先月27日に、米国アーカンソー州で起きた竜巻は10数人が死亡し、建物や車両などに大きな被害が出ましたが、その惨状を即座に伝えたのがこのビデオです。
これはYouTubeから拝借しましたが、このビデオは地元テレビのKATVで放映されました。先に、このブログで紹介した、ウクライナの首都キエフの独立広場を埋めた群衆の感動的な映像と同様、これも、無人ヘリコプター、いわゆるDroneに搭載したカメラで撮影されたものです。
しかし、このアーカンソーの竜巻被害映像を撮影したBrian Emfinger氏に対し、FAA(連邦航空局)が航空法違反で捜査に入り、罰金1万ドルが課されるかも知れないと、地元紙Arkansas Democrat-Gazetteが翌28日に伝えたとForbesの記事で知りました。(Gazette紙サイトは有料)
Forbesの記事の見出しには「Raising First Amendment Questions」、つまり修正一条=報道の自由に関わる問題を引き起こす、とあります。私も元記者の端くれとしてDroneの可能性に関心を持っていましたので、続報を待っていました。
というのも、今年1月のPoynterの報道で、FAAのスポークスマンはこう明言したと伝えていたからです。
“There is no gray area,” “if you’re using it for any sort of commercial purposes, including journalism, that’s not allowed,”
Droneの商用使用は一切認めない、ジャーナリズムも例外じゃない、という断定です。こうしたこともあり、放映翌日にFAAからKATVに事情を聞く電話が入り、さらにGazette紙の問い合わせにも「検討中」と答えたことから、FAAが介入か、という記事になったようです。
しかし、その後、他紙を含めて続報はありません。唯一、APが、アーカンソー州の首都リトルロック発で「ビデオ撮影者もKATVもFAAを無視している」という記事を配信しているのが目についただけです。どうやらEmfinger氏はDroneによる空撮を続けているようです。
他紙の追随報道がないのがちょっと残念ですが、どうやら一般の人々には関心の薄いことなのかも知れません。
というのもアーカンソーの竜巻が起きた直前に公表されたPew Research CenterとSmithonian Magazineの共同調査「U.S.View of Technology and the Future」によると、63%の人が、「もし個人と商用のDroneが米国の空を自由に飛ぶことが認められるとすると、将来は悪い方向に変化する」と考えていて、「いい方向に変化する」は22%しかありませんでした。
Droneを活用すれば、「いい取材が出来る」と考えるジャーナリストの感覚と、「監視される」「プライバシーを覗かれる」「墜落したらどうする」などと心配する一般の人々の感覚の違いでしょうか。FAAは後者の立場を優先しているのかもしれません。
ま、それはそれとして、Slashdotで、この問題を取り上げた記事へのコメントにも考えさせられました。It depends on the hat you’re wearing (かぶってる帽子による)と題しこう書いています。
<The difference between taking a video with a drone and posting it on youtube, and a reporter taking a video and showing in a news report is essentially zero.>
<Droneでビデオを撮りYoutubeに投稿することと、記者がビデオを撮ってニュース番組で見せることとの違いは基本的にゼロだ!>
そういう時代なのだと。ビデオに限らず。
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