TPP:著作権など知財分野で前進も 19日から閣僚会合
毎日新聞 2014年05月13日 21時12分(最終更新 05月14日 00時47分)
◇甘利担当相「大きな対立点が解消されつつある」
19、20日に予定する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の閣僚会合で、難航している知的財産分野について前進する可能性が出てきた。甘利明TPP担当相は13日、「大きな対立点が解消されつつある」と説明。調整が難航している分野で道筋が付けば、関税協議などにも波及する可能性がある。
ベトナム・ホーチミンで開かれているTPP首席交渉官会合では、13日までに対立の少ない「労働」分野などを協議。先進国と新興国との対立が激しい「知的財産」や「国有企業改革」は最終日の15日に話し合う予定だ。甘利担当相は13日の記者会見で、知的財産の協議について「先進国と途上国との対立が続いていたが、かなり収れんしてきている。大きな対立点も解消されつつある。近々まとまってくるのではないか」と述べ、合意が近づいているとの認識を示した。
知的財産分野では、小説や音楽などの著作権の保護期間を巡り意見が分かれている。保護期間は、日本やマレーシア、ベトナムなどが作家や作者の死後50年、米国が70年、メキシコが100年など各国で異なっている。米国は映画・音楽などで著作権収入を長く得たいため、「70年に統一すべきだ」と主張。新興国でコンテンツを売り込みたい日本も、延長容認に傾きつつある。日米が協調すれば、新興国との交渉を有利に進めることも可能だ。
また、米国は新薬の特許権やデータ保護期間の延長を主張している。米国では現在、バイオ医薬品は新薬承認から12年間、保護される。しかし、新興国側は「新薬の保護が強すぎると、安価な後発薬を利用しにくくなる」と反発。このため、特に新興国で需要がある特定の医薬品については保護期間を短くするといった特例を設けることなどで歩み寄りを図ろうと話し合いが進んでいる模様だ。ただ、具体策については「各国とも交渉カードを出してはいない」(政府関係者)段階で、腹の探り合いが続いている。
一方、TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官は13日の記者会見で、ベトナムの首席交渉官会合について説明。「労働分野などで着地案をベースに議論した。また、各国の交渉官に、日米首脳会談で大きな進展があったことについて説明した」と述べた。【松倉佑輔】