整備新幹線:「開業5年前倒しに3400億円の新財源」
毎日新聞 2014年05月13日 20時01分
◇「現財源で2年前倒し可能」、国交省が与党PTに試算提示
国土交通省は13日、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)に対し、建設中の整備新幹線の開業時期を最大で5年前倒しした場合、国と地方合わせて新たに3400億円程度の財源が必要になるとの見通しを示した。一方、現在の財源の枠組みの範囲内でも最大で2年の前倒しは可能との見方も示した。PTは夏までに与党案をまとめ、2015年度予算案に反映させたい考えだ。
PTは25年度開業予定の北陸新幹線の金沢−敦賀間を3年、35年度開業予定の北海道新幹線の新函館(仮称)−札幌間を5年、それぞれ短縮することを検討。整備新幹線は、独立行政法人の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設し、JR各社が機構から借り上げる仕組みで、PT内では、機構がJRから将来受け取る貸付料収入を担保に、金融機関から資金を借りる案などが検討されている。
国交省の試算では、将来的にJRからは、4700億円程度の貸付料収入が見込まれるものの、在来線の支援などで開業時期の短縮に使うことができるのは2000億円程度にとどまる見通しだ。
この場合、北陸新幹線を1年、北海道新幹線を2年、開業をそれぞれ前倒しすることは可能になるが、最大で5年開業を前倒しするには、新たに国と地方合わせて3400億円程度の財源が必要になるという。
麻生太郎財務相はこの日の閣議後会見で、整備新幹線の開業時期を前倒しすることに前向きな姿勢を示したが、財務省は新たな公共事業費の総額を増やす形での国庫負担増には消極的とみられ、大幅な開業時期の短縮の議論は難航が予想される。【永井大介】