ハートネットTV シリーズ どうなる?私の介護保険 第2回「地域の力」 2014.05.14

2000年に「介護の社会化」をうたい文句にスタートした介護保険制度。
利用者数は飛躍的に増え500万人余りが利用しています。
団塊の世代が75歳を迎える2025年には後期高齢者の数は2.4倍になる見込みです。
こうした中国が新たに注目しているのがNPOやボランティアなど市民の力です。
仕事をリタイアした人たちや主婦らに地域のお年寄りの暮らしを支えてもらおうというのです。
NPOが関わり住民同士が支え合う仕組みを作り出した地域も出てきています。
おはようございます。
「シリーズどうなる?私の介護保険」。
2回目は住み慣れた地域で暮らし続けるためにどんな仕組みを作ればよいのかその課題は何かお伝えしていきます。
今月のテーマは「どうなる?私の介護保険」。
2日目の今日は国が新たな介護の担い手として注目している地域の力についてその可能性と課題について探っていきます。
ゲストはタレントの風見しんごさんです。
今日もよろしくお願いします。
(風見)よろしくお願いします。
風見さんはボランティアの経験はありますか?自分は介護に関してはボランティアの経験ないですね。
ただ家族…うちの妻なんかは娘の通っていました学校の父兄会で特別養護老人ホームのシーツの交換ですとか洗濯にみんなでボランティアに行ったりとかという事はしていましたね。
喜ばれた方も多いでしょうね。
では実際に介護のどの分野に地域の力が期待されているんでしょうか。
こちらをご覧下さい。
介護保険制度には訪問介護がありますがこれは身体介護と生活援助の2種類に分けられます。
身体介護というのは…生活援助というのは日常生活の援助の事で…ここ数年の制度改正では専門職は身体介護を中心に担っていくべきとの議論が行われていたんですね。
一方で生活援助の一部の担い手として国が注目しているのがNPOやボランティアです。
岐阜県にはNPOが関わって住民同士の助け合いの仕組みを作っている地域があります。
その取り組みからご覧下さい。
岐阜県第2の都市大垣市。
人口16万人。
4人に1人がお年寄りです。
金吉夫妻です。
妻の好子さんは5年前にくも膜下出血で倒れました。
一命は取り留めましたが右半身に重い麻痺が残り要介護5の認定を受けました。
訪問看護やショートステイを使い自宅での生活を続けています。
夫の清史さんはこれまで家事を全くした事がありませんでした。
そのため訪問介護の生活援助サービスを使いヘルパーに家事を手伝ってもらいながらなんとか介護をしてきました。
しかし去年7月思わぬ事態に直面しました。
週3回利用していた訪問介護を突然打ち切られたのです。
(清史)そらもうショックですわ。
こんな状態で訪問介護が使えんいうとなると見てもらえる人がいないでしょう。
自治体の方針で「家族が同居しているため生活援助サービスが使えないケースにあたる」と判断されました。
困り果てていた金吉夫妻を救ったのがボランティアの存在でした。
伊藤民江さんです。
今日はまたね雨になりました。
外…。
昨日あんないいお天気だったのに。
またいつものようにお料理させて頂きます。
伊藤さんは週2回金吉夫妻のもとを訪れ清史さんが苦手な料理を代行しています。
伊藤さんの助けがある事で清史さんは再び介護にも前向きに取り組めるようになりました。
こういう事も分からへんねん。
出来たてのカボチャの煮つけ。
まず味見をするのは好子さんです。
ハハハ…。
よいしょ!ホント?奧さんカボチャがお好きやもんね。
頑張れ!フフフ…!
(伊藤)またこれからも奥様の好きな物をおいしい物いっぱい作りたいと思いますのでよろしくお願いしますね。
お願いします。
伊藤さんの帰り際清史さんはあらかじめ買っておいた利用券を渡しました。
実はこれライフサポート事業という有償ボランティアの取り組みです。
料金は1時間1,000円。
そのうち500円がボランティアの伊藤さんに入る仕組みです。
このライフサポート事業を運営しているのは…この日は月に1度の定例会です。
お掃除が55時間。
それから通院介助が16時間。
ここではボランティアはライフサポーターと呼ばれています。
現在活動しているライフサポーターは59人。
主婦や仕事をリアイアした人たちです。
それぞれの得意分野を生かして活動全体で月平均150時間のサービスを提供しています。
この事業の立ち上げに関わった理事の井口明さんです。
もともと病院で看護師をしていた井口さんは介護保険制度が始まる時に仲間と共に訪問介護を行う会社を立ち上げました。
しかし事業を始めて数年がたった頃「介護保険だけではお年寄りの暮らしを支えきれない」と感じるようになりました。
一つはやはり現場から「介護保険ではやれない」。
「お断りしなければならない事があまりに多くて苦しい」という。
「つらい」というヘルパーやケアマネジャーの声も上がっておりましたし実際利用者の方からも苦情が上がっておりましたね。
そこで井口さんは制度を補完する新しいサービスを作るため利用者300人を対象としたアンケート調査を行いました。
すると「ヘルパーにやってもらえず困ったことはありますか?」という質問に「はい」と答えた人が4割近くにも上る事が明らかになりました。
困った事は病院の付き添いや爪きり。
庭の手入れや雪かきなどでした。
やはりこれは在宅で安心して暮らすためにはほってはおけないと。
どうしたらいいんだろう…。
今こそみんなで考えなきゃいけないんじゃないかというふうに思いましたね。
一つの試みとして…地域住民にお年寄りの支援をしてもらうライフサポート事業。
井口さんはまずその仕組み作りを行いました。
最も力を入れたのが研修です。
サポーターは必ず7日間の研修に参加します。
お年寄りの介助のしかたや認知症の人とのコミュニケーションのとり方などを専門職から学びます。
訪問の際のルールも整えました。
「お茶を出されても飲まない」。
「守秘義務を守る」などを徹底していきました。
更に訪問先のお年寄りに異変が生じた時のための緊急連絡体制も整えました。
(臼井)「異常・緊急事態連絡表」というのがあります。
万が一の時に誰に連絡したらいいかというのを明確にしてます。
井口さんたちは連絡先の医師やケアマネジャー一人一人に事業の趣旨を説明し協力を取り付けました。
サポーターから連絡を受けたスタッフが速やかに連携先の専門職に指示を仰ぐ仕組みです。
こういう緊急事態何があるか分かりませんので高齢者さんですので…。
何かあった時はやはりコーディネーターとか事務所の方に連絡を取って指示を仰ぐというのがすごく安心感があります。
は〜いおはようございます。
おはようございます。
地域のお年寄りを支える活動はライフサポーターの側にも大きなやりがいをもたらしています。
この日ライフサポーターの臼井美弥子さんが訪ねたのは独り暮らしの女性です。
吉野さんは目と耳に障害があるため1人で外出する事ができません。
そのため臼井さんが週に1度買い物を代行しています。
(吉野)サーモンは店長に言ってある。
頼んである。
日曜日にね…。
臼井さんは7年前に会社を辞め父親の介護に当たってきました。
そのかたわら時間を作って参加したのがこの活動でした。
病院行ったり来たりしてあと家族のごはん作って…という感じでちょっと外とのそういう関係がないかなっていうので始めようかなと思ったんですけど…。
自分の親だったらもう当たり前ですよね。
やるのが当たり前という感じで…。
でも他人だと皆さんホントに「ありがとうありがとう」って言って下さるんです。
(チャイム)ああお帰り〜。
お疲れさま。
ご苦労さま。
臼井さんが買い物から戻ってきました。
(臼井)サーモンもねもう作ってあった。
(吉野)ああサーモン。
はい。
はいありがとね。
吉野さんの大好物サーモンの刺身です。
(吉野)ありがとね。
ご苦労さん。
朝から食べるんです。
私…。
サーモンにおろし大根をすってね。
臼井さんはこうした仕組みが根づいていけば自分も安心して年を重ねられると考えています。
…という事でこれを定着させていきたいなと思ってます。
皆さんできる事をできる範囲の中で無理をせずにお手伝いしていくという仕組みが…。
またここから先はプロに任せて私たちは手を出さないというそういうプロに連絡する仕組みですとかがちゃんとできているのが成功している要因なのかなというふうにも感じたんですけど…。
まさにそうなんです。
その仕組み作りについてポイントをまとめてみました。
こちらをご覧下さい。
大垣市の取り組みなんですがまずは研修制度です。
特別養護老人ホームやグループホーム障害者施設で働く専門職を講師に招いて介護のノウハウや知識を学んでいます。
7日間というね。
VTRもありましたが結構みっちり…。
そうですね。
やるんですよね。
そして有償ボランティアの仕組みも整えました。
利用料が1時間1,000円でしたね。
いやこれは僕値段が高いか安いかはちょっと分からないんですけれどもやはりそこでちゃんとそういう事の受け渡しがあるという事は頼む方も頼まれる側も逆にそういう事がある方が全部が無償っていうよりはいいんじゃないのかなっていう気がするんですけど。
利用者にとっては気兼ねなくお願いできますしライフサポーターというのはお金をもらう事で責任意識が生まれるという事がありますね。
そして最後は専門職との連携。
これVTRの中にも出てきたんですが何かあった時にお医者さんやケアマネジャーの指示を仰ぐ連絡体制を作っている。
専門職との連携を大切にしていると…。
だからホントにできる事をと言うとボランティアさんになる時にもちょっと入りやすいような気がしますね。
自分もこれ見せて頂けたら僕もできる範囲なら例えば買い物の代行とか車椅子は自分も両親の介護で結構押した事ありますのでそのお手伝いならできるだろうとか自分のできる範囲の中でなら入っていきやすい感じはしました。
実は大垣市の成功に注目した近隣の町も我が町にライフサポート事業をと育成に乗り出しています。
垂井町池田町大野町といった町なんですがこの大野町では去年取り組みを始めたばっかりなんですけども実はさまざまな課題に直面していました。
去年からライフサポーターの育成に乗り出している…「修了証明書。
上記の者はライフサポート福祉講座の研修を修了した事を証します」。
お疲れさまでした。
(拍手)4月研修の修了式が行われました。
私はライフサポートってどういう事かって事よく分からなくてこの講座に参加したんですよね。
この1年で33人が研修を終えました。
「撮るよ」って言ったら撮りますよ。
撮るよ。
はい。
(笑い声)オッケーです。
大野町でもライフサポーターを育てようと考えたのは社会福祉協議会の職員たちです。
NPO法人校舎のない学校に協力を求め住民の研修に取り組んできました。
事業を始めて1年。
サポーターの数は増えたものの大きな壁に直面していました。
利用者が集まらないのです。
その理由を吉村さんは広報が足りていないからだと考えていました。
行政にも連携をしてもらおうとこの日初めて大野町役場の担当者と打ち合わせを行う事にしました。
会議に参加したのは高齢者福祉を担当する職員たちです。
大野町健康課地域包括支援センターの竹中です。
よろしくお願いします。
NPO法人のスタッフも同席しました。
利用者がいない事にはそれも動いていかないという事なのでその利用者の方とかをどのようにしていくかという事ですね。
広報していってどのような形を大野町としてはやっていったらいいかなという事の話し合いという事なので…。
役場の職員は広報の前にまず住民がサービスを利用しない理由を調べるべきだと指摘しました。
更にボランティアによるサービスに住民が不安を感じているのではないかと指摘しました。
安否確認兼ねて一緒にお掃除するとかあと趣味の活動みたいな話し相手…。
一緒に折り紙を折るとかという方とか。
パッチワークするとかみたいな方はありましたけど…。
住民の不安をどう解消していくか。
吉村さんは今後は役場と連携し事業の説明会を開くなどして理解の輪を広げていく予定です。
難しいですね。
地域の皆さんボランティアの皆さんもやる気はあるんですけど今度は利用者がいないっていう。
でも自分も思い出すと僕の父は認知症だったんですけれども父にとっては家の中に知らない人が入ってくるという事だけでものすごい警戒心を持つんですよ。
だからそれを思い出すとやはり最初はこういうシステムがあるからといってすぐに利用者も入っていけるかと言うと今思うとああそうか…。
すぐには飛び込めないっていう気持ちもすごく分かりますね。
まさにこれからというところだと思うんですけれどもスタジオにはもうお二方お越し頂いています。
西東京市で市民の視点を生かして訪問介護事業更には認知症の人のためのデイホームやグループホームなどを経営されていらっしゃいます。
よろしくお願いします。
そして淑徳大学教授の結城康博さんです。
厚生労働省の審議会の委員も務めていらっしゃいまして政策提言を行っていらっしゃいます。
(一同)よろしくお願いします。
番組ではネットクラブを通じてボランティアの活用についてアンケート調査を行いました。
「介護の担い手としてボランティアを活用する事についてどう思いますか?」という質問に対して7割以上が推し進めるべきだと回答したんですね。
具体的にどんな意見が出たかと言いますと…安岡さんこのボランティアについてどう考えていったらいいでしょうか?サポートハウス年輪も20年前「この町で最後までみんなで安心して暮らしたい」と思って立ち上げたんですね。
多くの方が集まって支える仕組みを作っていったんですけれどもやはりVTR見ててもやってらっしゃる方の顔もすごい輝いてますし自分の町をなんとか安心した町にしたいというその意気込みっていうのをすごく感じられてそういう気持ちっていうのはすごい大事にしていかなきゃいけないなというふうに思います。
一方でボランティアの範囲っていうんですか。
どこまでかというところこれも考えていかなくてはいけないと思うんですよね。
今訪問介護サービスの中でやはりヘルパーさんは研修を日々積んでそれで人の家に入っていく訳ですからやはり人権を侵害するという事もありますのでそこは専門職としてやる仕事とボランティアさんがやる仕事というのの検証をしっかり進めていってうまくコーディネートしていかないとトラブルも起きてくるんじゃないかと思うんですよね。
なので介護職としての専門性というところを脅かされない形をしっかり作っていく事が必要じゃないかというふうに思います。
結城さんはどういうふうにお考えでしょうか?VTRであったああいうボランティア組織をしっかりするという事で恐らく事務局体制とか組織体制がしっかりしていればこれからいくつかの地域でこういうボランティア組織は活性化されてボランティアの再構築というのは私は期待できると思うんですね。
ただしよく全国的に見るとやっぱり限界集落的でお年寄りがたくさんいる地域とかボランティアにあんまり関心がない住民層が多い地域とかあって実は地域を一つ一つ見ていくとこういうボランティアが活性できる地域というのは一部じゃないかなと思うのでかなり地域格差が出るというのが私非常に1点目として心配です。
2つ目としては最初のVTRで生活援助のヘルパーさんが使えなくなっちゃってたまたまボランティアさんが代替してくれたりとか今回要支援1のヘルパーサービスとかデイサービスがもしかしたら長期的に減らされた時にまたこのボランティアさんに代替しましょうとかボランティアサービスを公的サービスを減らす代わりにボランティアサービスを代替していくという流れになるとせっかくボランティアの芽が出てきたのに結局公的な代わりだといって荷が重くなってしまってボランティアの芽が途絶えてしまう可能性があると。
そこはきちっとあくまでも公的サービスの補完的なサービスでやっていかないとどんどんどんどん発展していかないと思いますね。
介護保険制度の見直しの法案6月には成立する見込みです。
実施には来年度から3年間の移行期間が設けられています。
この期間に市町村に行ってほしい事として事前に皆さんに書いてもらいました。
では一斉にボードを出して頂きます。
どうぞ。
…ドン!ではまずは結城さんから…。
今度の制度改正とかいろいろあると思うんですけどやっぱりこういう何かあった時には自治体がきちっと責任を取ると。
多分トラブルの問題とか例えばサービスが行き届かなかった時にどうなるのかという。
そういう時責任を取らないとなかなかボランティアのこういう組織化というのは難しいと思いますのできちっと自治体が責任を持ってサービスを構築してほしいと思います。
安岡さんは「しっかりつかめ町の声!」地域によってそれぞれ実情が違うと思うんですけれども町のさまざまな住民の声をまず現場に入ってつかんでほしい。
それから次へ考えてほしい。
とにかく町の声に耳を傾けるという事をもっともっとやってもらいたいと思います。
そして風見さんは…。
これは今おっしゃった声を聞いて頂いてじゃあ今度は今日言ったようなどんなボランティアがあります。
またどんなボランティア求めてますとかっていう事をもっともっと僕たちのところに知らせてもらいたいなという。
こういう事が利用できます。
また求められてる事もそうなんですけど。
あと意外と後でどこどこに行って何々を見たらそこに書いてあったんですよって言われるんですけど正直意外と見ないんです。
だから読まなかったのも悪いのかもしれないですけどもっと身近に読めるようにもっと知らせてもらう事もして頂くとうれしいなと思うんですけどね。
安岡さんもっと何かやり方があるような気がするんですが…。
やっぱり広報というか広報紙ありますよね。
そういったものにもう少しプロの力を入れてやっている私が昔行ったスウェーデンなんかでは一番お金をかけているのは広報紙ですよと。
それを手に取った高齢者の方が行ってみようかなという気にさせるそういう広報のしかたを是非工夫して頂きたいなというふうに思います。
知恵と工夫でやれる事あるんではないかなと思います。
「私の介護保険」明日もお伝えします。
どうもありがとうございました。
2014/05/14(水) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ どうなる?私の介護保険 第2回「地域の力」[字][再]

介護保険制度改正を検証する2回目。国が介護の担い手として期待している、ボランティアやNPOなどの市民の力に注目。地域の中で助け合いの輪をどう作るのかみていく。

詳細情報
番組内容
介護保険制度改正を検証する2回目。国が介護の新たな担い手として期待しているボランティアやNPO法人などの市民の力に注目する。岐阜県大垣市で活動するNPOは、お年寄りの世話を、団塊の世代に行ってもらっている。有償のボランティア活動であるが、緻密な研修を専門職が行うことで全国的に注目される活動に。市民の力を引き出し、地域に根差した組織をどう作ればいいのか、タレントの風見しんごさんとともに考える。
出演者
【出演】タレント…風見しんご,NPO法人「サポートハウス年輪」理事長…安岡厚子,淑徳大学教授…結城康博,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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