[2014.05.12]
ブラック企業で自民法案 社労士の紛争関与拡大
自民党は雇用や賃金のトラブルをめぐる裁判外の紛争解決に関し、社会保険労務士の関与を拡大する社労士法改正案をまとめた。過酷な労働を強いる「ブラック企業」が問題化する中、労働関連法に精通する社労士の役割を広げることで、賃金不払いなどで労働者が泣き寝入りする事態を防ぐ狙いだ。党関係者が12日、明らかにした。
近く党内の了承手続きに入る。公明党や野党にも働き掛け、今国会に提出する方針だ。
改正案は、労働者が訴訟によらない「裁判外紛争解決手続き(ADR)」を利用する際、社労士が代理人として扱える案件の請求額の上限を、現行60万円から120万円に引き上げるのが柱だ。
党関係者によると、解雇や賃金不払いの紛争では、給与3カ月分の相当額を慰謝料などとして請求するのが一般的で、60万円を超えるケースが多い。その場合、社労士は弁護士と共同でなければ代理人になれず、依頼者の費用負担増となるのがネックだった。
また、社労士の専門知識を裁判で活用しようと、労務管理や社会保険に関する訴訟で「補佐人」として裁判所で陳述できる権限を付与することも盛り込んだ。
ブラック企業をめぐっては、厚生労働省が2015年春卒業予定の大学生らの雇用を希望する企業に対し、過去3年間の採用者数と離職者数を求人票に明示するよう要求するなど対策強化を進めている。
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