沖縄県・尖閣諸島と島根県・竹島は社会の教科書を申請した全5社が取り上げ、記述は大幅に増えた。尖閣は3社、竹島は4社が小学校用で初めて「日本固有の領土」と説明。政府見解と合致させるために記述を修正した教科書もあった。
教科書作成の指針となる小学校の学習指導要領解説書で取り上げるよう求めているのは北方領土のみで、尖閣と竹島に関する記述はない。文部科学省は「各社の判断だが、社会問題化したことで記述する社が増えたのではないか」とみている。
北方領土とともに、尖閣と竹島を「領土をめぐる問題」というコラムで初めて紹介した東京書籍は「社会的な関心が高く、学習資料として児童に示す必要があると判断した」と説明。双方について「日本固有の領土」と記述した教育出版は「外務省のホームページなどを参考に政府見解に基づく表現とした」という。
一方、尖閣について「(中国が領有を主張しており)政府は、その解決に向けて努力を続けています」とした記述は「解決すべき領有問題があるかように誤解される」との検定意見が付き、削除された。文科省は「以前にも同様の意見が付いたことがあり、検定の基準が変わったわけではない」としている。
領土教育を重視する政府は1月、中学と高校の指導要領解説書を改訂し、尖閣と竹島について「固有の領土」と明記した。解説書は2016年から使われる中学校教科書から反映される。
竹島、小学校、東京書籍