浜岡停止3年:避難計画策定でも認めず…周辺11首長
毎日新聞 2014年05月13日 20時53分(最終更新 05月14日 00時02分)
中部電力が安全審査を申請中の浜岡原発(静岡県御前崎市)について、半径30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)にある11市町の首長全員が、再稼働に向けて国が求める県の広域避難計画が策定されても、再稼働容認の条件にならないとの考えを毎日新聞のアンケートで明らかにした。浜岡原発は14日、全停止から丸3年を迎える。住民不安を背景に10キロ圏の4市と同様、残る7市町も中部電と「安全協定」を結ぶ動きが本格化。国が決めた安全対策では不十分と考える地元自治体の姿勢が鮮明になった。
再稼働には安全審査の通過に加え、国の指針が広域避難計画や各市町の避難計画策定を求めている。広域避難計画は避難者の受け入れ先確保がネックとなり県の作業は難航している。
アンケートでは、同計画策定が再稼働の条件になるか質問。牧之原市▽菊川市▽磐田市▽焼津市▽島田市▽吉田町の6首長が「ならない」と答えた。御前崎市▽掛川市▽袋井市▽藤枝市▽森町の5首長は「その他」を選び、「なる」の回答はなかった。
西原茂樹・牧之原市長は「立地が不適格」と再稼働そのものに当初から反対の立場。一方、中部電の安全対策に一定の理解を示してきた御前崎市の石原茂雄市長も「策定したから稼働してよいとはならない」としている。手続き面の課題がクリアされても立地の危険性は変わらず、住民不安が払拭(ふっしょく)されていないとする姿勢が、ほぼ共通している。
計画策定に絡んで静岡県は先月、UPZ内の住民約86万人が車で避難するシミュレーションを公表、通行規制も必要と訴えた。しかしアンケートでは、このシミュレーションが「参考になる」と回答したのは4市町だけだった。「机上の計算。パニックなどの心理的要因を軽視している」(渡部修・磐田市長)との批判もあった。
中部電が今年2月に4号機の安全審査を申請した際、安全協定を結ぶ10キロ圏の4市だけが詳細な説明を受けた。残る7市町は「情報提供が不十分」と不満を強め、3月に中部電へ安全協定の締結協議を申し入れた。先月から協定内容の具体的検討が始まっている。
中部電は「引き続き、浜岡原発の信頼性向上に努め、理解を賜るよう全力で取り組んでまいります」としている。【平塚雄太、立上修】