ネットビジネスではリスティングに加え、リターゲティングも行うことが当たり前となってきました。
しかし、私が日々お客様と接する中で次のようなケースが非常に多いことが分かりました。
- 最初にタグの設置をして、“そのままの設定”でリターゲティング配信を行っている
- リターゲティングを配信する対象が“サイト訪れたすべてのユーザー”になっている
- リスティングで使用している広告文と“全く同じ広告文”で配信を行っている
- 運用は“入札調整だけ”を行い、効果改善を図っている
上記の中で、もし1つでも心当たりがなるならば、リターゲティングが“単純な追客”となっている可能性が高く、改善の余地が十二分にあると考えられます。
そこで、今回はリターゲティングで絶対抑えなければならない4つのポイントを、実際にあった事例を交えながら紹介させていただきます。
このポイントを抑えることで大幅な改善をなされたお客様が多数いらっしゃいます。
ぜひとも理解を深め、まずは“単純な追客”から脱却してください。
そして、“ユーザーの真の目的に対してのアプローチ”が行えるリターゲティングを実践してください。
リターゲティングの概略をお知りになりたい方は、まずは下記の記事をご確認ください。
リマーケティング広告を始める人にこれだけは知っておいてほしい!2つのポイント
※なお「リマーケティング」とはGoogleの機能名、「サイトリターゲティング」とはYahooの機能名です。本記事では「リターゲティング」に統一しています。
【ポイント1】鉄は熱いうちに打て!
ユーザーへのアプローチはモチベーションの高いうちに実施せよ!
リターゲティングではCookie保有期間を設定できますが、この保有期間の設定が非常に重要となります。
まず、このCookie保有期間を利用した運用の結果である下記の図を御覧ください。
Cookie保有期間別運用への変更前後比較(変更前を100%としたときの割合)
このCookie保有期間の設定方法を変えるだけで実施前のCV数を400%、CVRを135%、CPAを96%に改善することができました。この方法を紹介していきます。
皆さんは昨日の晩御飯のメニューを思い出せると思いますが、1ヶ月前の晩御飯のメニューは思い出せないと思います。
それはWebサイトを利用するユーザーに対しても同様のことが言えます。ユーザーは最近訪れたWebサイトのことは覚えていても、1ヶ月前に訪れたWebサイトのことは覚えていません。
そのため、初期設定の90日というCookie保有期間を切りわけて、ユーザーのモチベーションの管理を行います。
では、どれぐらいの期間に設定したらよいのでしょうか? 下記の図から考えてみましょう。
Cookie保有期間とCV数のボリューム割合、CVR、CPAそれぞれの相関関係
※出典:「Google リマーケティングにおけるリストの保有期間とCVR・CPAのベンチマーク資料」より
このデータから、Cookie保有期間が3日以内のユーザーが全体のCV数ボリュームを占めており、CVRは高く、CPAが低いことが分かります。
これはどの業界でもほぼ共通で、CV数ボリュームは全体の50%前後あり、CPAは全体の30%近く低くなります。つまり、Cookie保有期間が短いユーザーはモチベーションが高いと判断できます。
そこで、このデータを考慮し、30日間のリストをそのまま配信する設定に対して、以下の2つの設定を実施しました。
(1)30日のリストを「1~3日」「4~7日」「8~15日」「16~30日」と一定期間毎に分解
(2)Cookie保有期間が短いリストへの入札を強化し、逆に長いリストへの入札を抑制
Cookie保有期間を考慮した設定のまとめ
この方法を実施し、CV数を400%、CVRを135%、CPAを96%に改善することができました。
【ポイント2】ページの階層からわかる!
ユーザーのモチベーションの違い
リターゲティングではページの階層を指定し、リストを集めることができます。しかし、多くの運用者が最初から設定してあるリストでの広告配信しか実施せず、成果が上がらないケースが非常に多いのです。
このリストを考慮し、配信した結果が以下の図となります。
リスト別運用への変更前後比較(変更前を100%としたときの割合)
リストを変更するだけで、CV数が162%、CVRが166%、CPAが62%と改善しました。
こちらの方法を紹介していきます。
まず、インターネットの特徴として、ユーザーは自分に興味のあるものしか見ていないということです。逆を言えば、興味のあるものに対してはより深い理解をしようとしています。
そこで考えていただきたいのが“トップページで離脱したユーザー”と“エントリーフォームまで到達し離脱したユーザー”ではどちらのほうがモチベーションが高いと言えるでしょうか? 答えは明白です。
そこで、この考え方を考慮し、元々あったすべてのユーザーに対して配信するというリストに加え以下の2つの設定を行いました。
(1)「トップページ」「ランディングページ」「申し込みページ」の新たなリストの作成
(2)より深い階層まできているリストに対して入札の強化
リストの作成方法を考慮した設定のまとめ
この方法を実施するだけでCV数が162%、CVRが166%、CPAが62%と改善しました。
【ポイント3】一工夫でCTR・CVRを簡単UP!
リストに合わせたクリエイティブを
ポイント2でリストの重要性を理解していただけたことでしょう。
それはクリエイティブでも同様のことが言えます。リストを考慮し、クリエイティブを設定し運用することで以下のような結果が得られました。
リストに合わせたクリエイティブ運用への変更前後比較(変更前を100%としたときの割合)
この方法を実施することにより、CTRを171%、CVRを118%、CPAを79%と改善することができました。こちらのケースを紹介させていただきます。
まずリスティングを実施し、次にリターゲティングを実施するケースが多数見受けられます。
それ自体は非常に良いのですが、その際にリスティングと同様のクリエイティブを使用してしまうという、とてももったいないケースもよく見受けられます。これでは結果につながりません。
そこで、今までリスティングと同様のクリエイティブを使用していたものを、リストを詳細に分け、クリエイティブの変更を行いました。
(1)元々あったリストに加え、「階層A」「階層B」を追加
(2)各リストに合わせた内容のクリエイティブを設定
リスト毎にクリエイティブの作成を実施した設定のまとめ
この方法を実施するだけで、CTRが171%、CVRが118%、CPAが79%と改善することができました。
【ポイント4】サイズの特徴を活かして成果UP!
ただバナーを設定すればいいわけではない
リスティングと異なり、クリエイティブにバナー広告を使用することがリターゲティングでは可能です。テキスト運用のみも可能ですが、バナーを使用しているかそうでないかで結果が大幅に変わってきます。
さらに、バナーのサイズ毎の特徴を理解し運用を行うことで、大幅な改善も見られます。
最初にバナーの特徴を理解するために、下記の図を見てみましょう。
バナーのサイズによる表示回数の割合
※自社調べ(業界固定、訴求内容・デザイン共通)
300×250のバナーが全体の50%以上を占め、次に320×50のバナーが33%を占めています。
バナーのサイズによるCVRの割合
しかし、CVRで確認すると表示回数は少なかった160×600や728×90のサイズのCVRが高くなっています。
また300×250のサイズについては、CVRもそれなりにあることが分かります。
このことから300×250のサイズは運用において非常に重要なことに気づいていただけたと思います。
この傾向はどの業界でも共通して起こることなので、300×250のサイズについては入札設定や予算管理など細かく実施することが成果につながります。
バナーサイズを考慮した設定方法のまとめ
まとめ
リターゲティングは“単純な追客”ではありません。
サイトへ訪れるユーザーは様々なモチベーションを持っています。
そのユーザーのモチベーションをどのようにしたらリスト化できるか考え、モチベーションの高いユーザーに積極的にアプローチしましょう。
この他にもリターゲティングで成果を上げるために参考となる記事を併せてお読みください。
【事例公開】リマーケティング広告で確実に成果を出す5つの方法
ありがとうございました!
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