工場爆発:8人負傷 マグネシウムが引火か 東京・町田

毎日新聞 2014年05月13日 21時32分(最終更新 05月14日 00時46分)

炎と黒い煙を上げて燃える工場=東京都町田市で2014年5月13日午後5時26分、本社ヘリから徳野仁子撮影
炎と黒い煙を上げて燃える工場=東京都町田市で2014年5月13日午後5時26分、本社ヘリから徳野仁子撮影

 13日午後4時15分ごろ、東京都町田市成瀬の金属加工会社「シバタテクラム」(柴田文夫社長)で爆発音がしていると110番があった。東京消防庁や警視庁町田署によると、2階建ての工場延べ約2000平方メートルのうち約1400平方メートルが焼け、20〜60代の従業員の男女8人がけがをし、うち42歳と38歳の男性が重傷、63歳の男性が重体。作業員がハンダごてで作業中、火花がマグネシウムやアルミニウムに引火したとの情報があり、原因を調べている。

 町田署などによると、同社はパソコンの基板などを製造し、当時は約20人が作業中だった。消防車約70台などが出動したが、14日午前0時現在、鎮火していない。当初、放水をしたが、工場内に水と反応すると爆発する恐れがあるマグネシウムがあると分かって中止した。工場周辺の住宅街には黒煙が広がり、近くの町田市立総合体育館に13日午後8時現在で34人が避難した。

 近くで電子部品工場を営む男性社長(70)によると、最初に「ドーン」という大きな爆発音が2回あり、小さな爆発音が数回続いた。近くの自動車修理工場で作業していた男性(31)は「地震のように大きく揺れた。慌てて外に飛び出すと、服が焼けた男性が担架で運ばれていた」と驚いていた。

 現場は東急田園都市線長津田駅の北西約1キロの住宅街。【山崎征克、金秀蓮】

 ◇水と反応で爆発 消火活動は難航

 東京消防庁によると、周囲の建物へ水をかけて延焼防止を図るなどしたものの、マグネシウムがある倉庫への直接放水はできず、消火活動は難航している。内部は高温で危険物が多いため、隊員は中にも入れない。

 日本マグネシウム協会によると、マグネシウムは加工時に出る粉に何らかの原因で熱が加わり、空気や水と反応すると、爆発したように燃え広がる危険性がある。水の代わりに砂などをかけて消火する必要があるという。

 工場内の消火について同庁の広報担当者は「朝まで様子を見る」と説明するにとどまった。周囲への延焼防止措置を続けながら、14日朝からは砂や金属火災用消火器を使って消火に取り組むという。

 2012年5月に岐阜県土岐市のマグネシウム工場で起きた火災では、鎮火まで6日余りかかった。【黒川晋史、桐野耕一】

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