(カメラのシャッター音)
(榊マリコ)死斑の状態から見て死亡したのは昨夜の午後10時から午前0時の間。
後頭部に打撲痕眼瞼に溢血点が見られるから窒息死ね。
(土門薫)おそらくあれだ。
(吉崎泰乃)何これ?シリコンゴムみたいね。
(相馬涼)なるほど。
液状のシリコンゴムに顔を押し付けて窒息死させてそのまま固めたんだ。
って事はこれ正真正銘のデスマスクですよ。
僕またズバリ的を射た事を言っちゃいました?まさか窒息死する瞬間の表情を…。
何かしら?わかりますか?宇佐見さん?
(宇佐見裕也)あ…すいません。
それ石膏じゃないすか?こいつを流し込んで固めたんすよきっと。
でもその固めた石膏自体はどこにもありませんよ。
(権藤克利)犯人が持ち去ったのかもしれませんね。
それが犯人の目的だったのかもしれないな。
遺体は洛北医大に。
泰乃さんはケースと周囲の写真を。
相馬くんは遺留品をお願い。
はい。
宇佐見さんは…。
大丈夫ですか?ちょっと外の空気を吸ってきます。
(風丘早月)うーん…。
肝臓腎臓肺にも鬱血。
肺外壁には鬱血点もある。
窒息死で間違いありませんか?ええ。
気道や食道にもシリコンゴムが入り込んでる。
やはり生きたままシリコンゴムに顔を押し付けて型を取った…。
犯人のゲソ痕がない?足跡を残していないという事は…。
(日野和正)靴底にフェルトかなんかを貼って上からカバーで覆うかしたんだろうな。
用心深い犯人ですね。
まさに足がつかない。
泰乃くんの方は何かわかった?それが犯行に使われたプラスチックケースも石膏を入れたポリバケツも大手メーカーの量販品で入手ルートをたどるのはほとんど不可能です。
逆に足がつかないとわかっていたから平気で残してたんじゃないですか?そう言う相馬くんは何かわかった?後頭部の傷から見て殴打に使われたのは直径5センチ程度のよくある鉄パイプです。
殺害方法は?被害者の身長と残されたデスマスクの跡の角度から見て犯人は被害者をシリコンゴム入りのプラスチックケースの前にひざまずかせたって感じですかね。
(相馬)仮に体重50キロの人間でも全体重をかけて被害者をシリコンゴムの中に押し込めば…。
犯行の最中に被害者が意識を取り戻しても窒息死させる事が可能…。
死ぬ瞬間の表情を残したいなら案外意識を取り戻すのを待ってたのかもしれませんよ。
だってその方が俄然リアルなデスマスクが作れるし。
相馬くん!僕なんか変な事言いました?自覚ないんだ…。
指紋や毛髪を残していない点から見ても犯人が用心深いというのは間違いないわね。
型を取るのに使ったのも硫酸カルシウムの半水和物。
どこででも入手可能な一般的な焼石膏だったし。
(権藤)失礼します。
被害者の身元が明らかになりました。
奥原幹彦48歳。
住宅総合メーカーの課長でした。
職場や家族関係でのトラブルは今のところ上がってきていません。
殺害される動機が見つからないって事ですか?動機は当然デスマスクでしょ。
なんたって犯人はデスマスクキラーなんですから。
勝手に名前付けないの。
犯行は深夜。
人気のない河川敷。
目撃者も期待出来ない。
もし仮に常軌を逸した動機だとすれば犯人の手がかりは犯行手段から絞るしかないわね。
(泰乃)何かわかりました?組成分析をした結果…あ…お疲れ様です。
市販のシリコンゴムや歯型を取るのに使うアルジネートなどとは別の組成だとわかりました。
(権藤)犯人が自分で作ったものって事ですか?ええ。
ですが高分子化合物で複雑な組成ゆえに製造方法まではこのラボではわかりません。
そう…。
ですが関西理科大学の高分子素材研究センターなら詳細な組成と製造方法がわかるかもしれません。
科学捜査研究所の榊です。
宇佐見です。
(倉石信貴)主任研究員の倉石と言います。
急なお願いで申し訳ありません。
送ってもらったシリコンゴムの分析結果出てますよ。
(宇佐見)市販のものとは違いますよね?一番の違いは硬化剤でした。
シリコンゴムなどを加工する時弾性や強度を高めるために有機過酸化物を加えるんですがこれにはそれの代わりにヘリギン酸という飽和脂肪酸の一種が使われています。
かなり珍しいケースです。
どうしてそんなものを?硬化剤はその種類によって固まる速度や硬化したあとの弾力などに変化が生じます。
様々なパターンを試してその用途に最も効果的なものを選んだのではないでしょうか。
(携帯電話)ちょっとすいません。
所長何か?今回の事件と極めて類似した殺人事件が10年前関東で起きていた事がわかった。
(佐久間誠)それも3件。
すなわち連続殺人だ。
1件目は埼玉県秩父市の廃屋。
被害者は専業主婦。
2件目は神奈川県川崎市の使われていない倉庫。
被害者は保険のセールスマン。
3件目は東京都練馬区の物置小屋。
被害者は女子大生。
3人の被害者は年齢も性別もバラバラだったがただ1つ殺害方法だけが共通していた。
つまりシリコンゴムによる窒息死。
それを型にして石膏でデスマスクを作り持ち去るという手口もまるっきり同じだ。
犯人は?警視庁と各県警本部が合同捜査を行ったが犯行は3件目を最後に途絶えいまだ犯人逮捕には至っていない。
まさかその連続殺人が…。
10年ぶりにこの京都で復活したらしい。
そう断定するのはまだ早い!まあとにかく10年前の連続殺人と今回の事件の関連性が明らかになるまでは事件の詳細は外部には絶対に漏らさないように。
わかりました。
所員全員に徹底させます。
もう1つ肝心な事がある。
3件目に殺された女子大生の名前は宇佐見一穂。
科捜研宇佐見研究員の妹だ。
宇佐見さんは10年前の事件と今回の…。
被害者遺族だ。
当然気付いてるはずだ。
だったらどうして…。
(泰乃)はいこれも!はい。
機材の点検まで僕の仕事なんですか?新人がやる決まりなの。
これからはよろしくね!はい!あれ?宇佐見さん。
帰ってたんだ。
戻りました。
お疲れ様です。
宇佐見さんちょっとお話があるんですけど。
ああだったら…。
事件の事ですよね?たった今刑事部長からうかがいました。
10年前何があったのかを…。
教えてください。
奥原幹彦さんの犯行現場でその事を言い出さなかったのは?ショックを受けたのは事実です。
でもそれよりもあの時点では今回の事件と妹の事件が同一犯によるものだという証拠は見つかっていませんでした。
いたずらに過去の事件を持ち出す事はかえって先入観を持つ事につながりかねません。
違いますか?確かに。
私たちの仕事はどんな状況でも証拠を客観的に分析して事件を早期解決に導く事ですよね?だから鑑定の妨げになってはいけないと思い妹の事はあえて口にしませんでした。
だとしたらもう1つだけ聞いていいですか?もし仮に今回の犯人が10年前と同一犯だとわかった時宇佐見さんはそれでも客観的でいられますか?それが出来なくなった時は私がこの仕事を辞める時だと思っています。
よいしょ。
(日野)警視庁から10年前の事件の捜査資料が届いた。
君の妹さんが巻き込まれた事件の事みんなに伝えたところだ。
客観的な鑑定や分析のためには知っておいた方がいいと思ってな。
もちろんです。
だったら10年前と今回の事件の比較検討早速始めましょう。
(権藤)10年前の事件で捜査線上に上がったのはこの8名。
いずれもシリコンゴムや石膏の扱いに慣れた人間です。
全員アリバイがありませんでしたが犯人と特定しうる決定的な証拠も見つからず逮捕には…。
現在の所在確認は?8名のうち7人は所在が確認されました。
5人は当時の住所のまま。
あとの2人は関東に在住しています。
残りの1人は?山平隆志。
10年前は映画撮影用の小道具の制作会社の社員でしたが事件後退職現在所在不明です。
まさかその後京都に…。
住民票を洗ったんですが山平隆志という人物は府内には登録がありませんでした。
10年前の事件で警察にマークされてると知っていれば名前を変えて潜伏してる可能性は非常に高いと思われます。
うん。
よし。
所轄署に動員をかけて山平隆志が府内に潜伏していないか徹底的に調べさせろ。
(土門・権藤)はい。
(店長)篠口くんこれ倉庫に運んどいて。
(山平隆志)わかりました。
10年前の3件の犯行に使われたプラスチックケースと今回使用されたものはメーカーこそ違うもののやはり量販品でした。
ポリバケツもどこでも手に入るという点では同じです。
3件の現場ともゲソ痕はやっぱり見つかってないね。
(日野)今回の用心深い犯人像と一緒だ。
窒息させた方法のシミュレーション結果です。
被害者をひざまずかせて頭を押さえ込む方法も一緒でした。
手首の鬱血は縛られた跡。
後頭部には気絶させるための鈍器による打撲痕。
気道や食道に微量のシリコンゴム。
今回と極めてよく似ています。
宇佐見くんの方は?10年前の事件のシリコンゴムも今回のものと基本的な組成は同じでした。
硬化剤にヘリギン酸が使われている点も同じです。
10年前の事件の詳細は外部に漏れないように捜査本部が徹底した箝口令を敷いていた。
だとすると結論は?同一犯の可能性はかなり高いといえるわね。
(相馬)って事は今回の犯人が宇佐見さんの妹を…。
うるさい!10年前の連続殺人の時には何人か容疑者がいたんでしょ?所在確認が出来なかった人間が1人いる。
山平隆志。
現在37歳になります。
指名手配出来ないんですか?こいつが犯人であるという証拠は何1つない。
1ついいですか?はい。
捜査本部はどうして今回の事件を10年前の事件と関連付けて公表していないんです?現時点ではまだ両事件が同一犯であると確定していません。
万が一連続殺人だとすれば次の犠牲者が出るかもしれないんですよ。
注意を喚起する意味でも公表すべきなんじゃありませんか?連続殺人鬼が10年ぶりに復活したなんて発表したら世間に与える動揺は計り知れない。
警察は必要以上の不安をあおるような真似は出来ません。
そうですか…わかりました。
あの…逆に1つ聞いてもいいですか?なんでしょうか?もし仮に一連の事件がこの山平隆志の犯行だとしてこいつが目の前に現れた時あなたはどうするつもりですか?土門さん…。
鑑定結果を刑事部長に報告してくる。
(日野)おいおい出ちゃってるよ。
シリコンゴムや石膏の事まで書いてあります。
捜査本部にも箝口令は敷かれていたのに。
どうして…。
(相馬)「デスマスク連続殺人事鬼」か…。
これ書いた人僕と同じネーミングセンスですね。
まさか君がリークしたんじゃないだろうな。
いえいえ。
リークって…。
どうかしたの?宇佐見さんが新聞記者に?
(泰乃)ええ。
記者クラブの入館証をしてました。
それも東陽新聞の。
まさか宇佐見さんがあの記事を書かせたっていうの?私だって宇佐見さんの事信じてます。
だけど…。
次の犠牲者が出るかもしれないんですよ。
注意を喚起する意味でも公表すべきなんじゃありませんか?絶対にその犯人を見つけたいと思ったら事件の事を隠さずに世間に知らせて捜査にプレッシャーをかけようと思ったんじゃ…。
(サイレン)
(カメラのシャッター音)遺体や現場の状況から見てシリコンゴムによる窒息死ね。
奥原幹彦さんや10年前の3件と全く同じ手口。
通算5件目の殺人ってわけか…。
(権藤)土門さん。
おう。
記者クラブの入館証がありました。
確認したところガイシャは東陽新聞の記者。
西窪幸雄32歳。
東陽新聞って例のスクープ記事を書いた?あこの人…!
(相馬)あの時の記者。
どういう事だ?おととい駐車場で宇佐見さんと会ってたの見たんですけど。
その時の事を話してもらえますか?
(西窪幸雄)10年前に殺された宇佐見一穂さんのお兄さんですよね?いやあびっくりしましたよ。
(宇佐見の声)どこで調べたのか10年前の事件の事も詳しく知っていてあれこれ聞いてきました。
でも…。
今の私にお話出来る事は何もありません。
(西窪)やはり同一犯だと思われますか?もういいでしょ。
それだけです。
土門さん!知ってたのか?泰乃さんたちから聞いて。
でも記者に付きまとわれただけならなんの問題もないはずでしょ。
じゃあどうして被害者の西窪があんなに詳しい記事が書けたんだ?それは…。
仮に宇佐見研究員の話したとおりだとしても生前の被害者に関する情報だ。
捜査本部には報告をあげなくちゃならん。
前回と同じ死因は窒息死で間違いない。
これが気道に引っかかっていたシリコンゴムと毛髪。
毛髪…。
被害者のものかもしれないけどひょっとしたら…。
早速調べてみます。
ありがとうございます。
聞いたわ。
宇佐見さんの事。
風丘先生の耳にまで…。
こういう噂は伝わるのが早いから。
でもおかげで少しだけわかったような気がするの。
彼が前に私に言ってくれた事の意味が。
え…?
(携帯電話)
(携帯電話)すいません。
(携帯電話)所長何か…?宇佐見さんを外す?ああ。
今回の事件の片がつくまで自宅待機するようにとさっき佐久間部長から連絡があった。
どうしてです?宇佐見さんは何も悪い事してません。
もちろんそれはわかってる。
だがこの事件が10年前と同一犯だとすれば今回の鑑定に彼が関わる事自体捜査にはプラスにならないと上が判断したんだ。
それって宇佐見さんが…。
わかってくれ。
当該事件の被害者遺族という彼の立場はあまりに微妙すぎるんだ。
(ドアが開く音)宇佐見さん。
(泰乃)自宅待機なんかする必要ありませんよ。
いやいいんです。
所長や皆さんにこれ以上迷惑はかけられませんし何より科捜研の仕事に支障が生じて犯人の特定が遅れるような事は絶対にあってはなりませんから。
宇佐見さんの言うとおりです。
何があっても犯人を特定する。
それが今の私たちに出来る唯一の事です。
これ見てください。
殺害方法は前回と全く同じでした。
という事は10年前の3件とも同じ。
例の毛髪はどうだった?被害者の毛髪とは別な人物のものだと判明しました。
おそらく固まる前のシリコンゴムに混入して被害者の気道に入ったものと思われます。
(相馬)じゃあ犯人の?
(日野)DNAは取れそう?難しいかもしれません。
ただ表面に微量の火薬が付着している事がわかりました。
火薬…。
犯人の職業や潜伏先を特定する手がかりにはなるかもしれません。
相馬くん調べてみて。
(相馬)了解。
泰乃くんは?
(泰乃)プラスチックケースとポリバケツのメーカーが違いました。
違うって10年前の3件と?そうじゃなくて今回は10年前の3件と同じメーカーのもので奥原幹彦さん殺害の時だけ違うメーカーのものだったんです。
だとしたら犯人は4件目だけ違うものを使い5件目で10年前と同じものに戻した事になるわね。
どうして…?違うっていえば妙な事に気づいたんだけどね…。
なんです?指紋かせめて皮脂が残ってないか前回と今回のシリコンゴムの残りを調べたんだ。
結果指紋はなかった。
用心深い犯人ですからね。
それはないでしょう。
だがシリコンゴム自体の手触りが微妙に違う気がした。
手触り?どういう事です?正直専門外だからね。
化学は宇佐見くん任せだったし。
シリコンゴムを貸していただけますか?私が調べてみます。
(日野)これとこれと。
よいしょ!行こう。
よいしょ…。
(日野)悪いね。
奥お願いします。
(日野)はい。
やっぱり宇佐見さんがいないと…。
(ドアが開く音)
(泰乃)何やってんの?いや何って宇佐見さんにシリコンゴムのデータ送ってるんですよ。
ほら自宅待機なら家で仕事してもらえばいいかなって。
はい送信完了!
(日野)相馬くん君自宅待機の意味わかってないの?あれ?僕またなんかやっちゃいました?ううん。
科捜研に来て初めて役に立つ事したかも。
これが手触りの違いの正体?ひょっとして…。
(チャイム)風丘先生どうして…?自宅待機で退屈してんじゃないかと思って。
差し入れの宅配!
(早月)余計なお世話だと思ったらそう言ってくれていいから。
でもようやくわかったの。
白骨遺体が見つかった時宇佐見さん私にこう言ってくれた。
本当に大切な人を失った痛みはその瞬間より時間が経てば経つほど大きくなっていくものですから。
あれは宇佐見さん自身への言葉だったんだって…。
宇佐見さんと私がまるで同じだなんて思わないけどでも私になら少しは何か話せる事があるかなと思って…。
今でも恨んでますか?え…?犯人の事。
(ため息)私には子供たちがいるから。
もし私が犯人の事を心から恨み続けてたとしたらきっとあの子たちも同じようになる。
それだけは避けたかった。
正直子育てと仕事に追われて目の前の事でいっぱいいっぱいだったって言った方がいいかも。
答えになってないか…。
いやそんな事は…。
(メールの着信音)
(泰乃の声)「シリコンゴムのデータパソコンにメールしちゃいました。
調べてもらえますか?」シリコンゴムに硬化剤を入れてかき混ぜた場合固まる時に空気が入ります。
手触りの違いは気泡の大きさが違うためでした。
どうしてそんな違いが起きるんです?固まる速度やかき混ぜ方によるのかもしれないけど問題はこれ。
10年前の3件は5件目とほぼ同じなのに4件目だけが違うでしょ?どういう事だね?マリコくん。
私たちは4件目の事件を調べた時10年前の3件とは犯行に使われたプラスチックケースやポリバケツが違っていたのにその特異な殺害方法からてっきり同一犯の犯行だと思い込んでしまった。
でも5件目では10年前の3件と同じものを使った。
確かに変です。
犯人が4件目だけ別なものを使って5件目ではあえて10年前と同じものを使ったと考えるより4件目だけが別の犯人の犯行だと考える方が理にかなってると思わない?まさかコピーキャット?その可能性は高いわ。
それも過去3件の犯行手段を熟知して忠実に再現した巧妙な模倣犯。
こんな猟奇的な犯行をする奴が2人もいるってのか…。
まいったなあ。
…あそうだ。
毛髪の火薬の方は何かわかった?あああれならモデルガン用の火薬でした。
いくつかのメーカーに問い合わせ中で結果待ちです。
モデルガン用…。
毛髪に付着するぐらい使用してたとすれば持ち主はガンショップとかに出入りしていた可能性が高いな。
製品が特定出来れば販路から犯人を絞れるわね。
結果が出次第土門さんに連絡して。
(泰乃)マリコさんどこへ?高分子素材研究センター。
5件のシリコンゴムを全て調べてもらってくる。
(権藤)土門さん。
おう。
(権藤)5件目の被害者西窪幸雄のデスクからこれが。
「関西理科大学」…。
被害者の共通点が判明しました。
なんです?新聞記者の西窪は車で関西理科大学を訪ねています。
なおかつ4件目の奥原の勤める住宅総合メーカーは関西理科大学の高分子素材研究センターに研究開発費を援助しており奥原はその窓口だったそうです。
待ってください。
それってどういう…。
宇佐見さん!
(日野)宇佐見くんちょっと君自宅謹慎…。
(相馬)何かわかったんですね?送ってもらったシリコンゴムのデータを調べたんです。
過去の3件と5件目は同じでしたが4件目だけ硬化剤に使われたヘリギン酸の量が微妙に違いました。
(泰乃)製法が違うって事はやっぱり別の人が作ったんですね。
別のって犯人が2人いるとでもいうのか?マリコさんはそう言ってましたよ。
4件目は模倣犯の可能性が高いって。
おいちょっと待て。
どうやって模倣するんだ?過去3件殺害方法の詳細は一切公表されてないんだぞ。
確かに硬化剤にヘリギン酸を使ったなんて情報捜査関係者じゃなければ知りえないはずです。
10年前の捜査本部もシリコンゴムの鑑定を専門家に依頼したはずだ。
鑑定記録が捜査資料の中にありました。
鑑定を依頼したのは東都理科大学の野口教授…。
鑑定に協力したこの助手って…。
この人は今高分子素材研究センターの主任です。
主任研究員の倉石といいます。
そこなら今マリコくんが…。
何!?
(音声アナウンス)「おかけになった電話は電波の届かない…」榊が出ない。
(宇佐見)まさか…。
すいません携帯まで切ってもらって。
精密機器に影響が出るもので。
いえ大丈夫です。
サンプル調べました。
組成に違いはありませんでした。
手触りや気泡の大きさが明らかに違いますけど…。
室温や湿度によって固まり方や気泡の量も変わります。
たまたまじゃないでしょうか。
私にはどうしても違うように思えてならないんです。
考えすぎだと思いますよ。
犯行方法も同じだったんだしそもそも4件目だけが別だと考える方が無理がある。
…どうして?どうしてこれが連続殺人の証拠だってわかるんです?ハッハッハ…ほら東陽新聞に出てたじゃないですか。
あれを見ればこれがその証拠だと推測がつきます。
記事にも10年前と同一犯の可能性が高いって書いてあったし。
でも私は4件目だけが5件目や過去の3件と違うとは一言も言ってません。
なのにどうして4件目だってわかったんです?それは…。
4件目だけが組成が違う事を知ってるって事は…。
なんの話だか僕には…。
ああっ!頼むからおとなしくしてくれよ。
こんな事しても無駄よ。
やめなさい。
倉石!
(倉石)ううっ!ああ…!ああ…。
ああっ!大丈夫ですか!?奥原幹彦さんを殺害した事を認めるんだな?10年前のデスマスク殺人をコピーさせてもらいました。
「野口教授の助手をしていた時警視庁が鑑定依頼した資料を見て犯行の詳細を知ったわけか」あの時の資料は宝の山でした。
(倉石の声)何度も何度も読み返して全て頭に入れました。
そのうちに自分ならどうやるかもっとうまく出来るんじゃないかそんな風に思えてきて…。
だからってどうして10年も経ってから犯行を?現れたからですよ。
殺していい人間が。
奥原幹彦さんの会社は最近センターへの出資を打ち切ると言い出したそうだな?
(倉石の声)あの男が独断で決めたんですよ。
どんなに優れた研究かわかりもしないくせに。
(奥原幹彦)はっ!やめろ!やめてくれ!
(奥原)や…やめろ!やめろ…!
(倉石の声)やり方はしっかり頭に入ってましたから。
10年前の連続殺人と全く同じにすればその犯人のせいに出来るって…。
そのために記者の西窪さんを研究センターに呼んで事件に関する情報を流したんだな。
僕の言うとおりに記事にしてくれましたよ。
(携帯電話)どうした?
(権藤)「山平隆志の潜伏先がわかりました」おう。
あの店です。
間違いないな?
(権藤)5件目の毛髪から見つかったモデルガン用の火薬も取り扱ってますし客の証言もあります。
行くぞ。
この奥です。
山平隆志だな?京都府警だ。
どうして来たかわかるな?もう逃げられないぞ。
言っておくけど4件目は僕じゃないから。
(権藤)立て。
石膏で作った4個のマスクも全て被害者の顔と一致しました。
10年前関東で3件の犯行を行った山平は自分が疑われてると察して京都に逃れた。
独居老人をだまして養子になって名字を変えるなんて…。
そうやって10年間じっと息をひそめていたのに…。
突然自分の連続殺人を模倣する4件目が起きた。
(相馬)まさか真似されて頭にきたから5件目を…?…とはいえ模倣犯を見つけるのは容易ではない。
山平の怒りの矛先は4件目を自分がやった3件と同じだという記事を書いた西窪に向かい…。
やめろ!な?やめてくれ…。
やめてくれ!
(西窪)ああっ!
(日野)動機はなんなんです?あんなひどい殺し方をする。
この世で最もリアルなデスマスクを作りたい。
そのためには死ぬ瞬間の表情を切り取るのが一番だ。
本人はそう言ってます。
相馬くんの言ったとおりだったんだ。
さすがにうれしくないです。
答えは出ましたか?え…?目の前に犯人が現れたらどうするつもりか前に失礼な事を聞きました。
答えはまだ出せそうにありません。
何かが終わったわけじゃありません。
いや…多分これから始まるんです。
裁判などで新しい事実が1つずつ明らかになる。
そのたびに僕たちは傷つきそして1つずつ乗り越えていかなきゃならないんですから。
誤解してたみたいだな。
俺はてっきり宇佐見研究員が航空科研を辞めてまで科捜研に来たのは自分の力で10年前の事件の犯人を突き止める機会を狙っていた。
そう思っていた。
だからあんな事聞いたんだ。
うん…。
刑事の中にも長年やってると見失う人間がいるからな。
犯罪を憎む気持ちと犯人を恨む気持ちは違うって事をな。
きっと宇佐見さんは自分と同じ思いを味わう人間を1人でも増やさないように…。
そう願ってたはずよ。
ああ。
そう信じていなければ正しい分析なんか決して出来ないんだから。
(大家)こっちこっち!
(田所若菜)あっはい。
(ノック)ケースワーカーの田所です!
(ノック)おばあちゃん大家です!おばあちゃん?失礼しますよ。
おばあちゃん?おばあちゃん…!
(若菜)北川さん…!?
(読経)
(すすり泣き)
(鶴丸あや)この調書日本語になってないから言ってるのよ。
いや1か所じゃなくて10か所以上!
(川喜多夏帆)事務官…。
(井森幸三郎)専念。
ねえ府警本部の担当者は誰?やっぱり成増か…。
今からそっち行くから首洗って待ってろって言って。
井森事務官。
わたくしは同行を希望しません。
わかった。
助っ人不要!
(井森)1時間でお戻りください。
合点!合点って言ったね…。
(篠原功一郎)ああっ!失敬。
大丈夫ですか?
(篠原)あ…お先にどうぞ。
いえ…。
どうぞセニョリータ。
あ…はあ…。
あ…どうも…。
(成増清剛)いやそれはこっちの日本語を書く能力じゃなくてそっちの日本語を読む力の問題なんじゃないの!?成増さん!開き直るつもり?
(篠原)開き直るつもりかね?そうやって。
(池内弘二)旦那さんね冷静になって聞いてくださいよ。
(池内)警察としてもまだ北川サキ子さんがどうして亡くなったかっていう結論は出してない状態なんですよ。
あの人は自殺なんかする人じゃないんです。
いやそれはね…それはこの私が一番よく知ってるんです!ぜひとも事故の線で結論を出してもらいたい。
はい確かに貴重なご意見として拝聴致しました。
(平林雅彦)どうぞお引き取りください。
じゃあもう今日のところはこれで。
よろしく頼みます。
はい。
またあのじいさんかよ…。
最近の僕たちの日課になりました。
いつも来るの?毎日欠かさずですよ。
ほら先週大場町のアパートで独居老人が亡くなってるのが見つかったでしょう。
知らない。
新聞に小さくしか出てなかったからな。
部屋に練炭たいて一酸化炭素中毒。
練炭?
(池内)七輪の上にはなんにものってなくて煮炊きした跡もありませんでした。
まあ当然いの一番に自殺の線を考えるな。
自殺に見せかけたって線は?他殺はないんだよな?はい。
内側からしっかり鍵がかかってました。
侵入の痕跡もありません。
この季節に七輪出して練炭空だきしてたんですから自殺の線で決まりですよ。
遺書は?見つかってません。
そこに毎日事故だ事故だって言ってくるもんだから…。
あのおじいさんは?亡くなったおばあさんの知り合いだとしか。
ボーイフレンドじゃねえか?
(池内)あ〜。
うん間違いねえ。
今三条署を出たところ。
もうこれから大至急地検へ…戻りたい気持ちはやまやまなんだけどまた連絡する。
こんにちは。
亡くなったおばあさんとお知り合いだったそうですね。
あなたは?私京都地検の…。
地検?はい。
するとあなた検事さん?はい。
ああ…。
検事さんあれは決して事件じゃありませんよ。
あれは単なる事故なんですよ。
それにしても…地検の検事さんの出る幕じゃないでしょう。
いやいや私は本当に個人的な興味であなたと少しお話しがしてみたいと思っただけで…。
あの…三条署に日参されてるそうですね。
それは…あなたには関係のない事です。
放っておいてください。
すみません余計な事を…。
ああもし!あなた!あなたは本当に検事さんですか?ええ。
見えませんか?いや…。
あまりにもお美しいんで。
まあ…。
名刺頂けますか?はい。
(鶴丸りん)お母さんお茶淹れたけど飲む?うん飲む。
ちょうだい。
何探してるの?あった!知り合い?ううん。
自殺じゃない事故だって言い張るおじいさんがいてね…。
事故なの?ううん自殺らしい。
でもおじいさん一人事故だって頑張ってるのよ。
どうして?わからない。
だけどさなんだか素敵だと思わない?死んでもなおこだわり続けてくれる人がいるなんて。
お母さんもお父さんにいつまでもこだわってほしい?アハハ!私は先に死なないわ。
死ぬのは章ちゃんが先。
そしたらお母さんはずっとそのあとメソメソ泣いてお父さんにこだわり続けるわけ?ううん。
もうさっさと新しい恋人を見つけて…。
素敵じゃない。
え?そうかしら?12345678910。
1234…。
…34567…。
検事。
表でばったりお会いしまして。
お連れしましたお父様を。
うちの父?どうぞ。
お邪魔します。
あなた…!お父様じゃない!?意外と抜けてますね井森事務官も。
あなた無断で庁舎内に立ち入る事は禁じられています。
今すぐ退去しなさい!川喜多セキュリティーに連絡。
不審者がいると!ちょっと待ってください。
あなたが入っていいっておっしゃったんじゃありませんか。
いいから出なさい!いやちょっと…!井森さん!この人はいいの。
私を訪ねてきてくれたんだから。
この前はせっかく話を聞いてくださるとおっしゃってくださったのにあんな追い返すような無礼な態度をとってしまって申し訳ないと思いましてね…。
いえいえ。
あれから私も新聞を見たり事件の概要を調べたりして北川サキ子さんとあなたの…。
あっこれは申し遅れました。
わたくし篠原功一郎と申します。
ああ…。
篠原さんのご関係を知りたいなと思ってました。
まあ同じ独り暮らしの老人同士ってところですか。
(篠原の声)半年ほど前に知り合いましてね。
まあお互い馬が合うというか三日に空けず会っておりました。
私は彼女を…愛しておりました。
亡くなる前の日も会って色々と話を…。
いつもどんなお話を?まあ大体お互いの趣味だとか…。
どんな?それは…ないしょ。
お立ち頂けますか?セニョリータ。
どうぞ!さあ。
どうぞ!あっ!レディ?そうです!
(篠原)大丈夫。
ちょちょちょっ!えっ!?
(井森)鶴丸検事お時間が…。
踊っている…。
あんたが社交ダンスを?それも地検のテラスで。
アハハハ!うちの堅物事務官もうカンカンだったわ。
あのじいさん結構やるな。
うん…。
篠原さんはジェントルマンよ。
言葉もやわらかいし女性の扱いも丁寧で親切。
古いけど仕立てのいい服を着て。
ダンスの腕前もなかなか。
しかしなあ死んだ七輪のばあさんが社交ダンスやってたとは思えねえんだけどな…。
篠原さんの話によるとね彼女の方がずっとうまかったんだって。
なんでも亡くなった旦那さんとペア組んでてダンスの大会とかにも出てたんだって。
やっぱり事故かな…。
う〜ん…。
じいさんと社交ダンス楽しんでるばあさんが自殺するとはな…。
篠原さんもそう言ってた。
繰り返し繰り返し。
それにしても世の中さまざまだな〜。
ダンスして優雅な老後をすごしてるお年寄りがいるかと思うと片や…。
うんやめとこう。
酒まずくなるなうん。
ちょっと何よ?ねえなんなの?老人虐待?うん。
死んだばあさんが時々行ってたデイサービスの施設を聞き込んでたら…。
本当にそこの介護士が加害者なの?今内偵中だがまだ20代の若い奴だよ。
ひどい…。
峰山明信。
傷害容疑で逮捕状が出てる。
(峰山明信)え?俺?お願いします。
ちょっと…!あんな優秀な青年を逮捕するなんて実に愚かしい事をしたもんですな。
(篠原)すぐに釈放したまえ。
わかりました。
旦那さんのご意見はご意見としてありがたく承っておきますから。
あなたはそうやってね必ずはぐらかすんですな。
峰山君はどこにおるんです?私が連れて帰りますよ。
まったく…。
峰山君!
(平林)おじいさんちょっと…!
(篠原)峰山君!君は…君は無実なんだよ!俺も最初…。
じいさんさあまた因縁つけに来やがったと思ったんだよ。
いるんだよねえ。
暇つぶしに所轄のおまわりいじりに来る奴。
でも違ったんでしょ?うん。
篠原さん捕まった峰山の事よく知ってた?うん。
死んだばあさんのデイサービスにくっついて行くうちに仲良くなったんだってさ。
ふ〜ん。
あんな優しくて親切で仕事が出来る好青年はめったにいない!なんで逮捕したんだ!ってまあすごい剣幕でな。
なんか嘘くさい。
そんな好青年めったにいないんじゃなくて絶滅したよ今の日本では。
俺もそう思ったんだけどあのじいさん押しが強くて話にね妙に説得力があるんだよ。
なんでも昔どっかの大会社の重役だったそうだよ。
ふ〜ん…。
でもさ篠原さんって2度も警察の見立てと反対の事を言ってきたわけでしょ。
警察に恨みでもあるのかな…。
それともなんか…。
いや〜出来た出来た出来た出来た!ほら!食おう食おう食おう食おう!ちょっと待った!なんで成増さんが今夜もうちの夕飯にいるわけ?悪い?悪い!
(2人)悪くない!私はいまだに悪い夢を見てるとしか…。
学生時代の悪友たちが私に手の込んだジョークを仕掛けてどこかから笑って眺めてるとしか…。
私は高2の時に介護士の重要性に気づき専門の大学できっちりと介護の基礎を学び実践も積んできた人間です。
そのようですね。
老人相手の現場は恐ろしくストレスがたまる…。
その蓄積されたストレスが負のエネルギーとなって入所者のお年寄りや同僚の私に向かったのではないかと…。
峰山さん。
あなたが言いたいのは悠水苑のあなたの同僚の中に真犯人がいると?心当たりは?ないわけじゃありません。
(大久保弥生)今考えると1年ぐらい前から父は私たちが面会に行くと何かとても話したそうにしてたんです。
(弥生)それが父が出した精一杯のサインだった…。
私たちそれに応えてあげられずもうズルズルと…。
お父様の体の異変に気づかれたのは半年前ですね。
警察にもお話ししたんですけどパジャマがめくれてて父のおなかが赤く腫れてるのに気づいたんです。
パジャマ脱がしてみたらもうそこら中にアザが…。
で病室にビデオを仕掛けて盗み撮りを。
はあ…。
ちょっと。
大久保さん。
介護士の峰山さん知ってますね?あああ…ん…。
大久保さんのお世話をしてくれた峰山明信さん。
んん…ん…。
お父さん!峰山よ。
峰山。
お父さんの事たたいたでしょ?痛かったわよねえ。
つらかったでしょ?ねえ…。
(井森)あの奥様。
お父様を誘導するような発言は慎んで頂けますか。
何言ってんの?あんた…。
父殺されかけたのよ。
言いたくても峰山が怖くて言えなかったんじゃないの!なんにも知らないくせして余計な口挟まないでよ!ですけど…。
大久保さん。
とっても重要な事をお聞きしますよ。
ねえ。
話せなければ首を動かしてうなずくか横に振るかして意思表示をしてくださいね。
悠水苑の介護士峰山明信さんは大久保さんの事を殴りましたか?蹴りましたか?暴力振るいましたか?ああ…検事さん今父首を縦に振りました。
ね?見たでしょ?お父さんよく言ったわ。
お連れしました。
ようこそ篠原さん。
またここに来られるとは思ってもおりませんでした。
光栄です。
ああ今日は…合法侵入ですよね?
(咳払い)サキ子さんのお供をして悠水苑に顔を出してるうちに峰山君と出会いました。
実にいい青年でしてね。
私たちは自分たちの息子のように…いや孫ですか。
そう孫のようにかわいがりました。
彼もまたそれによく応えてくれましてね私はああいう施設で世話をして頂けるような人間ではありませんが入所者の方々と同じように私に接してくれましたよ。
篠原さんお聞きしますが…。
(篠原)はい。
峰山さんはあなた方にこう…声を荒げたり強く押したり突いたりするような事はありませんでしたか?いや一切ありません。
では他のお年寄りにそういった行為をしてるのを見たり聞いたりした事は?ええ一切…。
ああ…しかしですねその被害者と称される大久保老人。
あの方の娘さんの悪い評判は何度か耳にしました。
まあなんにでも文句をつけるクレーマーだという噂ですがね。
今回一番問題視されているのは悠水苑の開園記念日つまり3月15日の夜峰山青年が大久保老人に暴行を働いた件です。
被害者家族が撮影したビデオ映像もあります。
(篠原)ビデオ…。
ああ…。
検事さん誠に恐縮ですがそれは確かな証拠になりえますか?例えば暗すぎて不鮮明なものだとしたら…。
せっかくお招き頂いたんで検事さんに1ついい事をお教えしましょうか。
なんでしょう?実は私あの夜…峰山と一緒に酒を飲んでいたんですよ。
すなわち彼には…確固たるアリバイがある。
検事何度も申し上げますがおそらく無駄足になるかと。
それはあなたが篠原さんの供述を信じてないからでしょ。
もっと言えばあの人が嫌いだから。
いやいやそんな事で申し上げておりません。
なんとなく虚偽供述のにおいが…。
長年の事務官の勘と申しましょうか。
万事理詰めのあなたが勘を持ち出すなんて珍しいわね。
でもやっぱり私は…主婦の勘!ごめんください。
ごめんください…。
(ママ)ごめんなさい。
ブレーカー落ちちゃった。
今すぐロウソクを。
お電話致しました井森です。
篠原功一郎さんの供述内容を確認したくて。
3月15日の夜の事なんですが。
(ママ)ああ…。
その日はいらしてたわよ篠原さん。
若い二枚目を連れて。
確か峰山君とかいう…。
間違いありませんか?
(ママ)間違いありません。
今から3か月以上も前の3月15日の夜の事をよく覚えておられる理由は?検事さんにも経験ないですか?失恋。
5年も付き合った男とケンカ別れ…。
それで思い出したくもない事覚えてるわけです。
なるほど…。
そろそろ開店の準備しなくちゃ。
検事…この事件は不起訴と考えてよろしいでしょうか?え?うん…。
そうね。
何か?いや…。
なんか気になってるんだけど何が気になってるんだかわからないのよ…。
ありがとうございました。
(電話)
(夏帆)検事確認お願いします。
はい。
(井森)川喜多電話。
(夏帆)ああっはい!すいません。
もしもし鶴丸です。
はい?検事にですか?少々お待ちください。
検事受付に面会の方が。
ケースワーカーの田所という女性だそうです。
ご存じですか?いいえ。
第一発見者私でした。
そうでしたか。
篠原さんに困ってるおばあちゃんがいるんだが生活保護が受けられないかって相談されて一二度お話ししたんですが残念な結果に…。
我々ケースワーカーも大勢の方を担当してるもんでどうしても目配りがおろそかになって…。
で私に何か?篠原さんの事でちょっと。
あの人…生活保護費の不正受給の疑いがあって。
不正受給?収入があったり親類縁者の支援があると不正受給になり場合によっては保護を打ち切りに。
篠原さんのケースは?まだ噂レベルなので。
で検事さんが何かご存じないかと…。
私も何度かお会いしただけで知り合いと呼べるかどうかも…。
篠原さんの方はそうは思ってませんよ。
だってあの人京都地検の鶴丸検事だけが自分の唯一の味方であり友人であり…。
おっしゃってください。
恋人だと…。
とても光栄です。
678910…。
(ノック)
(ノック)篠原さん鶴丸です。
あっ…ちょっと…。
ちょっとお待ちください。
すいません。
ああ…。
すいません突然。
(篠原)いや…。
甘いの食べません?どうも。
今ちょうどうとうとし始めたところだったんで。
ごめんなさいお昼寝の最中に。
(篠原)いえ。
篠原さんどんなところに住んでらっしゃるのかしら?ちょっと中を見ても…。
ダメ!ダメです。
こういうところに座ってますとねなんて言いますかつい…。
よしましょうつまらない昔話は。
話してください。
聞きたいわ。
検事さんにそう言われると白状しなければいけませんか?まあ。
ハハハハ…。
昔は1杯1000円だ1500円だってコーヒーを都心の一流ホテルのラウンジでよく飲んでいましたよ。
清潔な真っ白いカバーのかかったあのフカフカした椅子にどかっと座りましてね…。
折り目正しいウエイターたちが過不足のない見事な客あしらいでフロアをこう行き来する…。
時々思い出されるんですか?その事。
ええこういうところで飲んでますとね…。
どうもいけませんなぁ。
ついつい頭の片隅をよぎるんですよ。
でも…でもみんないってしまいました。
1杯1500円のコーヒー仕立てのいい服社交ダンス。
私は素敵な思い出はみんな篠原さんの財産だと思いますよ。
しかし腹の足しにはなりませんよ。
篠原さん私の事恋人だと思っててくださるって聞きましたケースワーカーの方から。
とても嬉しいです。
また余計な事を…。
ハハハ…。
思ってもみなかった。
本当の人の心はわからない。
本当の人の心…。
素敵な時計ですね。
それも昔から?いやいや…いや…いやいやこれは違います。
これは人様の借り物なんです。
さてと私はひと足先に失礼します。
ああ検事さん。
もう二度とうちへは来ないでください。
はっきり言って迷惑なんです。
(柿野たまこ)万引きでパトカー何台も来ちゃうんですか?
(桜井麗子)万引きじゃなくてスーパーのガードマンが捕まったの。
(吉川香織)そいつが捕まる時逃げやがったもんやからもうパトカーいっぱい出て大捕物で大変やったんやから!ねえねえねえそのガードマンは何やったの?
(麗子)万引きを見逃してグルになって店の商品横流ししてたんだって。
(漆原さやか)見て見ぬふりか?いや〜悪い奴やなぁ!本当たち悪いですね。
そうか見て見ぬふりか…。
ああどうしよう私もう…。
あっあの冷蔵庫…。
ああ〜どうしよう私もう大失態だ。
ああ…。
(さやか)あやさん?部長すみませんでした。
私のミスです。
悠水苑介護士峰山明信の傷害事件不起訴は誤りでした。
(高原純之介)えっ?
(ため息)子供は無邪気で純真ではなく嘘つきでずる賢いと知ってたはずなのにお年寄りも同じだと気づかなかった。
篠原のおじいちゃんに一杯食わされました。
えっ?篠原さんは北川サキ子さんに付き合って悠水苑に顔を出していた。
ある時峰山の行為を目撃した。
しかし篠原さんはそれを苑や警察に話そうとせず自分1人の腹におさめ…。
(シャッター音)峰山を脅迫した。
やがて峰山が捕まり金づるを失いたくなかった篠原さんは峰山は無実だ好青年だと言って所轄に押しかけ峰山釈放のために動いた。
峰山君!君は無実なんだよ!そのために偽のアリバイまで用意して…。
アリバイまで?はい。
事件当夜峰山は篠原さんと一緒に飲んでいたというアリバイがある。
だから無実だと。
具体的にスナックの名前まであげて…。
そのスナックのママもグルか?ママは嫌々引き受けたけど嘘はつきたくなかった。
だから我々が行った時ブレーカーが落ちたと電気の消えた薄暗がりの中で…。
(ママ)今すぐロウソクを。
検事さんにも経験ないですか?人間は後ろめたかったり嘘をつく時に出来るだけ表情を見られたくないと考える。
(ママ)そろそろ開店の準備しなくちゃ。
帰り際ママさんが開店準備だと言って開けた冷蔵庫の中は明るかった。
その時に気づくべきでした。
篠原さんから頼まれたアリバイの嘘をつくために店の電灯を消してブレーカーが落ちたと偽った事に。
うーん…。
あやちゃん歳は取りたかないね。
でも老いは誰にでも訪れます。
この頃篠原さんから連絡ない?なんか言ってこない?いえ存じ上げません。
あ…先週検事がお留守の時に一度電話が…。
えっ聞いてない!はい言ってません!川喜多スクワット500回。
はい!待って。
篠原さんの用件は?
(夏帆)峰山さんの新しい勤務先を知らないかと…。
私知りませんってそう言いました。
123…。
峰山さんの新しい勤務先…?峰山。
じいさん俺は潔白だ。
晴れて自由の身だ。
あんたが脅かそうがどうしようがもう怖くないの。
待てよ峰山。
私はサキ子さんを自殺に追い込んだお前を許すわけにはいかんのだ。
おい…。
うわっ!やめろよ!
(峰山)うわー!ああ…。
(ホイッスル)
(パトカーのサイレン)手遅れか…。
(峰山)痛え…ああ…。
篠原さん!
(警察官)下がって下がって。
(パトカーのサイレン)検事さんまた来てしまいました。
許してください篠原さん。
北川サキ子さんもまた峰山に暴力を振るわれていたんですね。
検事さんが謝る事はありませんよ。
私もサキ子さんが本当に苦しんでいる事を知らなかったんですから。
あなたが提出してくださったこのサキ子さんの遺書で全ての謎が解けました。
「峰山君が殴ります」「何度も何度も殴ります」「もう生きていてもつまらない」「あなたのところに行きます」これは私がサキ子さんと会う時にいつも着ていた私の一番いいスーツのポケットに入っていたんです。
もっと早くに気づいてあげればよかったんです。
そうすれば何も彼女は死ぬ事はなかったんです。
それも私があげたあの七輪で命を絶つなんて…。
孫のようにかわいがっていた峰山から暴力を振るわれ彼女はどれほど苦しみどれほど深く傷ついた事でしょう。
私はそういう事を全くなんにも知らずに峰山を写真で脅し金を得ていました。
私の最晩年に出会っておそらく残りの人生をともに過ごしていけるだろうと思っていた女性を虐待した奴から金をせびっていたんです。
篠原さん確かにあなたの罪は重い。
こんな卑劣な男は世界中どこを探してもいやしませんよね。
バカな男でした。
でももうそれ以上ご自分を責めないで。
検事さんもよくお読みくださったんでおわかりだと思いますがこの私に託された手紙は1年前すでに亡くなられたご主人に宛てたものなんですよね。
彼女はしばしば私の名前を間違えてご主人の名前で呼ぶんです。
という事はつまり私を亡くなったご主人だと思ってずーっと付き合っていたんですよ。
私はそれをよしとしました。
(篠原)本当の人の心…。
本当の人の心はわからない…。
そう確かに…。
まあ人のせいにするのはよしましょう。
彼女が亡くなった今検事さん私は改めて気づいた事があるんです。
私は北川サキ子を愛してなんかいなかったんだ。
(篠原の声)しばしば彼女と会って楽しく語り合いそしてダンスをしながら豊かで充実した昔をただただ懐かしんでいただけだった。
私が愛したのは北川サキ子という女性ではなく腹の足しにもならない己の…己の思い出に過ぎなかったんです。
(嗚咽)ちょっと外してください。
(嗚咽)さあ篠原さん踊りましょう。
私と踊りましょう。
お父さんにメール送ったらカンカンだったよ。
えっ何よ?何を送ったの?お母さんお父さんが死んだら恋愛に走るって話。
バカ!あれは冗談じゃないの!いや結構本気だったと思うよ。
でしょ?だからりんちゃんねお父さんにまたメールしときな。
お母さんの希望は決して成就しないって。
どうして?お母さんの方が早く死んじゃうとか?ちょっとやめてよ!そんな縁起でもない事!お母さんだってお父さん平気で殺したじゃない。
それはさ…。
成就しない理由はねただ1つある。
何?なんなの?恋愛したくてもこんなおばさん誰も相手なんかしませーん!ぶっ飛ばすわよ〜!わあ〜!ああ…!ああもう…。
危ねえじゃねえかよ!若くないんだからもう!おばさんもこっち来る?涼しいよ。
行かない行かない。
ああそうああそう。
じゃありんちゃんおいで。
ほらほらほら!涼しいほらこっち。
手貸すよ手。
危ないからほら。
何よもう若い子には鼻の下伸ばして。
何やってんのバカ!
(りん)あっ本当だ。
私は章ちゃんに四つ葉のクローバーでも送ろうっと。
あった!2014/05/13(火) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
科捜研の女11 #11+京都地検の女8 #2[再][字]
科捜研の女11 #11「連続殺人鬼、空白の10年の謎!禁じられた科学鑑定!!」
京都地検の女8 #2「老紳士の恋と偽りの涙…不正受給の謎!!」
詳細情報
◇出演者1
【科捜研の女11 #11】
沢口靖子、内藤剛志、田中健 ほか
◇出演者2
【京都地検の女8 #2】
名取裕子、寺島進、宝田明、蟹江敬三 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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