コメントの返事を保留していたアメスポにおける常人サイズのアスリートの件。どうもみなさん多くのバラエティに富んだコメントありがとうございました。長くなりますのでこちらでお返事させていただきます。

アメスポがサイズによっては土俵にもあがれないということはありません。誰でも参加できる所からどのスポーツも始まっているわけです(フットボールのラインの子は最初から大きめの子がやらされてしまいますが)。そもそも子供の頃なんて将来どれぐらい背が伸びるかなんてわからないわけですし。それが奨学金争奪戦となる高校・大学に上がっていくに従って勝ち抜いてきた選手たちの大半が高身長であったりマッチョだったりというそういうことです。適者生存の適者の大半がサイズがあったという結果であって、それは正常の範囲内ではないでしょうか。
若干問題があるとすればその適者とスクールカーストの上位者が一致してしまう場合がままあって、その結果フットボールスターやバスケスターが偉いというか威張っていて良いみたいな感じになってる事でしょうか。若いうちから自他ともにそれを認めてしまっている状況ですね。
でもそれが通用するのは高校までで、大学行くとスターとしてもて囃されても学力では周りの学生の半分も能力がないと全員に見透かされていて既にスクールカースト上位者ではなくなっているわけです。プロで上位指名確実=お金の面で将来バラ色確実なごく一部の選手を除けば将来は周りの学業で大学に入ってきた学生の方が上なんですから。つまりスクールカーストがもうない状態ですかね。多くの場合スポーツ奨学生たちは自分たちだけで固まって行動して、まさに別の種族という状態にもなります。学校によってはスポーツ奨学生用の寮が別にあって食堂もほぼ彼ら専用みたいな構成のキャンパスまであります。

サッカーがアメスポトップクラスの人気スポーツになったら…という前提が現実性が薄いのであまり想像意欲が湧かないのですが、サッカーをやっている子がスクールカーストで上位に来るのはなかなか難しいと思います。スクールカーストを押さえないとなかなか一般的な意味でのリスペクトは得にくいかなあと。馬鹿げていると思われるかも知れませんが現実的にはそう言う面が確かにあるのです。サッカーのスターになってサッカーファンにはウケても一般的なリスペクトにはかなり遠い。耐久力の競技ですからどうしても軽く細い体型にならざるを得ない、軽いヤツなんて押したらすぐ吹っ飛ぶという意識が強いんですよね… あのースポーツだけでなくこの国には軍関係者も多い。スポーツや軍の経験を通して見ると体幹しっかりした体格の人間が強いのは当たり前という意識が育ちやすいです。子供の頃からフットボールやバスケを通じて大きな人間やがっちりした体格の人間とのコンタクトすることで体格差というのがどれほど影響するものかを実感する機会は日本よりこちらの方が圧倒的に多いと思うんですよ。そしてそれは絶望的な差なんです。それを多くの子が経験上知っている。またちょっとしたケンカ(1対1なら)を容認する傾向が強いのもこちらの特徴で、そういう中でも体格差への絶望的な諦めまたは圧倒的な信仰が育っているのかなと思います。逆に言うと日本だと相撲だとか柔道だとかでもやらない限り、大きな子と接触する機会ってほとんどないですよね?野球やサッカーではプレーに影響するような絶望的な体格差というのは存在していないのも日本とアメリカの意識の差を広げているのかなとも思ったりもします。
逆もまた真なり、でその大型信仰を覆す小兵の活躍に喝采するのもまた事実でしょう。そういうのはアメリカでも喜ばれます。ただそれは大型適所生存という根本があってのあくまでもアンチテーゼとしてであるわけですが。

自転車競技はアメリカだとプロが成立していないですし、以前にも書きましたがTour de Franceでさえもほぼ視聴率がゼロ、報道も限られます。確かに極端に短躯(ペダル回しで不利がでるほど)でなければ体格差はあまり問題にならなさそうですね。大学スポーツの種目ではないのでその面でもこの国でのアスリートとしてピークの年代への普及には不利か。中高生で奨学金目指して微妙な種目(例えばボート、飛び込み、水球、ライフル)に進む子ははいても自転車は趣味になっちゃいそうです。ちなみに卓球もNCAAの正式種目ではありません。ボウリングは女子のみNCAA種目。ただ遊びとしてはピンポンは人気ありますよ。家に卓球台のある家庭はいくらでもあって気軽に遊ぶのはそんなに珍しくないです。広い家なら最初に買う室内遊戯施設はビリヤード、その次は Foosballか卓球台じゃないでしょうか。ガレージにおいてある卓球台で子供が遊んでるなんていうのは郊外家庭のよくある風景でしょう。

競馬については実はまったく別の話でおもしろい話があったので実は書こうかと思っていたところです。Major League Racingという競馬の組織化計画が進んでおり、目指すビジネスモデルはNASCARのような形でシーズン制をとり、前期はKentucky Derbyを含む三冠戦を実質的なプレーオフ化、後期はBreeders Cup(かな?詳しくないので)を頂点にシーズンをポイント化して観戦スポーツとして盛り上げようとしているようです。今までは競馬は観戦スポーツではなく賭けの対象と富裕層の社交の二極状態でしたがそれを変えていこうという努力がMLRとなっていくようです。元々のテーマである常人アスリートの話でいうと騎手はもう普通の人ではないサイズというイメージでマイナスで捉えられていると思います。目指すものではないような。

全体としてアメスポ選手のサイズが大きくなっているのは間違いないです。子供でもマシントレーニングをするのは当たり前、アスリートの栄養管理も当然という知識の普及がそれを後押ししていると思います。フットボールやホッケーだと防具進化の変遷もあって身体が大きくなっているのかどうか判断が微妙な面もありますが、野球なんかは明かにでかいです。バスケも以前は細かったのがいまは当たりの強さや当たった後の体勢維持を念頭に筋肉を付けることをはっきり意識しているのでマッチョ化が進んだと思います。