週刊通販生活トップページ  >  読み物:落合恵子さん×佐川文彦さん(ひらた中央病院理事長)

ようこそ、ゲストさん

ひらた中央病院に関する
とんでもない噂。

落合  ひらた中央病院の活動は本当に素晴らしいものだと思いますが、実は残念なことがひとつあります。こちらで行なっている甲状腺検査や内部被ばく検査のデータが県立医大に流れているという噂があり、「ひらた中央病院は県立医大の手先だ」などという噂も一部流れています。違った意味での、風評被害です。悲しいことですが。

佐川  そんな噂が流れているとは残念です。私たちは小さな病院なので、やれることには限界があります。そのため、当初は県や県立医大とタッグを組んで活動できればと思っていました。 実際、WBC検査を開始した当初は県立医大の医師から指導を受けました。WBC検査を受ける方に向けた説明書にも、検査の判定はひらた中央病院もしくは県立医大で行なうことを明記していました。現在は県立医大とまったく交流はありませんが、そのようなことが噂の原因かもしれません。
 ただ、県民の皆さんのためには県と県立医大と民間病院が協力したほうがいいという考えは、今でも変わりません。バラバラでやることのデメリットは大きいですからね。でも、私たちから呼びかけても、県や県立医大からは返事をもらえませんので。

福島県内各地では除染作業が急ピッチで進められているが、汚染土の保管場所ほか問題は山積している。撮影/岡 邦之

落合  甲状腺検査に関しては、今年度から県は県内の民間病院にも1次検査を委託すると聞いています。昨年、県が民間病院に募集をかけた際、ひらた中央病院は応募されたのですか。

佐川  いいえ。県と同じ方法で検査をすることが条件でしたので、そうすると時間をかけたエコー検査や血液・尿の検査もできなくなります。ならば独自にやったほうがいいと思ったのです。

毎月かかる
1千万円のコスト

落合  お話をうかがうと感心させられることばかりですが、甲状腺検査をはじめ放射能に関する検査をすべて無料で行なうことで、病院の経営は相当大変なのではないでしょうか。

佐川  確かに経営は苦しいです。でも、国策で進めた原発の事故によって苦しんでいる人たちから検査費用をいただくわけにはいきません。

落合  国や県からの資金的な援助はないのですか。当然のものだと考えていますが。

佐川  一切ありません。国には何度も援助のお願いをしましたが、「そういう話は県としてください」と言われてしまう。県からは「(甲状腺検査や内部被ばく検査など)そんなことをしてくださいって誰かに頼まれたのですか?」と言われてしまいました。あのときは本当に悔しかったですね。

落合  実際、これまでにどれぐらいの経費がかかったのでしょうか。

佐川  甲状腺のエコー検査器2台とWBC2台、乳幼児専用WBC1台、それから食品の放射線測定器2台の購入費などで約2億円。甲状腺の状態をみるための血液・尿検査の外部機関への検査委託料、内部被ばく検査の際に着替えていただく衣服の代金、それから放射能対策専従職員の人件費など、それらすべてを合わせると毎月約1千万円かかります。機器の購入費を含めて、この3年間で約6億円かかりました。できる限り無料検査を続けたいと思いますが……。

落合  一般の方たちからのカンパは受けていただけるのですか。

佐川  ありがたいことに、これまで約150件で約2300万円のカンパをいただきました。

落合  でも、これからも毎月1千万円のコストがかかりますから……。

佐川  これまでは、正しいことをすれば支援の輪が広がると思っていました。支援してもらえそうなところがあれば、国内外のどこへでも行きました。でも、行く先々で言われたのは「なぜ県がやっていることを、一民間医療機関のあなたたちがするのですか」ということ。つまり、私たちがしているのは「余計なこと」なのでおカネは出せない、と。

落合  余計なことだなんて……。ひらた中央病院で甲状腺検査を受けたお子さんや保護者の方たちに行なったアンケートの一部(下コラム参照)を拝見しました。県の検査では拭いきれない保護者や本人の不安を、こちらの病院がしっかりと受け止めておられることが分かりました。

佐川  そう言っていただくとありがたいのですが、実はおカネに関しても根も葉もない噂があるんです。「ひらた中央病院は東京電力や国からたくさんのおカネをもらっているらしい。そうでなければ無料検査を続けられるわけがない」というような噂で(苦笑)。

落合  拝金主義がはびこっていて、よいことをしても「裏側で儲けているはず」と疑われてしまうのでしょう。

佐川  だから我々は、外で食事するときは周りに気を遣いながら食べているんです。何を言われるか分かりませんので(苦笑)。でも、いま無料検査をやめたら県民の皆さんはもちろん、職員も裏切ることになってしまいます。

落合  先ほど病院内を見学させていただきましたが、すれ違う職員の方たちが本当に気持ちのよい挨拶をしてくださいました。マニュアル的ではなく、心のこもった笑顔で。

佐川  震災直後、もともと240人の入院患者さんがいたところに188人の方を新たに受け入れたことで、マンパワーが圧倒的に不足しました。でも、職員は不眠不休で頑張ってくれた。うちの病院では忘年会のときに3・11以降の活動内容などをビデオで上映するんですけど、その映像を見て職員たちが泣くんですよ。こんな純真な気持ちでみんなも頑張っているのだから、無料検査を打ち切るわけにはいきません。

落合  汚染水や除染など何ひとつ解決の目処は立たない状況で、県民の皆さんの不安は一向に解消されません。そんななかで、ひらた中央病院の活動は明日への希望をつくってくださっています。今回の記事を読んだ方たちの間にきっと支援の輪が広がると思います。どうか健康にはお気をつけください。

佐川  歯を食いしばって、何としてもこの活動を続けていきます。

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