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KADOKAWAとドワンゴ 10月に統合
5月14日 17時36分

出版やアニメ、映画などを幅広く手がける「KADOKAWA」と、動画配信サイト「ニコニコ動画」を運営する「ドワンゴ」は、ことし10月に経営統合することを発表しました。

発表によりますと、「KADOKAWA」と動画配信サイトを運営する「ドワンゴ」は14日、それぞれ取締役会を開き、両社が経営統合することを決めました。
両社は、ことし10月に新たな持ち株会社、「KADOKAWA・DWANGO」を設立し、傘下に現在の両社が子会社化する形で経営統合します。
新会社の社長にはKADOKAWAの佐藤辰男相談役が就任し、会長にはドワンゴの川上量生会長がそれぞれ就任する予定です。
角川書店で知られる「KADOKAWA」は、雑誌や書籍の出版だけでなく、アニメや映画制作などコンテンツ関連の事業を幅広く手がけています。
一方、ドワンゴは、動画配信サイト「ニコニコ動画」のほか、ゲームや音楽配信などインターネットを通じたコンテンツ事業を展開しています。
経営統合によって両社は、KADOKAWAが手がけるアニメなどをニコニコ動画などで配信する事業を強化するほか、KADOKAWAが持つ海外の拠点とドワンゴのネット配信の技術を組み合わせて海外への展開を進めていくということです。
今回の経営統合について、新たに設立される持ち株会社の社長に就任する「KADOKAWA」の佐藤辰男相談役は、「デジタルへの対応をしていくなかで、ドワンゴの技術は計り知れない武器になる。両社の融合による化学反応に期待し、単独では実現できない事業を具現化したい」と述べました。
一方、会長に就任する「ドワンゴ」の川上量生会長は、「ネットの世界とリアルの世界でコンテンツを提供してきた会社どうしの統合は非常に相性がいい。融合してほかの企業との直接的な競争を避け、新しい世界を切り開きたい」と述べました。

KADOKAWAとは

「KADOKAWA」は、昭和20年に文芸出版社として創業した「角川書店」が前身となる企業グループです。
昭和50年代には映画制作に参入して「犬神家の一族」などがヒットし、文庫と映画が連携したいわゆる「メディアミックス」の成功例ともされました。
そして、ここ数年は「ライトノベル」と呼ばれる若者向けの小説のほか、アニメやマンガ、映画などを組み合わせてコンテンツを配信する事業に力を入れています。
この中では、ライトノベルからアニメや漫画などに展開した「涼宮ハルヒ」のシリーズや、オンラインゲームの「艦隊これくしょん」なども手がけています。
経営統合する「ドワンゴ」とは、平成23年に両社の株式を持ち合う形で資本提携しており、KADOKAWAグループのコンテンツをドワンゴの動画サイトで配信するなど、連携を深めてきました。
ことし3月期の決算では、グループの売上高1500億円余りのうち、およそ60%は出版関連事業が占めており、少子化やインターネットの普及を背景に国内の出版業界で市場の縮小が続くなか、出版以外の分野での収益力の一段の強化が課題となっていました。

ドワンゴとは

「ドワンゴ」は、平成9年にインターネットのゲーム開発会社として設立されました。
その後、急速に普及した携帯電話を通じて、ゲームや音楽などを配信する事業で収益を拡大してきました。
また、平成18年に運営を開始した動画配信サイト「ニコニコ動画」は、動画に合わせてコメントを投稿できる機能で人気になり、先月末の時点での登録会員数は4000万人に上ります。
この中では、アニメなどのキャラクターについての投稿画像のほか、政党の党首討論や将棋のプロ棋士とコンピューターソフトとの対戦の中継などでも注目を集めました。
さらに、日本のアニメやゲームなどに対する人気を背景に、海外からのアクセスも増えているということで、最近では英語と中国語に対応するサービスも始めて海外の顧客獲得も進めていました。

経営統合の背景と意味

「KADOKAWA」が「ドワンゴ」と経営統合に踏み切る背景には、さまざまなコンテンツを売り出す手段として若者を中心にネットでつながる人たちの存在が大きくなっていることがあります。
動画配信を手がける「ドワンゴ」は、およそ4000万人の会員がいて、日本国内だけでなくアメリカや台湾など海外にも会員を広げています。
「ドワンゴ」が運営する「ニコニコ動画」は、海外で人気が高い日本のアニメなどを配信し、このところ海外からのアクセスが拡大しています。
さらに、日本語だけでなく英語や中国語での動画配信も手がけ、海外への発信力を高めています。
一方、出版事業から始まった「KADOKAWA」は昭和50年代から映画制作に参入。
その後はアニメやゲームなどにも事業を拡大して数多くのヒット作を出し、紙の媒体中心の事業から、いまではさまざまなコンテンツを展開する企業になっています。
しかし、少子高齢化を背景に国内市場が伸び悩むなかで、海外事業を強化していくことが課題になっていました。
「KADOKAWA」の売り上げに占める海外の比率は、およそ5%にとどまり、今回の経営統合によって海外展開を一段と強化するねらいがあります。
さらに、国内市場についても、ニコニコ動画を新たな配信の手段として活用できるとしています。
また、「ドワンゴ」にとっても、「KADOKAWA」のコンテンツを「ニコニコ動画」を通じて配信することで、コンテンツの充実を一気に図ることが可能になり、今回の経営統合は両社の思惑が一致した形になっています。
「デジタルコンテンツ協会」によりますと、国内での有料の動画配信サービスの市場規模は、去年はおよそ1230億円でしたが、スマートフォンの普及などによって2018年には61%増えて1981億円に拡大する見通しです。
日本のアニメなど日本文化を巡っては、政府も「クール・ジャパン」として海外への売り込みを強化し、経済成長につなげようとしていて、今回の経営統合は、こうした動きにも一役買いそうです。

「統合の意味合いは大きい」

インターネットメディアに詳しい評論家の濱野智史さんは、今回の経営統合について「統合の目的の1つとして、海外事業を強化するねらいがあるのは間違いなく、海外でも根強いファンを持つ2社が統合する意味合いは大きい」と述べました。
そのうえで、「今の若者の間ではアニメなどの動画を見る手段として、すでにインターネットが主流になりつつある。そうしたなかで、アニメをはじめとした日本固有のコンテンツをネットで配信していくビジネスは、大きく成長する可能性を秘めていると言える」と述べました。

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