遺影は1997年に撮影され、蟹江敬三さんが生前お気に入りだった1枚が使われた【拡大】
悲しみに堪えきれなかった。尊敬する大先輩との最後の別れ。斎場を後にする能年のほおに何度も大粒の涙が伝った。
「そうですね…なんとか…」
報道陣から「お別れできましたか?」と問われた能年は、前を見据えてそう声を振り絞るのがやっと。「おじいちゃんにどんな言葉を掛けた?」などの質問には何も答えることなく、ただただ、見開いた瞳から涙がポロポロと流れた。
この日、能年は東京近郊で主演映画「海月姫」(12月公開予定)の撮影を行っていたが、予定よりも早く終了したため参列。午後1時半にお別れの会が始まってから約35分後の午後2時5分、喪服姿で駆けつけた。
「あまちゃん」でヒロイン・天野アキを演じた能年は、蟹江さん扮する不器用ながらも家族思いの祖父・天野忠兵衛との共演が大好きだった。訃報を知った直後には、ブログに「蟹江さんの、内に感じるパワーと外に放出するパワーどちらもが心地よくて、忠兵衛さんとのシーンは毎回とても楽しみにしていました」とつづった。
会の最後に行われた献花式で、詩人・中原中也の詩を朗読する蟹江さんの音声が流れる中、別れを告げた能年。故人への思いがあふれたようだ。
渡辺えり(59)、有村架純(21)、荒川良々(40)、皆川猿時(43)の“あまちゃんファミリー”も参列。渡辺は「ずっと尊敬していましたので、ご一緒させてもらってありがたかったです」と感謝した。
シャイで寡黙だった蟹江さん。天国で“家族”の涙に照れ笑いを浮かべているに違いない。
主な参列者
渡辺謙、名取裕子、石橋蓮司、能年玲奈、緑魔子、松下由樹、永島敏行、いしだあゆみ、村田雄浩、渡辺えり、荒川良々、国生さゆり、高畑淳子、岸本加世子、市毛良枝、柄本明、三浦浩一、高橋由美子、小沢真珠、國村隼、益岡徹、平田満、香川照之、有村架純、中村吉右衛門、皆川猿時、吉行和子、角野卓造、水谷豊、渡辺いっけい、草なぎ剛、寺泉憲、塩谷瞬、白石和子、せんだみつお、江口洋介、斉藤由貴、杉浦太陽、赤座美代子、河原崎長一郎、椎名桔平、山本未來、綿引勝彦、榎木孝明、田中健、大泉洋、前田敦子、岡田裕介、島田昌幸、大多亮、石原隆 ※敬称略、順不同
(紙面から)