日米首脳会談は海外の関心も高く、各国のメディアが報じた。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で日米が合意に至らなかった点を否定的にとらえ、交渉の難航を予想する論調が目立った。沖縄県・尖閣諸島に言及した共同声明には中国のメディアが強く批判した。
韓国の通信社、聯合ニュースは25日、オバマ米大統領が尖閣諸島を日米安全保障条約第5条の適用対象に含むと明言したことに「安倍晋三首相が望んでいた安全保障分野でプレゼントをした」と論評。TPPに関しては「大統領を手ぶらで離日させたのは今後、安倍政権にとって大きな負担となるだろう」と報じた。
米紙ニューヨーク・タイムズは「(中東和平交渉と並ぶ)2つの外交政策の最重要課題で、オバマ大統領は挫折を味わった」と指摘。米CNNはTPPについて「11月の中間選挙まで交渉の進展はないだろう」との見方を伝えた。
シンガポール地元紙ストレイツ・タイムズは25日付朝刊で「TPP交渉は前進がなかった」と報道した。同国はTPP交渉に参加し早期妥結を強く主張しているが、今後の協議に与える影響などの論評は無かった。
中国メディアからは、尖閣諸島に関連して反発する論調が目立った。国営新華社は論評記事で「アジア太平洋地域の安定にマイナスの影響を与える」とし、米国は尖閣問題に口出しすべきでないと指摘した。同時に「同盟国の弟分の歓心を得ようとしたのだろう」と分析している。ただ尖閣問題以外では、共産党機関紙、人民日報系の環球時報が1面で「オバマ氏は日本を支持するとともに、中国にも少なからぬ配慮を示した」とするなど、批判のトーンは控え気味だ。
一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で「曖昧さを完全に払拭したのは満点に値する」と高く評価。「中国が尖閣諸島上空に防空識別圏を設定したことに対し、米国が弱く一貫性のない対応をしたことによるダメージを回復するのに役立つ」と指摘した。
安倍首相とオバマ氏が非公式の夕食会を開いた銀座のすし店については、中国の国営中央テレビがニュース番組の中で「すきやばし次郎」の店主、小野二郎さんを紹介、環球時報も同氏を「すしの神様」とする長文記事を掲載。主要米紙は1人3万円からの価格帯などを細かく伝えた。
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