くらし☆解説「暮らしの中で温暖化に備える」 2014.05.14

生字幕放送でお伝えします岩渕⇒こんにちは。
きょうはこちらのテーマです。
地球温暖化への関心が高まる中自治体の中には身近な変化を捉えて対策に生かそうという動きが出始めています。
きょうは私たちの暮らしの周辺にも影響が見え始めた地球温暖化とその対処法についてお伝えします。
担当は山崎登解説委員です。
山崎さん、地球温暖化というと暮らしとはまだ少し距離があるように感じていらっしゃる方もいると思うんですけれど。
ただ最近の陽気は昔に比べてちょっと変だなと感じている人はたくさんいるんじゃないかと思います。
最近、春の桜の開花が早まったり夏に猛烈な暑さがあったりということで温暖化の影響が私たちの周辺でも現れているとみている専門家が多くなってきているんです。
埼玉県では環境問題の研究や調査をしてきた環境科学国際センターというところで独自に温暖化の影響について調査をしてそれを対策に生かそうとしています。
きのうも暑かったですけれどきょうも各地で30度を超えるというニュースでしたね。
暑さというと埼玉県では熊谷市が知られていますが。
7年前、2007年の8月16日その日の映像です。
熊谷市の日中の最高気温が40.9度まで上がりまして当時の国内の最高気温の記録を更新しました。
その熊谷市の年平均気温のこの100年ほどの変化をグラフにしたものです。
徐々に気温が上がっているということが分かっていただけると思うんですがとりわけ1980年以降の上がり方が急になっています。
角度が急になっていますね。
1980年から2012年までの上昇率を100年あたりに計算してみると5.3度にもなるんです。
100年で5.3度上がる勢いということですね。
全国の同じ時期の上昇率を出してみますと2度ですから2倍以上になっています。
熊谷市は盆地になっていてフェーン現象が起きやすいということも影響しているとみられています。
こうしたことから全国に先駆けて温暖化の影響が観測できるのではないかということで埼玉県では気温、降水量、二酸化炭素の濃度のほかに植物や動物それに農業への影響、熱中症などの健康被害について調べています。
具体的に何か影響は出ているんですか?野生生物で少しずつ影響が見え始めています。
野生生物というのは気温や降水量といった環境に合った生き方をしていますから気象現象の変化というのは生息を脅かすこともありますし逆に生息の領域を広げていくきっかけになることもあります。
とりわけ小さな昆虫が顕著なんです。
羽を広げたときの大きさが3cmから4cmほどのムラサキツバメというチョウチョウがいます。
メスとオスです。
かつては九州、四国、中国地方西部までの温暖な地方に生息していました。
1999年ごろまでは埼玉県や関東地方での観測の記録はほとんどありません。
この点のところが観測されたところですね、少ないですね。
ところが2000年以降を見てください。
増えましたね。
埼玉県だけではなく関東地方各地で生息していることが確認され、今では関東地方に定着しているチョウになりました。
生物のこうした変化が私たちの暮らしにも何か影響してくるんでしょうか。
農業や園芸に影響が出ています。
同じような小さなチョウで暖かいところで生息していたツマグロヒョウモンというチョウがいるんです。
このチョウも2000年以前には埼玉県など関東ではほとんど見られませんでしたが、最近では関東各地で確認されています。
このチョウは幼虫のときにスミレの葉っぱを好んで食べるんです。
埼玉県では花を栽培している農家が多いため、スミレの葉っぱを食べられる被害が出て出荷に影響が出ました。
そこで埼玉県の病害虫防除所は2008年に農家に注意を呼びかける通知を出しています。
埼玉県で新たな病害虫が生まれてしまったわけですね。
このほかにも埼玉県の代表的な稲の品種である彩のかがやきという稲に高温障害で実が詰まらない被害が出たりあるいは暖かくなって越冬しやすくなった鹿がシラビソの原生林の木の幹、木の表面を食べてしまうというような被害も報告されています。
そうした気象状況の変化は身近なところに影響が出ているんですね。
ところが私たちの受け止め方というところで見てみますと多くの人がまだ温暖化の影響が出てくるのは先なんじゃないかと考えている人が多いんです。
2013年の8月に民間の調査機関がインターネットで1000人余りの人に温暖化の影響がいつごろ出るかと思いますかとアンケートをしたらすでに現れているが46%でしたが10年後くらいが最も多くて48%、中には25年後くらいという人も5%いてまだまだ先のことだと思っている人のほうが多くなっているんです。
温暖化というと本当に地球規模の大きな規模の問題ですから、私たちが何をしたらいいのか迷ってしまうこともあると思うんですが。
ただ、もう対策を取らなくちゃいけないこともあるんです。
これから患者が増える熱中症対策は独自の取り組みをしているところがあります。
熱中症対策というのは危険に気付くということがとても大事なんです。
そこで埼玉県の熊谷市では熱中症の情報メールを登録した市民に送っています。
危険、厳重警戒ほぼ安全までの5段階で示してことしも5月1日から始まっていまして、まず前の日の夕方にあしたはどうかという予報を出します。
それから当日の朝に出して、日中気温が上がってきたらこのランクになっていますというメールを出すことにしています。
この情報を見て、市民にこまめに水分を取ったり休憩を取ってもらおうというものです。
私も暑くなると飲み物を持ち歩くようにはしていますが、なかなかのどが乾くまで飲むのを忘れてしまいます。
こうしたメールがあるとのどが渇いていなくても今は水分補給をしようというタイミングになっていいですね。
気付くことが大事です、今登録している人は1500人ぐらいいまして、ことしも10月までこのメールを送るということです。
それから埼玉県全体でも公共施設や企業の建物をクールオアシスと位置づけて高齢者や子ども連れの人などが暑さの厳しい日中に外出した際にここを一時的な避難場所として活用してもらおうという取り組みをしています。
このほか農業では高温に強い品種の改良などにも取り組んでいまして調査や研究を対策に役立てています。
地球温暖化に対して身近に私もできる対策として最近、家の電球をLEDの省エネ電球にかえました、こうした小さなことでもいいですか。
すごく大事なことだと思います。
さまざまな観測や調査を見ますと私たちの周辺に温暖化の影響は出始めていると言っていいと思うんです。
具体的な対処が求められていると思います。
ことしの3月に世界の研究者が横浜に集まってIPCCの総会を開きましたが、その中の報告書で温暖化はここ数十年、すべての大陸と海洋で生態系や社会に影響を与えていると断定しています。
二酸化炭素を減らす対策とともに変わってしまった気象環境に適応していくこともとても大事なんだということを指摘しているんです。
世界が協力して二酸化炭素を減らしていかないと、温暖化は進む一方です。
それと同時に私たちが変わり始めた気象現象の中にどう対応していくかということもとても大事なことだと思います。
温暖化対策は地球規模で起きていることをちゃんと理解したうえで足元の対策を積み上げていくということが大切なんです。
農業や漁業などばかりだけではなくて日々の暮らしの中で省エネを心がけたりあるいは熱中症対策に取り組んだりということが大切だと思います。
山崎登解説委員でした。
次回は松本浩司解説委員と共にお伝えします。
ぜひ、ご覧ください。

(テーマ音楽)2014/05/14(水) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「暮らしの中で温暖化に備える」[字]

NHK解説委員…山