文部科学省は4日、来年春から小学校で使われる教科書の検定結果を公表した。東日本大震災後初めての検定となり、東京電力福島第1原発事故が初めて取り上げられ、震災関連の記述も大幅に増加した。沖縄県・尖閣諸島と島根県・竹島に関する内容も増え、小学校の教科書で初めて「日本固有の領土」と説明したものもあった。
ゆとり教育路線から転じた2008年改訂の学習指導要領下では2回目の検定。9教科で計139点の申請があり、検定意見による修正を経て、全て合格した。教科別平均ページ数の合計は6646ページ。旧要領下の前々回検定(03年度)と比較すると36%増え、前回検定(09年度)と比べても9%厚みを増した。
東日本大震災に関する記述は全教科の計35点で登場し、津波被害の状況や避難生活の課題などが紹介された。原発事故については社会など9点で産業や生活への影響を取り上げた。
尖閣諸島と竹島は社会の教科書を申請した全5社が「領土を巡る問題」などとして取り上げ、大半が「日本固有の領土」と表現した。1月に改訂された「領土や歴史問題で政府見解を反映する」との検定基準は次回の中学校の教科書からが対象。今回の小学校用の記述は領土問題がニュースになる頻度が増えたことを受け、各教科書会社が自主的に判断した。
国語や外国語など主に高校3年が使う教科書の検定結果も同日公表された。申請を取り下げるなどした2点を除く71点が合格した。
東京電力、小学校、教科書、文部科学省、震災