きょうの健康 ひざの痛み 克服法「変形性ひざ関節症の治療」 2014.05.13

(テーマ音楽)覚えておきたい確かな健康情報を分かりやすくお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
今週はこちら「ひざの痛み克服法」をお送りしています。
昨日はひざの痛みの予防について見ましたね。
今日のテーマはこちらです。
ひざの痛みの原因として最も多い変形性ひざ関節症の治療についてお伝えしていきます。
今日もお話頂く専門家をお迎えしております。
ご紹介致します。
特にひざの関節の病気とけがの診断・治療がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
ひざの痛みの原因として最も多い変形性ひざ関節症ですねこれひざに何が起きているのか早速画像でご説明頂きましょう。
これはひざ関節の正面のX線画像です。
ひざを真正面から見てます。
こっちが内側でこっちが外側です。
左ひざなんですが太ももの骨の大たい骨という骨とすねの骨のけい骨という間にこのように隙間があります。
ここ隙間が見えてますね。
こちらが変形性ひざ関節症の患者さんのX線です。
外側の方は健康な方と同じように隙間がありますが内側の隙間がなくなってしまっています。
ここに注目ですね。
もう隙間が見えません。
なぜ隙間がなくなるんでしょうか?これはひざ関節の構造を示した模式図ですが骨の端には関節軟骨というクッションがあります。
更に半月板というクッションもあります。
先ほどの隙間は関節軟骨と半月板の厚みを表したもので変形性ひざ関節症の患者さんではこれらがすり減ってくる事によって隙間が狭くなってくるというふうに考えられています。
さっきのX線画像と合わせますとこの辺の隙間がなくなってましたね。
その隙間がなくなってくる過程でどういう事が起こりますか?まずこれは割と初期の段階なんですが関節軟骨が少しずつすり減ってきます。
そうすると隙間が狭くなります。
この時に関節軟骨の破片が関節腔という関節の中に出てきます。
散らばった感じですね。
それがですね滑膜という関節を裏打ちしてる組織があるんですがそれを刺激する事によって関節に炎症が生じます。
その炎症によって痛みが生じます。
「痛い痛い痛い」となる訳ですが更に進行しますといかがでしょう?更に進行すると骨を覆ってる関節軟骨が全く無くなってしまいます。
こうなると骨同士がぶつかり合って骨にすごく大きな力がかかります。
そうすると痛みが生じます。
更に骨同士がぶつかり合うと骨に…骨のトゲですね骨が出っ張ってきます。
簡単に言うと出っ張ってきてこの骨の出っ張りが関節包といった関節の袋とか骨と骨とをつないでいるじん帯とかに引っ掛かって痛みが生じたりしてとても強い痛みになります。
これは痛そうですね。
この変形性ひざ関節症はどんな年代に多いんですか?これは我が国で調べられた変形性ひざ関節症の有病率を示したデータですが横軸が年齢縦軸が有病率ですがこのように年齢とともに患者さんの数は増えていきます。
はっきり右肩上がりですね。
青が男性赤が女性ですが男性と比較すると女性の方に多くて例えば60代を見ると女性では50超えてますので2人に1人以上の方が変形性ひざ関節症でいらっしゃるというデータです。
それではここから変形性ひざ関節症の治療の流れを教えて頂きます。
まずこちらでご説明下さい。
変形性ひざ関節症の治療にはいろいろな方法があります。
これは変形性ひざ関節症の治療のピラミッドですがまず全ての患者さんに行って頂きたいのはこの下の「患者教育・運動・減量」の3つです。
これが土台になります。
土台になる。
教育というのは病気の知識ですか?そうです。
どういう病気かという事を知る事は病気を治療する上で非常に大事になってきます。
運動が大事とおっしゃいました。
減量も大事ですが土台という部分にはお薬はありませんが薬なしでこの3つだけでよくなるんですか?この3つ特に運動をしっかりやって頂く事で症状が痛みがとれる方がかなり多くの方がいらっしゃいます。
ひざに痛みがあるのに運動してもいいんですか?痛いんですけどね。
運動と言っても激しい運動じゃなくて痛みがあってもできる運動をやって頂く事によって痛みが改善します。
通常はそういう運動を2週間から3週間やってくると症状が軽くなるケースが多いです。
うたぐり深いようですが進行が抑えられるのではなくて痛みそのものが運動で和らいでくるんですか?運動と痛み止めをのんだ方を比較した研究が国内でも海外からでもされてるんですが運動を単独で行う事で鎮痛剤をのむのと同じぐらいの痛みを抑える効果がある事が示されています。
昨日予防も運動が大事だという事ですが治療の上でも大変大事なんですよね。
それでは次の段階に行きますよ。
ピラミッドの上薬や装具が出てまいりましたがこの段階でも運動やるんですか?この段階でも運動をやる事が大事でありましてもちろん痛みが強くて運動ができないとかいう方もいらっしゃいますのでそういう場合には第2段階で薬とか装具を使いますがあくまで薬というのは運動して頂くための補助ですね。
ですからこの段階に行ったからといって運動しなくていい訳じゃなくて全ての段階の方に運動はやって頂きたいという事が言えます。
ははあ〜。
これは大事なポイントですね。
運動をするために薬で痛みを和らげて運動が主役なんですね。
運動が主役です。
むしろそうなんですね。
なるほど。
そしてこのピラミッドの一番上は手術なんですね。
運動をやって頂いて薬とか装具を使って頂いてそれでも痛みがとれない方がいらっしゃいますのでそのような患者さんには手術という治療選択肢もあります。
手術については明日詳しくお伝えしていきます。
更にもう少し詳しく伺いますよ。
このピラミッドの真ん中薬や装具とありますがまず薬。
どんなお薬を使うんでしょうか?こちらがまず一般的に用いられる薬ですがいわゆる痛み止めと呼ばれているものです。
一般的な…あとは…これらを用います。
こうした薬の注意点は何かありますか?薬は基本的には症状を和らげるものです。
薬をのむからといって変形性ひざ関節症の痛みが完全にとれる訳ではありません。
基本は運動療法でありますので薬だけで治るという訳ではありません。
更に薬というのは胃腸障害とかの副作用がありますのでずっとのみ続けるものではありませんのでその辺を注意する必要があります。
漫然とのみ続けると害が出る訳ですよね。
このほかのお薬に切り替えますがこういう薬が出てまいりました。
あとは病院でヒアルロン酸という関節内の成分である潤滑剤を注射して痛みが和らぐ場合もあります。
あとは炎症が強い場合にはステロイド剤というものも注射する場合もあります。
更に痛みが強くてなかなか痛みがコントロールできない場合には強力な鎮痛剤であるオピオイドなんかを用いる場合もあります。
ピラミッドの真ん中薬・装具だった訳ですが今薬伺いました。
次は装具。
これはどういうものでしょうか?よく用いられるのがこちらの足底板と呼ばれる…。
靴に敷く中敷きです。
中敷きですね。
こちらが内側でこちらが外側になります。
実はこれ内側が悪い人に用いるものなんですが外側がこのように高くなってます。
外側を高くする事によってひざの内側にかかる負担を減らして外側にかかる負担を増やして内側にかかる痛みを減らそうというものです。
これも非常に効果的です。
さあもう一度ピラミッドを見ましょう。
今この段階見た訳ですが重要な事は?今まで申したように基本的には一番重要なのは運動ですね。
運動をまずやって頂く事が非常に重要になってきます。
どの段階でも運動は欠かせないという事ですよね。
それではひざの痛みを和らげるのに有効な運動具体的に覚えましょうね。
久田さん。
はい。
帝京大学医学部附属病院理学療法士の工藤隆則さんに教えて頂きます。
今日もよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
今日は変形性ひざ関節症でひざに痛みがある方でも行える運動を教えて頂きます。
まず最初はどんな運動ですか?まず最初に太ももの前側の大たい四頭筋を鍛える運動から行います。
太ももの前側ですね。
あおむけになって行います。
あおむけに寝ます。
まず反対の脚を曲げて頂き反対の脚をまっすぐ伸ばして頂きます。
10cmから20cm持ち上げ5秒間保持します。
10cmから20cm持ち上げてこの姿勢で5秒間という事ですね。
この時に大たい四頭筋が鍛えられます。
ゆっくり下ろし3秒間休息します。
これを反対も同じように行います。
どのくらい行いますか?20回行います。
これを1日に?3セット行います。
20回を1日に3セットという事ですね。
では次を教えて下さい。
次にお尻と太ももの横の筋肉を鍛える横あげの運動になります。
こちらの運動は横向きになって行います。
下側の脚を軽く曲げ上側の脚をまっすぐ伸ばします。
こちらも10cmから20cm持ち上げ5秒間保持します。
これも持ち上げて5秒保つという事ですね。
ゆっくり下ろし3秒間休みます。
20回繰り返し1日3セット行います。
こちらも反対の脚も同様に行います。
今度は反対側の脚を上にしてそして行っていくという事ですね。
では次の運動を教えて下さい。
次の運動はひざの関節の動きを広げる運動です。
軽く曲げて頂き太ももの裏に手をかけます。
ゆっくり胸の方に引き付けていきます。
胸の方にギュ〜ッと引き付けていくんですね。
手を離してゆっくり脚を戻します。
これでひざの関節の動きがしやすくなるんですか?ひざの痛みがある方ですと動かす範囲が狭くなってしまいます。
この運動を続けますと動かす範囲が広がり楽になってきます。
では次の運動を教えて下さい。
太ももの裏側のハムストリングスを伸ばす運動です。
太ももの裏側を伸ばす運動ですね。
両脚を伸ばして頂き体をゆっくり前に倒します。
前グッと倒していくと…?ひざがしっかり伸びるようになります。
そうすると裏側も伸びてくるという事なんですね。
ありがとうございました。
今日の運動はひざが痛い方でも行えるという事なんですが注意点はありますか?ある程度の痛みがあってもこれらの運動を行っても問題はありません。
続けて頂くとひざの痛みが軽くなってきます。
ただし痛みがひどくなる場合は医師に相談をして下さい。
ありがとうございました。
さあ今日覚えました運動もこれも家の中で簡単にできる運動ですから心掛けたいですよね。
それにしましても今日伺ったお話の中で驚きましたのはひざに痛みがある方は運動をする事によって改善の効果というのはお薬をのむのに匹敵するんだよというお話。
これは驚きましたね。
しかも運動というのはお薬と違って副作用も全くありませんのでしかも病院に行かなくてもご自宅でできますので非常に有用な治療法だという事が言えます。
もう一度あのピラミッドを復習で見てみたいんですが治療のこうした段階の中で運動というのは全てに関わってくるという事なんですね。
このようなピラミッドというのは下が崩れると崩れてしまいますよね。
土台になってるものですのでこの運動からまず始めて頂いてもちろんこれが駄目であればどんどんいろんな治療法がありますがまずは運動をやって頂く事をお勧めしたいと思います。
痛いから動かないのはよくない訳ですよね。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
明日は変形性ひざ関節症の手術について詳しくお伝えしていきます。
明日も是非ご覧下さい。
明日のお話もどうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
2014/05/13(火) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 ひざの痛み 克服法「変形性ひざ関節症の治療」[解][字]

変形性ひざ関節症の治療の基本は患者教育・運動・減量の3つ。運動には鎮痛薬と同じくらい痛みを和らげる効果があることがわかっている。適切な運動を4つ紹介する。

詳細情報
番組内容
変形性ひざ関節症の治療の基本は患者教育・運動・減量の3つ。全員にまず運動を行ってもらう。実は運動には鎮痛薬と同じくらい痛みを和らげる効果があることがわかっている。運動すると炎症が抑えられ、それだけで痛みがなくなる人がいる。もし運動で十分な効果がない場合には薬を処方するが運動も続ける。変形性ひざ関節症で痛みがある方でも行うことができる運動を4つ紹介する。足底板という装具も使用することもある。
出演者
【講師】帝京大学教授…中川匠,帝京大学医学部附属病院理学療法士…工藤隆則,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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