外れ馬券代は経費なのか?
5月9日、大阪高等裁判所は、全国の競馬ファンが注目する控訴審の判決を言い渡した。
米山正明裁判長は「外れ馬券の費用も経費に含めるべきだ」と述べ、課税額を大幅に減額して懲役2カ月執行猶予2年(求刑懲役1年)とした一審・大阪地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
国税及び検察側の主張は、国税庁通達では馬券(正式には「勝ち馬投票券」だが本稿では「馬券」と書く)の儲けは一時所得であり、一時所得に対する課税にあって経費は直接的な費用以外に認められないのだから、経費は当たり馬券の購入費用だけだ、というものだった。この場合、外れ馬券代も含めた差し引きの儲けを大幅にこえる巨額の課税所得が認定されることになる。
これに対して被告側の立場は、馬券の利益に対する課税は認めるとしながらも、外れ馬券の購入費用も経費であるとして、実質的な儲けに対する課税が妥当だとするものだ。
大阪高裁は、被告の馬券購入を「営利目的の継続的行為」として、雑所得とみなし、この際の判断基準として「回数や頻度、規模も当然考慮に入れるべきだ」と指摘し、男性が5年間にわたり週末の全レースを対象に機械的に賭けて利益を得ようとした実態を重視し、男性が得た払戻金は雑所得に当たり、脱税額を小さく認定した(といっても約5200万円もある)。
被告の男性が、控除率(勝ち馬投票券購入代金のうち主催者であるJRAの取り分)が約25%にも及ぶ日本の競馬で継続的に儲けたことは、一競馬ファンとして大いに賞賛したいが、現行のルール(所得税法)で、課税対象になるのは仕方が無いし、脱税はまずい。
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