父子手帳:自治体が本腰「父親への啓発」 パパの本音満載
毎日新聞 2014年05月09日 09時33分(最終更新 05月09日 13時16分)
保育所の待機児童が多い東京都の「父親ハンドブック」は、保育所の情報が詳しい。年度途中での入所が困難とみられる場合「育児休業を早めに切り上げ、4月に職場復帰する」など具体策を提案している。
◇育児参加不可欠に
行政機関向けに1994年から「父子健康手帳」を販売している東京法規出版(東京都文京区)によると、共働き夫婦の増加や母親の産後うつなどが問題視され、父親の育児参加を求める声が高まっていたのが手帳の刊行のきっかけという。
内容も、初めは母親のメンタルヘルスの対処法や家事分担など、育児する妻への支援が中心だったが、後に子どもと遊ぶなど男性の特性を生かした育児の関わり方や、ワーク・ライフ・バランスについて考えてもらうコーナーが加わった。
同社編集部の担当者は「核家族化と地域社会の崩壊で、育児に身近な支援を受けにくくなっている中、共働き家庭の増加で、父親の育児参加がないと子育てが成り立たなくなっている現状がある。自治体としても育児支援として父親への啓発が必要と考えているのではないか」と指摘する。
父子手帳を比較研究している産後サポート会社代表の渡辺大地さん(33)は「多くの父子手帳には『育児は楽しい』と書かれているが、母親が一人で育児・家事を担ったら、どれだけ負担になるかなど、さまざまな視点から書かれた手帳が増えてほしい」と期待している。【浜田和子、山崎明子】
◇ことば【父子手帳】
父親を対象にした育児ガイド手帳。「母子健康手帳」の父親版。母子の手帳は母子保健法に基づき、妊娠・出産から子どもの小学校就学前までの母と子の健康管理をすることが主眼。厚生労働省令で様式が定められ、妊娠の届け出に応じて市区町村が交付する。これに対し、父子手帳は名称、内容、発行そのものも自由。毎日新聞の取材では現在、12都県が発行していることが分かった。