです。
いや…。
まだ決まってないんですか?要支援というのはあるんですけど…。
今介護ヘルパーさんが来てますよね。
介護ヘルパーさんではなくてボランティアさんとかそういう人が来てちゃっちゃとやってくれると思うんですけども。
ほとんどまちまちでほとんどのとこが決まってないようなんですよね。
やっぱり信頼関係があって成り立つと思うんですよ。
ただ全然知らない方がぽかっと見えても「じゃあ」ってうちの中へ入れられないような気がします。
それは。
門脇さんは後藤さんたち利用者の声を集め今後の政策に反映されるよう地元の自治体へと伝えていく予定です。
国が決める事ですからしかたがないとは思いますけれどもね。
やっぱりいい方へ向いてほしいなと思いますね。
スタジオには専門家の方にもお越し頂きました。
まずはNPO法人渋谷介護サポートセンター事務局長の服部万里子さんです。
ケアマネジャーとして今も現場で働いていらっしゃいまして介護保険制度にさまざまな提言を行っています。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
そして淑徳大学教授の結城康博さんです。
厚生労働省の審議会の委員も務め介護保険制度にも独自の視点で提言を行っていらっしゃいます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
まずは風見さん今のVTRどうご覧になりましたか?そうですね。
VTRの中にもありましたが自分も父の介護の時に家族の立場からしてもやはりヘルパーさんとの信頼関係というのはすごく大きな部分なんですよね。
ですから言葉にもあった心と体のレベル。
その心の方のレベルが今回の改正によってまた揺らいでしまうんであると本人にとってもそうですが家族にとっても少し不安が残るかなとは感じたんですが。
そういった不安の声もたくさん実は届いているんです。
そもそもなぜ国は介護保険制度の見直しを行おうとしているのか。
こちらのグラフをご覧下さい。
団塊の世代が75歳を迎える2025年には高齢者の数が3,600万人余りになると推計されているんですね。
そこで国は要介護度がより高い人向けのサービスに転換させようと介護保険を考えているんですね。
そのためにより軽度である要支援者のサービスを市町村の地域支援事業へと移行する事にしました。
今回の制度の見直しについてなんですが服部さんからまずどんな事を感じていますか?まず今のVTRにもありましたがやっぱりサービスがある事によって維持できているという事がとても大きいと思うんですね。
特に要支援の方は要介護から要支援になった方が大変多いので場合によっては要介護3から要支援2になったりする方もおられるんですね。
そうするとお一人で外に出れないという状態の方もたくさんおられます。
そういう意味で先ほどの方のようにその人のできる力を引き出すとかその時の体調をしっかりと見てアドバイスをするとかそういうプロの方が入る事の意味で例えば脱水しないようにお水を置いといて飲んでくれたかどうか確認をするとか。
または風邪をひかないように…割合と温度差がある時がありますのでお布団を自分では出せないけれどもここに置いておくから掛けてよという事とか。
お薬がちゃんとのめてるかどうかしっかりとヘルパーさんが見てのめてなければそれをケアマネジャーに伝えたりとか。
こういう役割をして頂くプロが入っている事によって今の介護度が支えられていると私は思います。
それが本当にボランティアさんとか地域のサービスでできるかという事に対しては大変不安があります。
実はサービスを利用する側の不安の声も集まっていましてアンケートでは特に市町村によってサービスに格差が生まれるのではないか。
それから…結城さんこの声どういうふうに見ていますか?VTRの説明にもありましたように今回の今国で審議されている政府案がもし国会で通りましたら2015年4月から実施されます。
ただいきなり給付から事業になるというのではなくて例えば国は経過措置を設けていますから恐らく短期的にはそれほど大きなサービスの削減とかそういうのはないと私は考えています。
ただ徐々にそれが起きてくるしそれが結果的に地域格差というか実はもう一つのポイントとしては今まで国でやっていたサービスが市町村の権限に移譲していきますのでそうすると地域格差が拡大していって長期的にはある自治体ではサービスが受けられるしある自治体では受けられないとかそういう地域格差が非常に懸念されると。
その結果サービスが使えなくなるという。
もう一つポイントはこの要支援12の財源構成が長期的にはやはり減っていくという仕組みになっていますのでもしかしたら長期的には使えなくなってしまう可能性があると。
ただ短期的にはそれほど私は影響がないのかなと見ています。
でもね長期的にとはいえ住んでいる所によって格差が出てくるというのは風見さん。
自分も育ちは広島なんですが当然父も広島の方で最初は介護を受けていたんですがもちろん本人は出たくない訳ですよね。
でも要介護が上がっていくとともにある時決断をして僕の生活基盤である今東京の方へ父を移したんですがやはりそれが今後そういうケースも増えてくると思うんですが今後移っていくと地域ごとに変わってしまうとなるとちょっと複雑で。
その事がまた不安につながってしまうかなという感じもするんですが。
場所を移る事の不安もあると思いますしそれとご家族がまだいる方はいいんですがお独り暮らしの方が多いんですよね。
その方たちは移ろうとしても移れない。
じゃあ今の地域でサービスが減ったり利用できなかったら本当に誰を頼っていいかという。
そういう不安はとても多いと思います。
(結城)ただ国は少しガイドラインというのを作ってなるべく格差が出ないようになるべくやろうという事はあるのでその辺も自治体はよくガイドラインを見ながらやって頂きたいなと思っていますね。
さて今回の制度の見直しですがサービスを提供する事業者や働き手からも不安の声が上がっています。
先月介護保険制度の改正について事業者や現場で働く人たちを対象としたフォーラムが開かれました。
介護保険の制度が公的制度として破綻しないようになんとか今から手を打ちましょうという事です。
国は要支援者を対象としたサービスを地域支援事業へと移行する事でより多様なサービスが生まれるとしています。
これに対し参加者の間では新しい制度には無理があるのではないかと不安が広がっていました。
地域支援事業として行われる時に本当に質が担保されるのかというのは心配ではあります。
どうしてこれが財政的に助かるのかさっぱり分かりませんのでそこのところをもう一度お聞かせ下さい。
こうした中制度改革を見据えて模索を始める自治体も出てきました。
今年4月武蔵野市では独自に行ってきた生活支援ヘルパー派遣事業の委託料を改定する事にしました。
生活支援ヘルパー派遣事業で今回事業費の改定を致しました。
委託料は1時間単価で2,200円というふうになります。
この金額は介護保険の同程度のサービス1時間当たりの報酬単価2,540円に比べて340円安い金額です。
市がこうした試みを行ったのには理由があります。
現在市内で要支援の認定を受けている高齢者の数は1,200人。
しかし2025年には1.5倍に増える見込みです。
その時までに市の財政状況に見合う委託料でサービスを引き受けてくれる事業者を確保しなければなりません。
今回の試みはその試金石になると考えています。
武蔵野市が新たに提示した委託料。
事業者側には大きな波紋が広がっていました。
日本全国で訪問介護サービスを展開している会社の支店です。
およそ100人のヘルパーが働いています。
行ってらっしゃ〜い。
市の説明会に参加した嶋澤さんは新しい委託料の金額に驚いたといいます。
この事業所では22人の要支援者に対して訪問介護サービスを提供しています。
委託料が引き下げられた場合…特に嶋澤さんを悩ませているのがヘルパーの給与の問題です。
現在この事業所では時給1,200円を支払っています。
しかし新しい委託料の場合時給を東京都の最低賃金ギリギリの870円に引き下げたとしても利益が出ない計算です。
嶋澤さんは市の委託を引き受ける事は難しいと考えています。
適正な金額を見つける事はできるのか。
武蔵野市は今後2年間かけて事業者と話し合い模索していく予定です。
こうやって改めて現状を見させて頂くとうちの父の介護の場合は本当に今思うとよく支えて下さった施設の方ヘルパーの方々に恵まれてたと思うんですけどそんな中でもやはり最初介護という世界に夢を持って飛び込んできた若者たちがやむなく辞めていってしまう姿も結構見てきたんですね。
だからこういう現状を見るとどうにかそういった若者が長く働ける給与の面も含めてですね。
働ける現場になってくれればうれしいなとは今改めて思うんですけれども。
これからますます担い手が必要になってきますからね。
実は番組では介護事業者を対象に独自のアンケート調査を行いました。
「委託料が引き下げられた場合どうしますか?」という質問に対して8割の事業者が「サービスの規模や内容を変更せざるをえない」と回答したんですね。
「ではどのような変更を検討していきますか?」という質問に対してこのような回答が複数来ました。
まずは…ですから要支援者にとっては心配になってくる訳ですが結城さんどう見たらいいでしょうか?VTRの武蔵野市の例は今実験的にやっているのでこの価格が本当になるかどうかは分からないと思いますし上がるかもしれないし下がるかもしれませんけど仮に全国的に下がったとすると事業所としてはヘルパーさんに払う賃金を減らしたりとか逆に自治体はサービスを使わせないように自己負担を上げるという事を長期的に考えられます。
まあその意味ではヘルパーさん今非常に人材不足ですから更に人材不足が深刻化するという事も長期的に僕は心配していますね。
一方で利用者への影響についてですが服部さん。
本当に大きな影響でヘルパーさんが来てくれなかったら困るという事もありますし事業所もやりたくてもやれないようなジレンマが多分あると思うんですが。
特にデイサービスなんかは送迎をやめるとか時間を短くするとかお風呂に入る入浴サービスをやめるとかね。
もし単価が安ければそういう形で対応しなければ事業が成り立たないという事も出てくると思うんですね。
そうすると今要支援でご自宅でお風呂に入れない方たくさんおられるのでその人はじゃあどうするのかという事で今でも要支援の方は自費でお風呂のサービスを受けている実態があるんですよね。
そうした場合に自費に全部なってしまったらとてもではないけど生活ができなくなる。
とても要支援の方にとっては過酷な状況が起きると思います。
その介護保険制度の見直しについての法案ですが6月中には成立する見込みで7月までにはガイドラインが出る予定だという事です。
最後に国や自治体に対してそれぞれひと言ずつ伺いたいのですが。
まず服部さんお願いします。
介護保険制度を作った時に保険あってサービスなしにはしないというふうに言っていましたよね。
保険が取られてサービスはあるけど使えないというのが今回の状況だと思うんですね。
これはとんでもない事でやはり現場で要介護要支援になっている方の意見をもっともっと聞いてその方が維持できるようにその家族が不安にならないようにそこにやっぱり保険を作った者の責任があると私は思っています。
現場の声をしっかり聞いてほしいですよね。
結城さんいかがでしょうか?今回の地域支援事業というのは国の制度から市町村に移譲されるんですがやっぱり市町村が頑張らないといけないんですね。
ですから今まで国に任せていたのではなくて市町村がきちっと整理して住民のために一生懸命頑張ると。
確かに厳しい法案かもしれませんがもしかしたらいい制度になるという一分の望みがあるかもしれないので是非頑張ってほしいなと思いますね。
せっかくの制度ですからね風見さん。
本当ですね。
少しでも不安が減ってくれるための制度になってもらいたいですよね。
要支援者をどう支えていくんでしょうか?明日はボランティアの力に注目していきます。
今日はどうもありがとうございました。
2014/05/13(火) 13:05〜13:35
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ハートネットTV シリーズ どうなる?私の介護保険 第1回「制度改正の波紋」[字][再]
5月の特集は“どうなる?私の介護保険”。国は今、介護保険制度の大幅な見直しを進めている。4回にわたって、見直しで私たちの暮らしはどう変わるのか、課題をお伝えする
詳細情報
番組内容
5月の特集は『どうなる?私の介護保険』。2000年に“介護の社会化”をうたい文句にスタートした『介護保険制度』。国は今、大幅な見直しを進めている。2025年には“団塊の世代”が75歳を迎え、未曾有の超高齢社会を迎えるためだ。4回にわたって、見直しで私たちの暮らしはどう変わるのか、課題をお伝えする。1回目は「要支援者」のサービスの仕組みや内容がどう変わるのか、お伝えする。ゲストは風見しんごさん。
出演者
【出演】タレント…風見しんご,立教大学教授…服部万里子,淑徳大学教授…結城康博,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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