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ショートショート集(200文字以外)

出口(800字)

作者:戸松有葉
 突如出現したのは、大きな穴だった。
 直径3M以上ある。
 いや問題はそちらの大きさではない。

 底が見えない、深い穴だったのだ。
 早速役人は穴の深さと出来た経緯を調べたのだが、どの学者も首を捻るばかり。どうしてもわからない。
 いえるのは、突然、とてつもなく深い穴が出現した、ということのみだった。

「地球の裏側まで空いているかもな」

 そんなジョークも聞こえたが、実際何もわからないのだから、ジョークだと片付けることもできない。

 人が入れてしまう大きさであり危険とのことで、高い柵が設けられた。が、この穴を観光に使いたいとの想いから、穴を可視にし、頑張れば乗り越えられる高さの柵しか設けられなかった。

 乗り越えた者は意外に少なかった。しかし、こうする者は日増しに増していた。
 物を投げ込むのである。可視で高さもそれなりだから、成功もできるという次第。

 何を投げたか。意味もなく石を投げ込むこともあれば、不法投棄の絶好の場所だと捨てることもあれば、犯罪者が証拠隠しに武器を入れることもあれば、宗教がお布施と称して大金を投じることもあった。

 この事態に、国は、やめさせるべきか、それとも有効利用すべきかで揉めた。
 利点は多い。捨てる場所に困っている核廃棄物をようやく捨てられる。増え続けるゴミもそうだ。
 その利点の大きさに、ついに国は、人々を真似るほうを選んだ。

 変わったものでは、事実上の死刑囚が穴に落とされることもあった。
 死刑制度はないため終身刑だが、テロリストのリーダー格であるこの犯罪者は、巧みに外と連携をするので、扱いに困っていたのだ。
 穴に落とす行為は、殺人ではない。底がどれだけかわかっていれば致死かも判別できるだろうが、わからないのだから消えてもらっているだけだ。

 そうして、穴が大活躍をしている頃、ある場所――ちょうど地球の裏側でも、奇跡の穴が誕生したと大騒ぎだった。
 貧しいこの地域に、様々なものやカリスマが現れてくれて――。





星新一氏の名作のオマージュ……かな

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